毎年恒例、1年間のブログ活動のまとめ記事でございます。
今回は昨年2017年度のご報告となります。まっこと遅くなり申した。
単なる怠惰の産物であり、どきゃんもこぎゃんもあらしまへん。

2017年中に書いた記事数は、6本。
そのうち富野アニメ関係の記事は4本(実質5本)と、最低限の義務は果たしたというか、上出来じゃん!という思いでいっぱいでございます。

どの記事も面白い自信はあるのですが、世間の評価とアクセス解析の結果を見る限り、ほとんど誰にも読まれてないし、誰にも評価されていないという有様。
それが本当に妥当かどうかチェックするチャンスが今、幸運なあなたに与えられました。
(「妥当でした」というリアクション不要です)

2017年度 珠玉のブログ記事(もう何も言うな)


「永遠のフォウ」は耐えられるが、「ロザミアの中で」は耐えられない


フォウ・ムラサメが三度死んだとき、ロザミアはようやく兄を見つける。<『機動戦士Zガンダム』「ロザミアの中で」でのカミーユの絶望>

『機動戦士Zガンダム』第48話「ロザミアの中で」を見ていく中で、フォウ・ムラサメの「三度の死」を検証します。

「ロザミアの中で」は劇場版ではカットされた要素なのですが、尺の問題以前に、劇場版のラストに向かうためにはカットする以外の選択肢が無い、という事が重要です。

劇場版『Zガンダム』は、ラストの変更が話題になることが多いですが、『ブレンパワード』、『∀ガンダム』、『キングゲイナー』と当時の作品を追っていれば、何一つ驚きはなく、実際に予定調和的なものでした。
ですから劇場版に関しては、ラストに注目するよりも、ラストを変更するためにどのような再構成がされたか。さらにいえば「何が取り除かれたか?」を考える方が面白いかも知れません。

その視点の一助になる記事ではないかと思っています。

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沈まなかったアーガマに帰らなかった魂


「帰れる船」としてのホワイトベースとアーガマの対比 <『機動戦士ガンダム』での優しい嘘の共同体>

TV版『機動戦士ガンダム』にだけ存在する「光る宇宙」でララァに取り返しをつかないことをしてしまった直後、ホワイトベースに帰還したシーンについての話。

劇場版は素晴らしいのですが、やはり私の心のベースはTV版なのです。

長い旅路の末、ホワイトベース内部には疑似家族的なコミュニティが成立します。
アムロはニュータイプであるがゆえに、この疑似家族的なコミュニティへの最後の参加者になりました。

そしてこの終盤のホワイトベースとアーガマを比較します。
「ロザミアの中で」で同じように傷ついて母艦に戻ったカミーユに待っていたものは果たして何か。
ということで、先の「ロザミアの中で」解説記事に接続します。
ぜひ2つの記事をセットでお楽しみ下さい。

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パンダ目暗殺おじさん、一世一代の晴れ舞台


わがままはディアナの罪、それを許さないのはみんなの罪 <『∀ガンダム』第44話 「敵、新たなり」のミドガルド、女王に救いを求めて走ること>

『∀ガンダム』第44話 「敵、新たなり」の解説記事なんですが、主役は完全にパンダ目暗殺おじさんことミーム・ミドガルドになっております。

ここまでミドガルドおじさんに寄り添った記事はないのではないか、と思っていたのですが、今改めて読み返すと、寄り添ってはいるけど全然ミドガルドに優しくないですね。
殺し殺されたらカーニバル(中森明菜)の回だから仕方ないかな。キスは命の火です。

記事後半には、おまけとして『∀ガンダム』でよく言われる「ギンガナムへの責任の押しつけ問題」について書いています。
ある種、こちらの方が本編のような気もします。

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誰が悪いんじゃない。みんな貧乏が悪いんだ。


異世界にアメリカ人が5人。天才がふたり、軍人がふたり、さて残るひとりは? <『聖戦士ダンバイン』での地上人 from USA>

『聖戦士ダンバイン』では、現世から異世界バイストン・ウェルへ召喚されてしまった人間(地上人)が何人も登場します。
その中で、アメリカ国籍を持つ地上人5人にスポットを当てた企画です。

いちばん書きたかったのは、マーベル・フローズンについて。
そして彼女との関係を考えることで明らかになる主人公であり日本人ショウ・ザマの立ち位置についてです。

ショウはダメな主人公と言われることがありますが、そこには日本や日本人ゆえのという部分が見え隠れします。
良くも悪くもアメリカという国との付き合いが、日本には強い影響を及ぼしていますが、バイストン・ウェルでもショウの前にはさまざまなパターンのアメリカ人が登場いたします。
さて、どのアメリカ人を友人として付き合いましょうか?

そんな視点でお読み頂けたら楽しいかと思います。



海南大附属の王者・牧紳一は本当にすごいのか問題


基準(物差し)となるキャラクターから考える物語<『スラムダンク』『キャプテン翼』『機動戦士ガンダム』のパワーバランスとキャラクターの格>

バトル(スポーツ)物の作品における、キャラクターの「格」についての記事。
こういった作品でキャラクターが強くあるために必要なのは、身体能力とか必殺技とかではなく、「格」なのです。

『スラムダンク』、『キャプテン翼』などの名作マンガを例に記事は進みますが、後半『機動戦士ガンダム』の戦闘バランスの話になって、そこから結局いつものガンダム漫談が始まります。

本当は『スラムダンク』、『キャプテン翼』のパートだけでも、ちゃんとひとつの記事として成立してると思うんですけどね。



どうしていっちゃうんだよロベルトォ!


四人兄弟を養う日向家 VS 居候ロベルトを養う大空家 <『キャプテン翼』小学生編でのキャラクター経済格差>

純粋にサッカーマンガ『キャプテン翼』の記事。ガンダム漫談に脱線したりもしない貴重な記事。

『キャプテン翼』小学生編における富裕層と貧困層の戦い。
それがいかに現実に存在するワールドサッカーの構図そのものか、ということを解説します。

そういえば、大空家に居候していた時のアル中天パおじさんこと、ロベルト本郷の金回りってどうだったんでしょうか。
元プロ選手とはいえ、アル中寸前の浮浪者のようにまで身を崩したロベルトはお金持ってたんですかね。
渡航費用や日本での検査費用、日常の大空家でのご飯など、大空キャプテンのご好意というイメージがあるんですが、どうなんでしょうね。
名目(ロベルトに負担をかけないための建前)は翼の個人コーチとしての居候とか何とかで。
つまり何が言いたいかというと、小学生編ラストでブラジルに帰国する渡航費用は誰の金だったんだろう、という。

そもそも大空キャプテンは、自分が長期航海でほとんど家を空けるのに、まだ若い自分の妻と、たくましい元スポーツマンしかもラテン系サッカー選手だったロベルトを平気で同居させるという、大変懐の大きな人物です。

翼ママ「バスタオル用意しておくの忘れちゃったわ。入るわよロベ(脱衣場に入ってくる)……」
ロベルト「(ちょうど浴室から出てきた全裸ロベルト)……ママさん」
翼ママ「ご、ごめんなさい!(あわてて扉を閉める)」

だから昔から良くネタとして妄想してたのは、ロベルトのブラジル帰国の真の理由です。

ロベルトの手紙「翼、おまえはこの日本にいてもきっと素晴らしい選手になれる。おれがいなくともおまえはきっとそうなれる。翼、サヨナラだ。……P.S. ママさん、愛しています」
翼「どうしていっちゃうんだよロベルトォ!」

飛び立つ飛行機を見上げながら、思わず自分のお腹を抑えてしまう翼ママ。
翼。ロベルトはいっちゃったからブラジルへいっちゃうのよ。

そして翌年、翼とは全く似ていない浅黒い肌とチリチリの天パをもった次男が大空家に生まれるのだった。

《 『キャプテン翼』小学生編・完 》

……みたいな。
ただひとつ言えることは、私の中で大空キャプテンは大海原のようにとてつもなく大きく、懐の深いド変態だということです。(あくまで私の中で)





2018年の抱負など(もう一ヶ月分終わってますが)


以上、選びに選びぬいた、珠玉の2017年ブログ記事でございました。

2018年もどうせ大して記事の数は書けないと思いますので、せめて中身は充実野菜であって欲しい。せめて充実であれ。
『機動警察パトレイバー』のシリーズ記事がストップしているので、何とか再開したいです。
もう一度、胸のエンジンに火を入れるのはなかなか大変なのですが、2018再起動が今年の抱負です。

あと言いたいことは、ファブリーズのTVCMですね。



パパ役に千鳥ノブをキャスティングしているのは喜ばしいことですが、標準語しかしゃべらせないことに何の意味があるんじゃ!ノブが死ぬ!
「シンプルに靴がくさい!」「さすがママじゃ!」など合わせやすいセリフにも出来るのに、せっかくの「神の『じゃ』を持つ男」に標準語のセリフ与えて何がしたいんじゃ!
このCMを企画した無能な広告代理店やCMディレクター、そしてOKを出したメーカーは、猛省のため智弁和歌山高校のノックを受けて頂きたい。

ということで、2月に言うことではないですが、今年もよろしくお願い致します。
次の記事でまたお会いしましょう。

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ファーストこと『機動戦士ガンダム』第41話「光る宇宙」で、ララァを死なせて帰還した直後のホワイトベースでの、このシーンが好きなんですよね。

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よく登場する出撃ハッチに隣接した部屋で、パイロットスーツのままなので、ホワイトベースに帰還したすぐ後なのだろう。
出撃したカイ、ハヤト、セイラに加え、ハロと子供たちまで来て、アムロを囲んでいる。
ちなみにこれはTV版だけのシーン。

今回の出撃でアムロに何があったかは誰も、いちばん距離的に近かったセイラですらきちんと分かっていないだろう。
それでも帰還した直後のアムロを囲んで、恐らく「大丈夫か?」といった心配している。

それに対してアムロの方も、「取り返しのつかない事をしてしまった」直後にあれほど号泣していたのに、皆に笑顔を見せる。

この場面での台詞のやりとりはアムロとハロだけで、セイラやカイ、ハヤト、子供たちの台詞は省かれているが、描かれていないことでそこに恐らくあったであろう自然なやりとりやフォローを想像させてくれる。

アムロ 「大丈夫です、戦えますから」
アムロ 「な、ハロ、大丈夫だろ?僕」
ハロ 「アムロ、ノウハ、レベル、ユウリョウ、ユウリョウ」
アムロ 「ははは、ありがとう」


心配した?ハロが太鼓判を押してくれた「脳波レベル優良」が皮肉めいている。
そうなのだ。アムロの脳波は優良すぎて、戦場で敵パイロットとつながってしまうほどに強い。
それが、つい先ほど起きた悲劇の原因でもあった。

しかしアムロは、気遣ってくれる仲間やハロに対して、大丈夫だと笑顔で強がる。

本当は全然大丈夫じゃない、というのはアムロが後の『逆襲のシャア』まで引きずって生きている事で分かる通り、明らかに嘘でしょう。これは一生物の傷で、それが出来た直後なんですから。


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ただこの嘘は、集まってくれた仲間たちの気遣いに対する優しさの嘘である。
ちなみに「戦えますから」の方は、嘘でも何でもなく本当なのは、この後のア・バオア・クー戦で分かる。 (シャアさんに聞いてみよう)

何かを感じ取った仲間たちは自然にアムロのそばに集まり、アムロもそれが分かっていて、ララァを失った直後であるに関わらず、仲間たちを安心させるために笑顔を見せている。

この場面は、アムロとホワイトベースの仲間たちの関係、すなわち疑似家族的な共同体の成熟を示しているといえるでしょう。

これを踏まえた上で、このあと第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」において、今度はアムロが皆を気遣って「作戦は成功します」と宣言するシーンが訪れます。

「脱出」前の帰ってこれるための布石


ジオンのソーラレイにより、レビルの主力艦隊が壊滅した状態で向かう最終決戦、宇宙要塞ア・バオア・クー攻略。
作戦前、不安を感じる皆のために、アムロが力強く発言します。

マーカー 「第二大隊と第三大隊がNポイントから進攻します。我々はルザルを旗艦として残存艦艇をまとめてSポイントから進みます」
ミライ 「いかにも戦力不足ね」
ブライト 「こちらもソーラ・システムを使えればな」
アムロ 「でも、大丈夫だと思います。ア・バオア・クーの狙い所は確かに十字砲火の一番来る所ですけど、一番もろい所だといえます。作戦は成功します」
ブライト 「ニュータイプのカンか?」
アムロ 「はい」


これが皆を安心させるためだけの嘘であることは、直後のエレベータのシーンで早々に明らかになります。

カイ 「アムロ、さっきお前の言ったこと、本当かよ?」
アムロ 「嘘ですよ。ニュータイプになって未来の事がわかれば苦労しません」
セイラ 「アムロにああでも言ってもらわなければみんな逃げ出しているわ、恐くてね」
カイ 「そりゃそうだな。逆立ちしたって人間は神様にはなれないからな」


これはここまで紹介してきたTV版の流れで言えば、ララァを喪った後の皆の気遣いに対する、お返しの嘘ということになると思われます。

このララァ喪失後の皆の気遣い、最終決戦前の不安に対するアムロの気遣いを見て、ホワイトベースが擬似家族的な共同体として完成しているのを確認しているからこそ、最終話「脱出」時のアムロの選択が感動的になるわけです。

なぜならララァの魅力的な誘惑を振り切れるほどに、「帰って来れる場所」もまたアムロにとって大きな存在になっているから。

「ニュータイプをやる」主人公たちがつく嘘


さて皆さん。
『機動戦士ガンダム』の続編であるTV版『機動戦士Zガンダム』においても、最終決戦直前に主人公のニュータイプは嘘をつくのです。

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第48話「ロザミアの中で」で、ロザミアを自らの手で葬ることで喪い、アーガマに帰還したあと、まずカミーユとファの会話。

ファ「ロザミアさんには言い過ぎたのかしら。あの人には罪がないのにね」
カミーユ「ファは、何も間違ったことなんて言っちゃいないさ。ニュータイプも強化人間も、結局何もできないのさ。そう言ったのはファだろ?」
ファ「でも……」
カミーユ「できることと言ったら、人殺しだけみたいだな」
ファ「カミーユ……」(ファ、去る)


この場面でのファは、矢吹丈に「灰のように真っ白に燃え尽きる」話を聞かされた紀ちゃんみたいになっており、悲しそうな顔を見せるが、そのままカミーユをケアせず去ってしまう。

その後、クワトロがなぜか微笑を浮かべながら、カミーユの肩に手を置いて話しかける。

クワトロ「あまり気にするな」
カミーユ「気にしてなんていませんよ。気にしてたら、ニュータイプなんてやってられないでしょ?」(笑顔)


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で、カミーユのこの笑顔。
カミーユの言葉が嘘であることは誰もが気付くことですが、クワトロは何も言いません。
おい、ノースリーブ。お前の自室のサボテンに花が咲いているかどうか今すぐ確認してこい。

ホワイトベースのように自然と皆が集まって気遣うシーンようなシーンは無い。
そもそも、それが可能な関係性が出来上がっているならば、カミーユはこの時点ですでにドクターストップになっていただろう。

カミーユ・ビダンはこの時点で己の役割に気づいてしまっているが、そのことに誰も気づかないし、止めようともしない。
クワトロは気づいているかも知れないが何も言わない。
ホワイトベースとアムロは優しい嘘を、嘘と知った上でそれを受け入れる事が出来るような関係を最終的に手に入れたが、アーガマの中には何もない。

お前はアーガマに帰りたいの?


アムロが自らの意思で帰る場所としてのホワイトベースは、ア・バオア・クー戦の中で沈んでしまった。
しかし「帰れる場所」の本質は、当然場所そのものではなく、そこに成立した人間関係やコミュニティにある。
だから、アムロは脱出艇であるランチで待っている皆のところへ迷わず帰ってこれた。

その意味でホワイトベースという場所を最後に失ってしまうことに物語的な意味はあっただろう。
疑似家族的共同体の形成にホワイトベースという船は必須だったが、成立したコミュニティは船を失ったとしても失われない。
そのことがホワイトベースを失うことで明確になる。

ではカミーユ・ビダンはどうか。
最後の戦いが終わった後、カミーユは自らの意思ではアーガマに帰ることができない。
帰ろうとしない、とまで言ってもいいのかも知れない。

アーガマは最後まで沈まなかった。だから帰ってくる場所はある。
場所はあるけれど、そこにはホワイトベースのようなコミュニティは存在しない。
傷ついた魂はアーガマには帰らない。
これはホワイトベースとの対比として象徴的だ。


百式の残骸はそ知らぬ顔で銀河を流れていく。


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あとがきと関連記事


冷蔵庫の残り物でチャーハンを作るように、ありもので2017年内に1記事でっちあげるつもりが叶わなかった。
そのため、元日から記事あげるなんて気合入ってるね!という感じになってしまったが、もちろんそのような甲斐性はない。

成長物語としての『機動戦士ガンダム』と、ニュータイプへ覚醒したアムロが擬似家族に帰るまで辿った「心の回り道」

ホワイトベースで生まれた疑似家族的な共同体と、それに最後のメンバーとして参加したアムロ・レイのお話。
今回の記事と関連したTogetterまとめですので、宜しければどうぞ。

フォウ・ムラサメが三度死んだとき、ロザミアはようやく兄を見つける。<『機動戦士Zガンダム』「ロザミアの中で」でのカミーユの絶望>

今回の記事でも登場した『機動戦士Zガンダム』の第48話「ロザミアの中で」を深く掘り下げた記事。カミーユにとって「ロザミアの中で」がいかに絶望するものだったのか。

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富野アニメをはじめ各種サンライズ作品は、入れ替えこそあれ、常に豊富な作品が用意されていますので、お好きであれば損はしないと思います。

TVアニメ『ナイツ&マジック』(2017年7~9月)を見ました。



主人公がめぐみんだった。(声:高橋李依)
第1話は、恐らく原作小説(未読)をむちゃくちゃ端折ってると思うけど、アニメだとそれぐらいでちょうどいい。これは小説が冗長というわけではなく、メディアごとの特性と、そこで求められるものの違いということだろう。
あと主人公がめぐみんだった。

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作品内容は、ロボットアニメオタクが、巨大ロボットが実在する異世界に転生して、好き邦題しながら活躍する、といったもの。

「『聖戦士ダンバイン』のショット・ウェポンが主人公」と説明している人もいましたが、『ナイツ&マジック』はすでにロボットが存在している世界であり、むしろ主人公のメタさと見目麗しさと合わせて、転生レディオス・ソープという方が実状に近いかな。(あくまでもMHマイスターとしてのソープね)

舞台となる異世界に「ロボット」というものがすでに存在しているかどうか、というのはかなり大きな違いといえます。

『ナイツ&マジック』は「ロボットのある世界に転生する」という事こそがロボットオタクの夢であるので、これで構わないというか、そうでなければならないでしょう。ロボットを生み出したことがすごい、と言われるのではなく、すでにロボットが存在する世界において「主人公が考えたロボットがすごい」と言われるべき物語なので。

『聖戦士ダンバイン』では、召喚された地上人(ちじょうびと)によってロボットの概念と技術そのものが持ち込まれ、異世界のしくみ(オーラ)や素材と組み合わさって、独自のロボット――オーラバトラーとして結実する。

身も蓋もないこといえば、ロボットアニメである『ダンバイン』という作品には当然ロボットが必要なわけで、そのためにロボット工学の権威であるショット・ウェポンが、主人公ショウ・ザマに先んじてファンタジー異世界に召喚され、オーラバトラーを開発する役割を果たしただけの話といえます。前乗りして準備してくれたわけですね。

だからこそ主人公が召喚され、物語がスタートした第1話では『ナイツ&マジック』同様、バイストン・ウェルはすでにロボットは存在している世界となっているわけです。

それにしても、いくら若きロボット工学の権威とはいえ、生体エネルギー「オーラ力(ちから)」で動くマシンというのは、地上のロボット工学の範疇を大きく越えてる気がしないでもない。天才の2文字で片付くことかもしれないが。

そう考えると、ロボットの欠片もない異世界バイストン・ウェルに呼ばれて、ゼロからロボット(オーラバトラー)を生み出したショット・ウェポンの変態ぶりはなかなか興味深い。

No.1 ショット・ウェポン


Wikipediaで「ショット・ウェポン」の人物紹介を引用してみましょうか。

アメリカ合衆国・カリフォルニア州出身の地上人。28歳。地上ではロボット工学の権威だった。バイストン・ウェル固有のオーラ力を利用して強力なオーラマシンを作り上げドレイクに協力する。詳しい理由は不明だが、一時は幼なじみのジャバと共にオーストラリアで強制労働を強いられていた。漁夫の利を狙う策士で、ゆくゆくはドレイクをも排除し自らが支配者になろうとする野心家である。
Wikipedia:『聖戦士ダンバイン』より


ショット・ウェポンはカリフォルニア出身のアメリカ人です。
その彼が、オーストラリアで奴隷みたいな強制労働に従事していたのはあれ何なんでしょうね。

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一応、本人の口からは「アメリカから逃げ出した両親に連れられてオーストラリアに行ったが、学校にも行けず、時代錯誤な労働をさせられた」と語られているので、アメリカで貧困の中、オーストラリア移民にでもなったけどさらにみじめで苦労した、みたいな感じだと思うのですが、若くしてロボット工学の権威になるような人生に、あんな無駄なことしている隙間あるのかな。
(逆にいえば、こんなことしてたのにロボット工学の権威になれているぐらいの天才)

このオーストラリアでの惨めな生活にも、そしてアメリカという国にも心底腹を立てていると語っているので、これがショットの地上での鬱屈であり、オーラマシンの開発者として地上に戻ってきたことが彼にとっての凱旋帰国ということになるのでしょう。

これらは第41話「ヨーロッパ戦線」で、ショットの過去を知る友人ジャバが登場することで、これが明らかになるわけですが、サイコパス的なモンスターの背景や動機を語ることでモンスターがただの人になってしまうように、天才ショットの動機を昔、奴隷のようなひどい目にあった過去があったから、といった前時代的なエピソードにしてしまった感はあります。

召喚される地上人はいずれも、現実世界に対する強い鬱屈を抱えており、異世界バイストン・ウェルでそれを解消しようとするので、ショットにもそうしたものがあるのは当然なんですが、例えば頭が良すぎて独自の超理論が、学会で理解されず受け入れられなかった的な天才エピソードではなく、オーストラリアの強制労働というのがどうしても前時代的な印象を受けます。

(なぜか)強制労働していた屈辱の時期があって、ミュージィと普通に相思相愛で、ドレイクを出し抜いて自らが支配者になろうという野心を持つというショット・ウェポン。
以前少し書いたことがありますが、はっきりいって、ある種まともで、普通の人間すぎるんですよね。黒幕的なことをやるには、あまりにも人間が分かりやすすぎる。

普通人ショットのパーソナリティを強化した延長線上に、アマンダラ・カマンダラやパプティマス・シロッコがいるような気がしますね。

唐突妄想劇場「オーストラリア百億の昼と千億の夜」

過酷な強制労働の1日が終わったオーストラリアの夜。
宿舎の簡素な二段ベッドに、疲労でボロボロの体を横たえるショットとジャバ。
下段ベッドに寝転ぶショットは目をまっすぐ上段ベッドに向けたまま、そこにいるはずのジャバの背中に話しかける。

ショット「まだ起きているか?」

ジャバ「……明日も早いぞ」

ショット「聞いてくれジャバ」

あきらめたように目を閉じるジャバ。

ショット「天才の私が考えるロボットをこの現場で使えば、10分の1の人間で、10倍以上の仕事ができるだろう。その理論はこうだ……(ずっと喋り続ける)」

ジャバ「(ああ、こいつ、体弱いのに炎天下で働きすぎたな……)」

ショット「……ジャバ?」

ジャバ「そうか。そいつは楽になるな。最高だ。そのロボットとやらが出来たらぜひ俺に操縦させてくれ」

ショット「もちろんだ。で、肝心なのは動力機関だが……(喋り続ける)」

ジャバ「……。(すでに寝ている)」

かくしてオーストラリアの夜は更けていく。

< つづく >


妄想はともかく。
前述のとおりロボット戦争アニメなので、ロボット作らないとどうしようもない前提はあるとはいえ、コンピューターも動力機関も、そもそもそれらを作る文明レベルも機械も道具も何にもない状態でも絶望することなく、自分の専門分野であるロボットをとにかく作ろうとしたショットはとにかくブレない。

実際、作品みると、本当にオーラマシン関係しか作ってないっぽい。工房などもオーラマシンの為に用意したものだし。
作品上の役割としてはそれで十分すぎるんだけど、とりあえずティファールみたいな湯沸かしポット作ってみるとか、そういう試行錯誤をしながら、文明レベルをひとつずつ上げていこうか的な過程が見えないので、天才としか言いようがない。

バイストン・ウェルCivilization(シヴィライゼーション)の技術ツリーの中で、「オーラマシン」に関係するものだけを最短ルートで取ったような感じ。銀行制度?知るか!みたいな。



No.2 ゼット・ライト


現在の視点だと、オーラマシンのコンピュータ・セクションの開発をやったというゼット・ライトの方が開発者としての価値が高いように見えるんじゃないだろうか?

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ゼット・ライトはショットと同じくアメリカ人。はい引用(指を鳴らす)。

ショット・ウェポンとともにオーラマシンを開発したアメリカ国籍の地上人。オーラマシンのコンピュータ・セクションの開発は彼の手によるものだが、ショットに手柄を取られ、世渡り上手なショットが自分より厚遇されていることに不満を抱いている。自身の口先では否定していたが、ガラリアに惚れている。オーラ・ロードを通って召喚されたことから、聖戦士として登用された他の地上人達には及ばないにしても、それなりのオーラ力は持っており、地上浮上後には自らオーラマシンを駆って戦うこともあった。乗機はビランビー、バストール、ブブリィ。己と黒騎士とが同様に世渡り下手で武骨な職人気質だったことに気付き、お互いの技術屋魂と騎士道精神とを認め合うが、直後の出撃にて戦死する。
Wikipedia:『聖戦士ダンバイン』より


アメリカのどこの出身なのかは情報が無いようで、少し調べたところでは分からなかった。

詳しい所は良く分からないが、システム系の開発はすべてゼットの功績らしいし、そもそもコンピュータが無いとマシンの制御の前に開発すらおぼつかなかったのでは、と思われる。
ショットにしてみればゼットさまさまなはずだが、世渡りの上手いショットはオーラマシン開発者として厚遇されており、ゼットは不満を抱いている。

オーラバトラー開発の前段階としてゼットのコンピュータが存在するのだとすれば、つまり先ほどのバイストン・ウェルCivilizationで言えば、オーラバトラーの前提テクノロジーとしてコンピュータ(残り9ターン)が必要という状況。
どうやって、あの世界の、あの状況でコンピュータが開発できたんだ。天才だなゼット・ライト。

実際のところ、戦争ロボットアニメとしてはロボット開発が重要なのですが、テクノロジーとしてはオーラの世界で使えるコンピュータ開発の方が、汎用性と世界全体に与える影響は大きいのではないかと現在の視点からも思うので、ゆえにゼット・ライト型コンピュータ物語の妄想を語ろう。

唐突妄想劇場「プロジェクトZ オーラネットワークの夢」

そもそもゼットはコンピュータをハード、ソフト両面でゼロから作れる上に、オーラエネルギーで動くとか、オーラを制御するとか、バイストン・ウェルのよく分からない法則にも対応した天才という事になるので、天才ついでにネットワークについても、ゼロから始める異世界開発してもらうことにしよう。

Re:ゼロから始める異世界生活 1 [Blu-ray]
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その結果『ダンバイン』当時(83~84年)の電話回線を用いたネットワークより格段に早い、オーラテクノロジーを応用した(適当)オーラネットワークの開発に成功。
中世レベルのバイストン・ウェルになぜかWAW(World Aura Web=ワールドオーラウェブ)が導入される事となった。異世界ブロードバンド時代突入である。

「魔法の道具などで事実上のネット通信」ではなく、そのまま現代テクノロジーとしてのコンピューターやネットワークを開発して「中世ファンタジーの世界でインターネットが存在する」という作品は、小説界のアカシックレコードであるWeb小説の世界ではすでにあると思うので、識者の皆さんはゼット・ライトに教えて上げてほしい。

World Aura Web導入後の世界では、SNSが発展するのも時間の問題だと思うので、どこぞの領主が過激な発言をして一触即発になったり、ルーザがビショットのアカウントをフォローしてこっそりDMを送ったりしていることだろう。
あとは多分、アイドル的人気のあるセレブなどはネットでは苦労してそう。

シーラ・ラパーナ「シーラ女王を、性的な目で、見ないで、下さ、い..........と」

< つづく >


妄想はともかく。
ドレイク・ルフトが地上人召喚ガチャでSSR(最上レア)を同時に2枚ひいた豪運の持ち主であることには間違いない。
ショット・ウェポン言うまでもないが、ゼット・ライトも間違いなくSSR人材である。
(聖戦士ガチャの運はそれほどでもない)

汎用的で広く役に立つコンピュータを開発できるゼット・ライトは、野望にあふれるショットがいなければ、ここまで一方的な兵器開発だけでなく、もう少し異世界の生活に直結するような面白そうなことをやっていた可能性はあると思う。

もちろん召喚される地上人は、何らかの形で戦いを受け入れることができるような人材なので、ゼットも例外ではなく、現実世界で何らかのフラストレーションを抱えていたのだろうし、平和的なインテリジェンスはあまり望めないだろうとは思いますが。

ただゼット本人も語っていたとおり、政治家であるショットと違って、ゼットは職人気質の技術屋にすぎないのであって、腕をふるう方向を上手くコントロールしてやれば、多分、妄想したようなこともできるかな、とは思う。

実際には野望をもつドレイクに加えて、野心家ショットがいたことで、単に兵器開発に技術を利用される関係だったのが運命というか、少し可哀想というか。
これもバイストン・ウェルの意思なんでしょうか。

ちなみに地上人はオーラマシン関係の開発しかしてないんだろうか?という疑問については、Twitterにてこんな情報を頂きました。



なるほど。水力発電ですか。
小説『リーンの翼』においては、地上の技術は、軍事のみに突出せず、バランス良く導入されているようですね。
さすが地上人が国を造って何十年の世界。 多分、営業や広報の地上人も召喚されてる。



No.3&No.4 トッド・ギネス&アレン・ブレディ


今回の記事において、この2人は主眼ではないが、地上人 from USA として少し触っておく。

まずは空軍の先輩であったアレン・ブレディ

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これまたルーツやアメリカの詳しい出身地についての情報はなし。

ジェリル・クチビやフェイ・チェンカと共に召喚された地上人。トッドの空軍時代の先輩であり、彼の召喚は、そのことを知り功を焦ったトッドがショウとの戦いに敗れ消息不明となる間接的な原因ともなる。軍では優秀なパイロットだったようで、オーラバトラーの操縦にも自信を見せていた。
Wikipedia:『聖戦士ダンバイン』より


そしてレッドソックスのお膝元ボストン出身で「東部の落ちこぼれ」を自認するトッド・ギネス

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アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンの出身で、アメリカ空軍のパイロット候補生であった。23歳。ショウや後述するトカマク・ロブスキーと同時期にシルキー・マウによってバイストン・ウェルに召喚された地上人。ドレイクの聖戦士としてネイビーブルーのダンバインを与えられた。そのままドレイクに掌握された「アの国」陣営の一員として、ショウ、マーベルらギブン家陣営と幾度となく戦闘を繰り広げる。
Wikipedia:『聖戦士ダンバイン』より


この2人はアメリカ人であり、空軍のパイロット出身。当然「聖戦士」として、オーラバトラーに搭乗して戦う役目を負う。

ドレイク・ルフトの野望のもとに、ショット、ゼットというアメリカ人天才技術者が新兵器を開発し軍拡を進め、トッド、アレンといったアメリカ人が実働部隊として、周辺諸国を、そして地上をも侵攻していく、という構図がひとつあります。

例えば新大陸では、異世界の戦争技術の導入に近いことが実際の歴史上であったわけです。
ショットもトッドもアレンも「異世界の兵器」で土地を奪い建国したアメリカ合衆国の人間です。

他の聖戦士は、トカマク(ソビエト)は早々に戦死。ショウ・ザマ(日本)は早々に離反。
あとは、フェイ・チェンカ(中国)と、ジェリル・クチビ(アイルランド)。この2人は出身国よりは個人的背景が核のキャラクターだと思いますが、現在から見るとむしろ出身国が興味深いかも知れない。

今、聖戦士3連ガチャをひいたとした時、3人のキャラクターの出身国をそれぞれにどこに設定するのが面白いだろうか。

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No.5 マーベル・フローズン


ここまで異世界バイストン・ウェルに召喚された4人のアメリカ人を紹介してきました。
では、残るひとりは?

そう。テキサス州はダラスの芋ねえちゃんこと、セクシー眉毛のマーベル・フローズン

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アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身の大学生。18歳。実家は牧場を経営。正義感・使命感の強い女性で座禅を組む程度だが禅を嗜む。ショウがドレイク・ルフトの下から離れるきっかけを作り、戦闘でもパートナーとなる。早いうちからナックル・ビーにより聖戦士としてバイストン・ウェルへ召喚されており、ショウ達が召喚された頃には既にギブン家の一員となっている。
Wikipedia:『聖戦士ダンバイン』より


召喚される地上人の鬱屈と、異世界での自己実現については、昔ブログに書きましたが、その地上人の中でもひときわ歪みが少ないと思われるのが、このマーベル・フローズン。

アニメ本編を見る限り、両親との関係、家庭環境も特に歪みは無さそうだし、何よりマーベル自身、ショウと違って対ドレイクのスタンスを自分で決断できるような女性でもある。
もちろんマーベルは主人公の導き手としての役割が大きいので、構造的に歪みを内包しづらいキャラクターなのだが。

しかし現実世界への何らかの鬱屈が、召喚される必要条件のひとつであるとするなら、マーベルも例外ではなくその条件を満たしているのかも知れない。もしそうならマーベルが持つ現実への鬱屈は何か?

これについて以前、記事を書いたのだが、アニメ本編を見る限り、確たる証拠といえるものはなく邪推の域になる、と結論づけた。

今回は妄想劇場を開演している記事という事もあり、あえてその個人的な邪推を話そうと思う。
前述したように明確な根拠はなにもなく、作品を勝手に膨らませて楽しむ与太話に過ぎないが、たまにはそういうのもいいだろう。

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なぜマーベルだけが、ドレイクに手を貸さないアメリカ人なのか

5人の召喚されたアメリカ人の中で、なぜマーベルだけが反ドレイクなのか(そういうキャラクターとして成立するのか)という事を考えたとき、個人的に連想するのは、ヒッピームーブメントとの親和性だったりする。

「正義無きベトナム戦争」への反対運動を発端とし、愛と平和を訴え、徴兵制度や派兵に反発した若者達がヒッピーの中心である。戦争に反対し、徴兵を拒否し、自然と平和と歌を愛し人間として自由に生きるというスタイルで、戦時下にあった全米で一大ムーブメントが起こった。初期は薬物による高揚や覚醒や悟りから出発し、各地にコミューンと呼ばれるヒッピー共同体が発生する。若者を中心に爆発的な人気を誇ったロックバンド「ビートルズ」によるインド巡礼やマリファナやLSDを使用した精神解放等により全米・そして世界へとそのムーブメントは広まっていくことになる。
Wikipedia:『ヒッピー』より


私は世代的にもヒッピー文化は身近ではなく、詳しく学んだわけでもなく、一部の表面的な知識しか持ち合わせていない。
が、まさしく、私のようなレベルの人間がイメージする、「反戦運動」「ラブ&ピース」「東洋思想」「ニューエイジ」あたりのキーワードで示されるヒッピームーブメント。

これはマーベルが「禅」を嗜んでいるから、というだけでもなく、なぜ彼女が明確な反ドレイクのスタンスを取れたのか、という事に対するアンサーとして、あるいは文化的背景としての邪推になるだろう。

もちろんその理由として、そもそもナックル・ビーに召喚され、ドレイクに聖戦士として召喚されたわけではないことが最初に挙げられると思う。ドレイクに迎えられたわけでなく、先に反ドレイクのニー達に会っているなら……というのは流れとしては自然だが、このことはイコール反ドレイクの立場を意味するわけではない。

ドレイクが第一話で地上人3連ガチャを引いたように、なぜショットとゼットと共にドレイクに召喚される立場ではなく、ナックル・ビーが禁忌を破る形でマーベルが召喚されたのか、という理由は本編では語られないし、私が知る限りでは周辺情報としても語られていないと思う。

想像するに、マーベルをドレイクに召喚させると、のちに召喚される主人公ショウ・ザマがあまりにマーベルをトレースした行動を取ることになってしまうので、地上人の出どころのバリエーションの為にも分けたのではないか、という気がする。

ナックル・ビーがなぜオーラロードを開いたのかについても、特に理由は語られないが、キャラクターの配置や主人公の独自性の為であるなら、動機は持ち前の茶目っ気でも何でもいいだろう。
ただ、反ドレイクの聖戦士として戦い、ショウ・ザマを離反させたマーベルがいなければ、バイストン・ウェルはどうなっていたか分からないので、この召喚は結果的に世界を救う超ファインプレーだった。

またこれを、ドレイクの野望の元に集まる地上人とは違う性質の人間を呼び込みバランスを取った、バイストン・ウェルの意思であると考えれば、ナックル・ビーの罪の軽減は妥当な判決だといえるだろう。

話が少し脱線してしまった(いつものこと)ので戻す。
マーベルが反ドレイクのキャラクターとして立てた理由を、精神的には単に「正義感が強い女性」で済ませても良い(実際に本編にそれ以上の情報はない)。
問題は、何も分からない、誰を信じていいいのか分からない異世界で、正義感の強い彼女が何を信じてスタンスを明確化したのか、その背景にあるものは何か、ということだ。

例えば日本人の少年ショウが、なぜドレイクの庇護下に入って何も疑問を感じなかったのか、安心して眠ってしまったのか、という事実は、マーベルと対比できるのかも知れない。
ショウと同じ日本人である我々が安心して眠ってしまう背景にあるものは何か。

はっきりいえばマーベルがヒッピーかどうか、というのは本質ではない。
カリフォルニア生まれはショット・ウェポンの方だし、時代的にもマーベルの人生とヒッピームーブメントがシンクロしていたわけでもないし、マーベル自身、聖戦士として戦場で戦っているわけだしね。

ただ、強力な兵器を開発し軍拡を続け周辺に圧力をかけ、そして飲み込んでいこうというドレイクに対して、あの時点で明確に反対を唱えられるアメリカ人はどういうタイプの人だろうか、という話なので、別に本人がヒッピーである必要はない。ないが、アメリカ人としての文化的背景や文脈として考えてみるのは面白いのでは、と思っています。

他に召喚されたアメリカ人聖戦士であるトッドとアレンは、米軍所属であり、ドレイク側で戦うことに疑問を持たなかった。
日本人であるショウも、マーベルに言われるまでそうだった。
(ソビエト人のトカマクはそういう以前の段階で死んだ)

「正しいキャラクター」ではなく、ひとつの思想的スタンス

マーベルは他の分かりやすい地上人と比べて謎が多い。
ショウの導き手として、彼に自分の立場への疑念を抱かせることで半分以上は役割が終わっているようにも見える。

彼女はショウと比べて、一貫してスタンスが明確であるが、反ドレイクという事を考えたときに、なぜアメリカ人である必要があるのだろうか、というのはポイントになると思う。

バイストンウェルが現実世界と全くの別の世界ではなく、人々の精神がテキストの戦争を演じてさせているのだとするなら、日本人に考え無しにドレイクに与する事の愚かさを指摘するのが、例えばソビエト人であるよりはアメリカ人である方がいいのではないか。その時に、同じアメリカ人がドレイクに与していればなおいい。

ヘイ、ジャップ。ドレイクの所で共に戦おうぜ、というアメリカ人がいて、そのもう一方に、善悪の見境もなしにドレイクに手を貸す馬鹿な男、というアメリカ人がいる。

日本人はそこで自分の立ち位置を考える。ショウは反ドレイクを決断したが、選択の結果が問題ではなく、日本人が立ち止まってどうすべきか考えてみる、という事こそに本質があるはずだ。
そういうバランス感覚は絶対にあると思う。

その上でマーベルをヒッピームーブメントの文脈上のキャラクターと邪推するのは、マーベルが物語中で絶対正義であり、必ず正しい物の見方をしているというわけではなく、あくまでも彼女の思想的なスタンスに過ぎない、という所に置いておくべきではないか、と私が感じるからでもある。それもまたバランス感覚のひとつとして。

空っぽな日本人ショウだからこその公器としての聖戦士

マーベルは、ショウの立ち位置を変化させたら、究極的には(役割上は)いつ死んでもいいキャラクターといえないことも無い。
ただゼラーナ側に他に地上人、それも女性の聖戦士がいないこともあり、最終回まで生き延びたけれど。

ただその最終回で、マーベルは同郷であり元凶のショットを討つものの、ショウはマーベルがこの時に受けたのが致命傷であると、今生の別れであると気付いてくれない。

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お互いに手を伸ばして求め合って死んでいくショット&ミュージィとの対比として、ショウ&マーベルの別れがある。
戦いの元凶であるショットにハイパー化せずに勝ったのはショウ&マーベルだが、ショウはマーベルに気づかず、彼女はダンバインと共に一人で海に散っていく。

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黒騎士 「確実だな……ダンバイン!」


主役ロボットとしてのダンバインの死、そしてそれに搭乗しているマーベルの死を見届けたのは、主人公ショウではなくダンバインにこだわり続けた黒騎士ただ一人。

第一話でマーベルに「善悪の見境もなしにドレイクに手を貸す馬鹿な男」と言われて、対ドレイクに回り、最終話で「貴方は聖戦士でしょ?まずドレイクを落としなさい!」と言われて、今生の別れと気づかずに素直に戦線に戻る。

マーベルの言葉は、最後まで導き手として主人公ショウに対して機能しているが、皮肉なことにそれがゆえに、人間として、ひとりの女性としてのマーベルの声はショウには届かない。

これが主人公ショウ・ザマなのである。

でもこれについては、80年代、冷戦下の日本人の少年が、異世界へ聖戦士として召喚されたケースとしてはリアリティあると思う。
戦争についての思想的な背景や特別なイデオロギーが何もない。
考えたこともないし、疑問に思ったこともない。

ただ、何もないのは必ずしも悪いことではなく、皆の願いを叶える器としての聖戦士にはその方が向いているのかも知れない。

この「皆の願いを叶える器」としての主人公と、最終回に主人公がなすべき事を示す「導き手」の関係は、のちの『機動戦士Zガンダム』でのカミーユ・ビダンとエマ・シーンを連想させる。

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それにしても、最近の異世界転移、異世界転生ものの主人公は、ショウ・ザマと比べれば本当に意識が高いと思う。
異世界でやりたい事も、やるべき事も持っている(または自分で見つけている)。

でも私はこのダメな主人公ショウ・ザマが好きなのです。
『ダンバイン』でいちばん好きな女性キャラはマーベルなので、最終話のあのシーン見るたび、わー!となりますが。

おまけ ビヨン・ザ・シンゴ


15年程見てなかった『ダンバイン』第45話「ビヨン・ザ・トッド」でのトッド・ギネスの死に際を思い出したら、「いい夢見させてもらったよ……あばよ!」と、ライネックのコクピットの中で柳沢慎吾がウインクしながら親指立てており、以後そのイメージが消えない。
もう柳沢ウィルスによる電脳ハックに近い。トッドの向こうで慎吾がチョメチョメ。

私以外にも、柳沢ウィルスによる感染者が増えることを願い、Google:「柳沢慎吾」のイメージ検索結果をご覧ください。
君はハイパー・シンゴの力に抗えるか。

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多分、早口で『ひとりダンバイン』やってくれる(BGM付き)。

黒騎士のくぐもったエフェクト声をやってくれそう。あと、リムルがルーザに返り討ちにあって、眉間撃たれて人形のように倒れるシーンを迫真の演技でやってくれることでしょう。(慎吾の完璧なリムル死に顔コピーをイメージ完了)

え? 柳沢ウィルスに感染した? どうしてくれるって? ……あばよ!(ウインク)







関連記事


【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>

召喚される地上人とはどういう人たちなのか?マーベル・フローズンについても考えます。

なぜショウ・ザマはバイストン・ウェルで眠ってしまったのか <『聖戦士ダンバイン』に見る物語の始め方>

召喚された夜、ドレイクの城でぐっすり眠ってしまった主人公ショウ・ザマのおはなし。

『聖戦士ダンバイン』は、この記事を書いた2017年11月現在、Amazonプライムビデオにて絶賛配信中。プライム会員は召喚され放題、浄化され放題となっております。
この機会にぜひご覧くださいませ。



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現実のサッカーにも多大な影響を与えたマンガ『キャプテン翼』。

今回はシンプルに『キャプテン翼』小学生編の構造は実にすばらしい、という話だけをします。


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物語のスタートから、翼、岬、若林らを擁する南葛SCが、読売ランドでの全日本少年サッカー大会で優勝するまでを描くのが「小学生編」です。恐らく最も多くの方の記憶に残っているのは、この小学生編ではないでしょうか。

この小学生編で面白いのは、各キャラクターでの家庭経済格差というものが、きちんと描かれていたことです。

具体的にはまず、若林、三杉、翼あたりを代表とした裕福な家庭のグループ。

特に若林家は絵に描いたようなお金持ちで、お屋敷は大きいし、専用のコーチ(見上さん)まで雇っています。若林が中学で早々にドイツへ旅立てたのは家のサポートも大きかったと思われます。

翼は、さすがに若林ほどのお坊ちゃんではありませんが、外国船の船長をしている父を持ち、アル中おじさん、いやロベルト本郷を居候として養ったり、ブラジル留学を考えている翼の為にポルトガル語の家庭教師をつけてくれる程度には余裕のある家庭です。

もうひとつは、日向に代表される貧しい家庭。 
貧しさという意味では、母子家庭の四人兄弟の長男で、小学生からアルバイトに励む日向に勝てるものはいません。
日向は別格ですが、裕福ではない(庶民)ということなら、ほとんどの家庭がこちらに該当するでしょう。

また、経済に限らないハンデまで含めれば、スポーツしづらい雪国でがんばっている立花兄弟(花輪・秋田)や松山光(ふらの・北海道)もひとつのハンデを背負っているキャラクターと言えるかも知れません。身体的ハンデまで含めれば三杉はこちらにも該当します。

さて、この2つのグループを、

翼・若林・三杉に代表される「裕福なグループ」=「ヨーロッパ」
日向に代表される「貧しい(または)庶民グループ」=「南米」

と見立てたとき、この両者が激突する少年サッカー大会は、FIFAワールドカップに相当します。

つまり実際のワールドカップのように、欧州と南米、経済格差のある二大勢力の戦いの構図です。

日向小次郎 貧しさからのサッカーによる脱出


南米(庶民)グループ代表の日向小次郎。
日向の目的は、貧しい家庭に負担をかけずに、より上のレベルでサッカーを続けること。

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サッカー大会での優勝はその目的の為に必要でしたが、、明和FCは準優勝に終わってしまいます。
しかし東邦学園は決勝戦を見て、勝った翼だけでなく、敗れたまた日向もスカウトに値すると判断します。

これにより日向は、裕福でない環境からより恵まれた環境へ、サッカーによって脱出する、という目的を果たすことができました。

これは、日向=南米(庶民)グループという本稿の見立てでいけば、南米の若くて才能のある選手が、ヨーロッパのサッカークラブにスカウトされるようなもの。
現実のサッカーでも普通に行われていることで、例えばFCバルセロナのリオネル・メッシも若くして、祖国アルゼンチンからスペインへ渡っています。

南米(庶民)グループ=日向もまた、前年度優勝の若林のお坊ちゃん(欧州)に挑戦状を叩きつけたこの大会で、華々しい活躍をし、才能とハングリーさを武器に貧しさからサッカーで脱出する結末となっています。 

ただ重要なのは、重いものを背負っているがゆえに目的重視のサッカーだった日向が、純粋にサッカーをプレーする喜びや楽しさを取り戻したことです。
それには、主人公大空翼の存在が重要になってきます。

大空翼 欧州&南米ハイブリッドのサッカーカウンセラー


前年度優勝の若林(欧州)vs挑戦者の日向(南米)という構図を踏まえた上で、キーポイントになるのが、主人公大空翼です。

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前述のように家庭環境としては、翼は裕福な欧州グループに分類しました。
しかし彼に大きな影響を与えた、サッカーの師が元ブラジル代表のロベルト本郷であることで、いわば翼はヨーロッパと南米のハイブリッド的な存在になっていると考えます。

翼は日向のように、サッカーを続けるための家庭的ハンデも、三杉のような身体的ハンデもなく、何もコンプレックスを背負ってはいません。
ただ、ひたすらにサッカーというスポーツを楽しむ(ことができる)ように設定された存在です。
そこへロベルトノートの記述にもある通り、「自由」を重んじる南米的なロベルト本郷の教えが加わり、欧州・南米両面の要素を併せ持ったキャラクターとなっています。

結果、翼こそがサッカーの楽しさを1点の曇りなく表現できるキャラクターとして、この作品に君臨します。
彼が、サッカーカウンセラーとして一緒に戦った選手たちの(精神的な)問題を解決していくことが出来るのは、このハイブリッドなキャラクター設定あってこそでしょう。
サッカーがいちばん上手いからではなく、だからこそ大空翼は『キャプテン翼』という作品の主人公なのです。

岬太郎 誰とでも友人になれる移民系サッカー選手


そしてもう一人のキーとなるのは、貧しい日向とも、裕福な翼や若林とも、誰とでも友達になれる男。……そう、ボクは岬太郎。

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岬は、父子家庭であり、放浪画家の父との転校続きの少年時代と、経済的にも豊かには見えない生活からすると、苦労人の日向(南米)グループと言えるでしょう。

しかし岬は自らの境遇を悲しむことなく、抜群のサッカーセンスと人当たりの良さでグループを横断して、どこでも友人を作りサッカーが出来るキャラクターとなっています。

本稿の文脈で岬太郎を例えるなら、彼は「移民系のサッカー選手」ということになるでしょう。

自分のルーツとは関係なく、今いる場所でどこでもサッカーによってつながることが出来る選手。

例えば、岬と縁が深いフランスでいえば、ジネディーヌ・ジダンがアルジェリアにルーツを持つ移民出身でありながら、フランス代表で活躍をしたのが有名ですね。
こうした選手は数多く、岬=移民系サッカー選手という見立てもまた、サッカーでの現実とシンクロするものになっています。

主人公らしくヨーロッパと南米のハイブリッド的な性格を持ち合わせている翼と、世界のどこでもサッカーが出来る移民的な性格を持ち合わせている岬が、「ゴールデンコンビ」として作中最強のコンビネーションを誇るのは、今回の文脈からいけば自然であり必然といえましょう。

決勝戦 合法的な主人公チームの敗北


ここまで説明したように、現実のサッカー世界の縮図のようなキャラクター達が集まった全日本少年サッカー大会。

その大会システムもまた、予選リーグ→決勝トーナメントと、現実のワールドカップと同じものとなっています。(実際の全日本少年サッカー大会も、このシステムであるようです)

この大会システムは、擬似的なワールドカップとなると同時に、週刊少年ジャンプのスポーツ漫画として素晴らしい展開を実現しました。
ちょっと振り返ってみましょう。

翼擁する南葛は、日向の明和と予選グループにおいて同組となり、対戦の結果、南葛は敗れます。
予選1位:明和、予選2位:南葛で決勝トーナメントに進むことは出来ましたが、予選リーグで1位と2位になったチームは決勝トーナメントでは別のブロックに配置されます。

つまりリベンジの機会は、この両チームが決勝戦まで勝ち上がらないと実現されません。
逆に言えば、この大会システムであれば、予選で負けたことがあるチームが優勝することも可能です。無敗のまま、優勝しなくても良いのです。

個人的には、2010 FIFAワールドカップ(南アフリカ大会)において、スペインが予選リーグ初戦でいきなり負けながら、その後勝ち上がって、初優勝を果たしたのを思い出します。(決勝の相手は予選で敗北した国ではないですが)

『キャプテン翼』この大会システムをフル活用しています。

(1) 同じチームとの対戦を、同大会で二回作ることができる。
(2) ライバルチームに一度敗北させながらも、決勝まで進ませることができる。
(3) 二度目の舞台を必然的に決勝戦に設定でき、リベンジ=優勝させることができる。


特に、ジャンプマンガであるにも関わらず、この大会システムによって極めて「合法的」に、主人公チームの敗北を組み込むことができたのは、物語展開の自由度としてかなり大きな意義があったのではと考えています。

例えば、野球における夏の甲子園優勝の物語ですと、予選・本大会を通じて無敗で通すしかありません。(敗北のエピソードは、事前の練習試合などで扱うしかない)

『キャプテン翼』小学生編は、こうして一度予選で敗北した南葛が、決勝戦でリベンジを果たして優勝します。

では、これは日向=南米(庶民)グループの敗北なのかといえば、そうではなく、決勝で翼と戦うことでサッカーカウンセリングを受けた日向は、さまざまな大事なことに気づき、その結果、東邦学園の特待生として、家庭に負担をかけずにサッカーを続けるチャンスを掴みます。

決勝戦の勝敗は、絶対的なものでもなければ、最終的なものでもありません。
彼ら全員のサッカー人生が続いていく、その未来の方が重要です。この先の方が長いのです。

現実のサッカーがワールドカップのあとも続いていくように、彼らのサッカーもこの後、中学生編、ワールドユース編、さらにその先へと続いていきます。

そしてその中心には、欧州と南米のハイブリッドであり、サッカーの自由と楽しさを表現するキャラクター、主人公大空翼がいるのです。


どこまでかというのは不明ですが、『キャプテン翼』小学生で見られるサッカー世界の縮図は、高橋先生が意図してデザインしたものではないかと思っています。日本のプロリーグも、ワールドカップ出場も無かった何十年も前に、と考えると、すばらしいですね。

仮にこれが意図的でなかったとしても、作品は実際にそういう構図になっていますから、すばらしい事には変わりありません。


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おまけ。「ある日の明和FC」


明和FCのタケシ達は、当時、日向さんに結構気を使っていたのではないか。

若島津「いいかみんな。もうすぐキャプテンが練習に来るが、日向さんの前でドラクエ2とビックリマンの話はするなよ」
タケシ「そうですね。ヘラクライストだとか、ロンダルキアだとか……」
日向「ヘラク? ロンダル? ……なんだって?」

いつの間にか、練習場に来ていた日向。

タケシ「う、うわああああああああ! 日向さん!」
日向「ようタケシ。みんな練習してるか? で、ロンダ……何とかはどこのサッカー選手だ?」

タケシ「……イ、イタリアです」

<おわり>

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あとがき


本稿の流れでは主人公翼を、無敵のサッカーカウンセラーと位置づけましたが、そのために主人公にサッカーを楽しむ上でノイズになるような背景を与えず、コンプレックスなしの100%サッカーバカとなっていますので、ある種の狂気を感じないこともないですけどね。

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『キャプテン翼』については、過去記事でも扱っていますので、もし宜しければ御覧ください。

基準(物差し)となるキャラクターから考える物語<『スラムダンク』『キャプテン翼』『機動戦士ガンダム』のパワーバランスとキャラクターの格>


今回は、本来準備していた記事が想定より時間がかかる事が判明した時、ひとまずつなぎに更新はしたい、ということで、Twitterでのツイートをベースに最小限の手間で、記事を仕立てました。

経験上、ツイートをベースにしても書き出すと長文にしてしまうので、今回はとにかくひとつの話だけにして膨らませたり、脱線したりしないように気をつけました。(おかげでいつものような、おふざげ要素も少ない=見やすい)

そのため本ブログ愛読者には、今回のようなあっさり風味の記事では物足りなかったかも知れませんが、多分普通のブログ記事ってこんな感じのバランスなのだと思います。
ただ一部マニアの為に、翼の自室のような安心感を感じる記事も用意しますので、お待ち下さい。


ではまた次回の記事にキックオフ!(アニメ『キャプテン翼』次回予告風)





『∀ガンダム』は現在、AmazonプライムビデオにてTV版、劇場版ともに絶賛配信中。
風は映像を運べない。運んでくれるのはそう、Amazonプライム。
今なら、たったの年 3,900 円(税込)




などと宣伝にいそしむ今日この頃ですが、バナーの「ガンダム作品続々追加」にウソは無いとはいえ、視聴数があまりに多いものはさくっと見放題からはずれる印象です。
『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』のように『∀ガンダム』も、いつ見放題のラインナップからはずれるか予断を許しません。

ということで、いくつか考えていた記事候補は一旦保留して、今回は『∀ガンダム』ネタを優先してお届けすることに致しました。

「大丈夫、大丈夫。どうぜ『∀ガンダム』は見放題からはずれるほど見られてないよ」などという方には、罰として「アニス・ファームの会」に参加してもらいます。え?ご褒美なのでは?と思った大きなお友だちの諸君。内容はアニス婆さんの畑での強制労働です。






『∀ガンダム』第44話 「敵、新たなり」とは


『∀ガンダム』第43話 「衝撃の黒歴史」は、太古より繰り返されてきた宇宙戦争として、すべてのガンダムシリーズの戦いが「黒歴史」として封印されていたことが明かされます。

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この「黒歴史」の映像公開は、主人公ロラン達にとって衝撃であったと共に、月の民ムーンレィスにとっても衝撃であり、またこの作品を見ているわれわれ視聴者にとっても衝撃であった、という、まさに「衝撃の黒歴史」のサブタイトルにふさわしい内容になっていました。

『∀ガンダム』全体でも重要であり、注目されることが多いエピソードです。

今回取り上げるのは、その次の回にあたる第44話 「 敵、新たなり」

第43話に比べれば知名度では劣るエピソードになると思いますので、本題に入る前に第44話全体がどのようなお話だったのかを、復習がてら確認してみましょうか。
Amazonプライムビデオでの各話あらすじから、第44話のものを引用してみます。

第44話 「敵、新たなり」あらすじ

黒歴史の映像に動揺した月の市民たちはパニックとなり、暴動状態に。闘争本能に目覚めた者は例外なく排除しようとするアグリッパをディアナとキエルは殺そうとするが、アグリッパはミドガルドの手により射殺される。さらにミドガルドは、新秩序を築くためディアナの命も狙う。


簡潔に出来事だけを並べれば、「アグリッパが死んで、月光蝶が初めて発動し、ミドガルドが死んだ」回である、ということになるでしょう。

本記事の主役、ミーム・ミドガルド


今回は、パンダ目暗殺おじさんことミーム・ミドガルドに注目します。

ta44_02.jpg

【 ミドガルドおじさんのかんたんな紹介 】

キースのパン工場で働くおじさんとして登場したミドガルドは、実はアグリッパ・メンテナーの命により女王ディアナ暗殺の為にやってきたアサシンおじさんだった。
テテス・ハレを使い、ディアナ暗殺を謀るが失敗。テテスを始末する(超うまい射撃)。
その後、ディアナを月に連れて行く任務を負い、ハリーに恨まれながらも宇宙へ。
だが途中でキャンサー、ムロンの協力によりディアナに逃げられるという、都会っ子が夏休みに虫を網で捕まえたけどカゴに移すときに逃げられるようなツメの甘さを露呈してしまい、ギム・ギンガナムに嘲笑される。
そして、アグリッパの部下として、冬の宮殿での黒歴史公開にも居合わせることに。


アグリッパは、冬の宮殿の管理者(メンテナー)として月から動かない(動けない)こともあり、地球が舞台である物語前半において、アグリッパが地上に影響を及ぼすための存在としてミーム・ミドガルドは登場します。

物語後半、舞台は宇宙、月へと移りますが、この時にキャラクターのほぼ全てが月へ移動します。
野心あるグエン、核ミサイルを抱えるロラン、勇ましいミリシャの軍人たちなど、月世界旅行への動機や感情にバラエティをもたせながらも、月へ向かうベクトルは統一されていますが、問題はディアナ・ソレルです。

彼女は「地球帰還作戦」の最高責任者であり、それにより発生してしまった地球人との戦争の責任を負う立場。本来であれば、月帰還をする理由もないし、そもそもディアナ・カウンターと地球の問題を放置して月へ去るのも無責任でしょう。
だからディアナだけは本人の意志でなく、外部の力によって強制的に月へ連れていくしかない。
その役割を果たしたのがこのミドガルド、ということになると思います。

そして、この第44話 「 敵、新たなり」で、ミドガルドはまた違う役割を負うことになるわけですが、この回での彼の動きをまとめると、こんな感じになります。

【 第44話でのミドガルドの動き 】
  1. アグリッパとディアナの論戦。お互いを批判し合うが埒があかない。
  2. ディアナとキエルによるアグリッパ暗殺……を、ミドガルドが代行し、アグリッパは死亡する。
  3. ミドガルドは続いてディアナの生命も狙うが、リリ嬢の機転により、逃げ出す羽目になる。
  4. 逃げたミドガルドは、戦艦ジャンダルムで冬の宮殿に向かってミサイル攻撃を仕掛けてくる。
  5. そのミサイルの雨を防ぐ際に、∀ガンダムの月光蝶システムが発動し、宮殿は守られる。
  6. 月光蝶を目撃したミドガルド。狼狽し、ディアナの名を呼びながら船の脱出口に向かって走る。
  7. しかしハリーによってスモーチョップで叩き潰され、ミドガルドは処刑された。

アグリッパを殺し、ディアナをも殺そうとしたミドガルドが、なぜディアナに救いを求めたのか。
そして、それに対してハリーが行った「ディアナの法の裁き」とは一体何なのか。
この1.~7.の動きを追いながら、考えてみることにしましょう。

1. アグリッパとディアナの平行線議論


今回の本題は「ミドガルドの死」の場面そのものですが、それにつながる前述の1~3.にあたる部分を簡単にまとめておきましょう。

アグリッパとディアナ(キエル)が議論するわけですが、双方ともに問題をはらんでいます。

ディアナの地球帰還作戦は、基本的にはある種の「わがまま」から発生しています。
しかしそれは月の世界と比べて自然で、より人間らしい営みであるとディアナは考え、これを我が子たるムーンレィスにもと、帰還作戦を立案します。ですが根を下ろしたい地球には当然ながら地球人が住んでおり、文明レベルの格差などの問題もあって、戦争が発生してしまいます。
この戦争の発生責任は、ディアナ・ソレルにあります。

わがままは ディアナの罪
それを許さないのは みんなの罪

若かった 何もかもが
あの金魚は もう捨てたかい

(「月と金魚の頃」より)



天皇陛下の生前退位によるご公務からの引退を検討している我が国としては、他人事とは思えなかったりしますね。

ディアナの子たるムーンレィス市民からすると、東京に住んでいたのに「より人間らしい生活をしよう」などと言いだして、田舎に移住するのを決めた勝手な父親、といったところでしょうか。……と書くと、なぜか黒板 五郎みたいな気がしてきた。

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一方アグリッパは、そのディアナの地球帰還作戦に反対していた人物です。
彼はメンテナー(管理者)らしく、現状のまま月の冷凍睡眠システムを使いながら、地球と関係なく生きていくことを主張します。
我が子たるムーンレィスに対しては闘争本能が目覚めることを恐れ、黒歴史など過去の戦争の情報も隠蔽し、今いる月でこのまま幸せに暮らしていきましょう、といった考え。

アグリッパの子たるムーンレィス市民からすれば、バトル物やヒーロー物など暴力的なテレビは見せず、戦争ゲームもダメ。お外に出る必要もありません。おとなしく、おうちの中で平和に過ごしましょう、という母親といったところでしょうか。

ムーンレィスから攻撃性を奪って、外にも出さず、月という人工の箱庭の中で管理して閉じ込めておくという、いわば母性的な働きをしているのは女王ディアナではなくアグリッパ・メンテナー。
これは役職からの性質という面が大きいと思いますが、女王ディアナが黒板五郎であるのに対し(むちゃくちゃな例えだ……)、男性であるアグリッパがむしろ「ああ、こういう難しいお母さんいる」といった感じであるのが面白いところです。

アグリッパは、ムーンレィスに余計な刺激を与え、戦争をも起こしたディアナを批判します。
もうひとりのディアナであるキエルからは「月に閉じこもっていても、いつか地球人の方から月に来ますよ」と返されますが、それに対して「その為のネルフ(ギンガナム家)です」とアグリッパは答えます。

具体的な力を持たないアグリッパお母さんにとって、ギンガナムは「お父さんが帰って来たら、ゲンコツしてもらいますからね!」という、暴力の外部委託機関のようなものでしょうか。 
暴力装置としては利用するが、アグリッパに言わせるとそれは闘争本能や戦争とつながるものではないらしい。彼は言う。
「武門の家ギンガナム家でも、実戦などは1度たりともやっていない歴史を歩んできたのだ」

ただ、ギンガナムやスエッソン達が黒歴史の映像を見た反応は「おい、マジかこれ。黒歴史にあるような宇宙戦争最高だな。我が世の春が来た!」だったりするので、アグリッパがコントロールできるようなものとは思えないのだけど。

その後のやりとりについては、台詞を引用しましょう。最終局面です。

アグリッパ:「私はムーンレィスには黒歴史という真実など知らせず、永遠に穏やかに暮らさせたかったのです。それなのに女王は……」
キエル:「地球人は覚醒を始めていました。永遠に真実から目をそらすことなどできません!」
アグリッパ:「それが闘争本能の言わせる事なのだ。その本能を目覚めさせた者、目覚めた者は排除するしかないのです!」
ディアナ:「闘争本能に火のついていないアグリッパが、そこまで言う変節、正しようがないようですね」
ミドガルド:「む」
アグリッパ:「ほう!」
ディアナ:「私は地球で、花を咲かせるにも血と肉が必要なのだと学びましたが、私は300年前に大罪を犯したのでしょう」
キエル:「ならば、ここでもうひとつの大罪を犯し、地球人とムーンレィスの暴走の果ての無残さを示しましょう」


闘争本能に火をつけたものと火がついたものは殺す!と主張する、健康のためなら死んでもいい主義のアグリッパに対して、あれれー?おかしいぞー(江戸川コナン)。殺すとか言っちゃうんだ?闘争本能を否定しているというあなたが?と返すディアナ。

アグリッパの声を担当するのは、兜甲児とジャッキー・チェンという闘争本能の塊キャラでおなじみの石丸博也。いかに闘争本能を拒否しても、それはムリな話である。……と思ってしまうようなキャスティングではある。

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そのあとの2人の女王(ディアナ&キエル)の台詞がまたふるっている。
地球人とムーンレィスの闘争本能に火をつけた自らの大罪を認めた上で、ではそのムーンレィス(ディアナ)と地球人(キエル)の暴走の果ての無残さを示しましょうと言う。

この二人の口上は、上品な言い回しをやめるなら、「おい、おっさん。もう罪がひとつでもふたつでも一緒じゃ。お前が恐れる闘争本能とやらを、その身で味わってみるか?あ~ん?」みたいな感じだろうか。めちゃこわ!

2. アグリッパとディアナを、共に暗殺しようとするミドガルドおじさん


ここまでで、1. のパートしか紹介できてない。ここは本題じゃないのに……。もう少しはしょってスピードアップします。

アグリッパとディアナの議論は平行線に終わるわけだが、先のめちゃこわ口上の後、ディアナ&キエル「死にませい!」と、アグリッパを殺そうとする2人。対話による平和的解決をあきらめ、自らの手を汚して問題を解決しようとする女王。
もうこの場面だけでも、女王ディアナが別に清廉潔白な現人神でもなんでもないことは分かる。

しかしこれは未遂に終わり、アグリッパの腹心であるミドガルドがアグリッパ殺しを女王の代わりに行う事となりました。(やっと、今回の主役ミドガルドの話になった)

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ミドガルド:「女王陛下のお話を聞けばアグリッパのやり方の非もわかります。それに従って己の手をも汚したのは、月のシステムが安定すればと思えばこそでした。陛下もまた、アグリッパの指摘する通りでありましょう」
ディアナ:「認めましょう」
ミドガルド:「はい。もはやあなたも月のシステムにとっては不幸なお方です。そのお手を殺人で穢させなかったのは……女王陛下への最後の忠誠心とお思いいただきたい」


アグリッパとディアナの議論を聞いていたミドガルドによるジャッジは「2人とも死んだほうがいいな」でした。これはそんなにむちゃくちゃな結論ではありません。
アグリッパもディアナもお互いが批判しあったように、それぞれ非がありました。

ただ月の統治者2人に問題があるとはいえ、ミドガルドにその後のプランがあるとは思えません。
今後の月のシステムや、残ったギンガナムをどうするのか、などはあまり考えてないでしょう。
このあたりの何も考えてなさは、この後、ミドガルド自身に返ってくることになります。

3. ディアナ暗殺に失敗し、逃げ出すミドガルドおじさん


前述のやりとりの後、会話はさらに続きます。

キエル:「月の真の安定を望むのなら」
ミドガルド:「それでは私が裁きを受けなければならなくなる。御覚悟!」


途中でミドガルドに遮られていますが、キエルの言葉の意味は、月の真の安定を望むのなら――ディアナ様に従いなさい、またはディアナ様にお任せなさい、といったニュアンスだろうか。
責任があるのはディアナ様もお認めになっているけれど、今の事態を治められるのもまたディアナ様しかいないと。(実際、この回で発生した暴動はディアナによって鎮められる)

しかしミドガルドは「それでは私が裁きを受けなければならなくなる」と返している。

ミドガルドがこれまで行った数々の行為を考えれば、「裁き」を受けるわけにはいかない。
月のシステムのためにも、自らの保身のためにも、女王には死んでいただくしかない。
ここでミドガルドは、女王の「裁き」を拒否しています。これはポイントのひとつなので、ぜひ記憶しておいて下さい。

この後、リリ嬢の機転によって、ディアナ暗殺には失敗。ミリシャ兵に取り押さえられます。

リリ:「あなたの裁きは寛大な結果になります。ご安心なさい」
ミドガルド:「……リリ・ボルジャーノ嬢!」
リリ:「この場は、あなたの部下と共にお引き取りください!」


リリ嬢は、ミドガルドに対する女王の裁きは寛大な結果になるから安心しろと言う。

この回に登場する、「裁き」というキーワード。
ミドガルドが己の罪を自覚し、身の危険を感じている「裁き」。
そんなことはないと、リリ嬢が言う寛大な「裁き」。
はたしてミドガルドにはいかなる「裁き」がくだされるのか?
(ヒント:この回でミドガルドは死ぬ)

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結局、ミドガルドはどさくさに紛れて、この場を逃走する。

4. タブーを無視して、ミサイル攻撃を仕掛けるミドガルドおじさん


逃げたミドガルドは戦艦ジャンダルムで冬の宮殿に引き返し、ミサイル攻撃を命じます。

ミドガルド:「この騒乱の元は地球人であり、それを連れてきたハリー・オード大尉だ!全砲門ミサイル発射用意!」
DC兵:「ここでは宮殿に被害が出ます」
ミドガルド:「人口冬眠しているドームを攻撃しろとは言っていない!新たなる地図を作る為、掃除をするだけである!」


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罪に罪を重ねるミドガルドおじさんであった。

5. ターンAが月光蝶を発動して、ミドガルドおじさんのミサイル攻撃を防ぐ


冬の宮殿に迫るミサイルの雨を防ぐロランのターンAガンダム。

ソシエ:「何、あの光の幕?爆発を吸い取ってるの?」
ロラン:「場所をわきまえろっ!」


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ジャンダルムブリッジクルー:「ヒゲの奴が!」
ミドガルド:「どういう事なんだ?」
ジャンダルムブリッジクルー:「砲撃やめます!」


この場面で初めて月光蝶システムが発動し、冬の宮殿は守られました。

ターンAが黒歴史にあるように太古の戦争で文明を埋葬してきた恐ろしいマシンであることは事実ですが、ここでは闘争本能が暴走したミドガルドの愚かな攻撃から、ムーンレィスを守るという役割を果たしました。

6. 月光蝶を見たミドガルドおじさん、狼狽して走り回る


この光景を目の当たりにしたミドガルドは、激しくうろたえます。

ミドガルド:「そうだった。ヒゲのモビルスーツはターンA、黒歴史の象徴のマシンなのだ、文明を滅ぼした。……わ、私は、私はとんでもない事をしている、私は黒歴史のマシンを目覚めさせてしまったのだ!私は何をしようとして!ディアナ・ソレル様!ディアナ!船を港につけろ!」


そう叫ぶと、艦の脱出口へ向かって、全力で走り始めます。

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ミドガルドが大慌てで走るアニメーションは、恐らくこの回で(月光蝶より)印象に残る場面ではないかと思います。
艦内通路を右に左に、まさしく右往左往。
ミドガルドの焦りはもちろん、どこか人間として滑稽な部分も含めて伝わってきます。

しかし何度もディアナ暗殺を試み、今またタブーである冬の宮殿に攻撃をしかけておいて、何を今更、ディアナに救いを求めるのか。

先程の彼の台詞を分かりやすく置き換えれば、こんな感じになるでしょうか。

「自分の攻撃により、ターンAの月光蝶システム発動のきっかけを作ってしまった。黒歴史において文明を滅ぼした恐怖のマシン、ターンA。それを私が目覚めさせてしまった。とんでもないことをしてしまったぞ!ひ、卑弥呼さまー!」

ミドガルドの認識は基本的には正しいが、同時に歪んでいる。

アグリッパ家が代々守ってきた月の宮殿、いわば月の文明を司るものを滅ぼそうとしたのはミドガルド自身であって、この場面でのターンAは文明を滅ぼすどころか、それを守る役割をしたに過ぎない。それはロラン・セアックが使うターンAガンダムだからできたことである。

しかしミドガルドの中では、彼自身が行った罪が「ターンA(月光蝶)を目覚めさせてしまったこと」にすり替わってしまっている。
月光蝶を目の当たりにしたのが衝撃だったとはいえ、本来の罪である月の宮殿への攻撃を無意識にすり換えているところに、この男の本質が見えるような気がしてならない。

いずれにせよ。
ミドガルドはここで心底怯えた。

自分が批判し、裁こうとしたアグリッパやディアナと同じく、大変罪深いことをしてしまったと。
もはや逃れようもなく「裁く側」でなく「裁かれる側」の人間になってしまったことを自覚した。

それは要するに統治者たちの背負っている物の重さと、その覚悟に怯えたということでもある。
確かに黒歴史を隠匿していたりもした。地球へ行って戦争を起こしもした。
アグリッパとディアナ、考え方は異なるが、いずれも月世界の人々の命と、未来への責任を背負っての発言と行動である。(そういう意味で、やはり上に立つ者はすごいことはすごい)

それはミドガルドごときが背負えるようなものではなかった。

だから彼は無意識にディアナの裁きと、その先にある救いを求めて、親を探す子供のように走る。

なぜか?
それは恐らくディアナであれば。ディアナによる「裁き」であれば、彼の罪を許すからでしょう。
のちにフィル大佐やミラン執政官らも許したように、ディアナ・ソレルは全て自分の責任として受け止める覚悟でいました。

ミドガルドの罪も、ディアナの前で跪いて許しを請えば、恐らく許してもらえる。
より正確に言えば、彼の罪をディアナが代わりに背負ってくれることになるでしょう。

だからミドガルドは救いを求めて、ジャンダルムの脱出口の扉を開けた。

7. ミドガルドおじさん、ハリーにより「ディアナの法の裁き」を受ける


そこに待っていたのは、ディアナによる救いではなく、ハリー大尉のゴールド・スモーだった。

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ミドガルド:「スモー、ハリー大尉は、親衛隊」
ハリー:「ディアナの法の裁きは、受けていただく!」


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決まり手スモーチョップにより、ミドガルドは跡形もなく消し飛びます。

ハリーが言う「ディアナの法の裁き」というのは、この回に3度だけ登場する「裁き」という台詞、その最後のものであり、これがミドガルドにくだされた最終的な「裁き」ということになりました。

このシーンですが、そもそも全てを知っている我々視聴者と、当事者であるハリー大尉の間には情報の差が生じています。

ハリー大尉はスモーに乗って対処していたので、宮殿内での出来事には立ち会っていません。
(アグリッパの死など、重要情報については通信で把握していたなどの可能性はある)
ですからミドガルドに対する「ディアナの法の裁き」というのは、ハリーの目の前で行われた冬の宮殿を巻き込んだ攻撃に対してということになるでしょう。

それに対して月光蝶が発動し、それを見たミドガルドは戦艦ジャンダルムのブリッジで狼狽し、ディアナに救いを求めて叫びますが、当然これも視聴者は知っていても、ハリー大尉の預かり知らぬところです。

しかし、ミドガルドの心変わり(好意的に見れば、ある種の改心)とその後に取る行動をまるで知っていたかのように、ハリーは絶妙なタイミングで脱出口前に居合わせ、ミドガルドのみを処刑しています。

純粋にハリーの視点と動きだけを追っていくと、不自然なほどあまりにも出来すぎた流れといえますが、全てを見ている視聴者の立場では不自然さを感じることはないでしょうし、むしろ、ミドガルドが「裁く側」から「裁かれる側」に逆転したことを悟った瞬間にハリーによる「裁き」が訪れる、というタイミングを重視した構成を正しいと感じます。

ただひとつの問題は前述のとおり、「ミドガルドの罪はディアナの裁きによって許されていた可能性が高い」ということです。

「ディアナの法の裁き」というハリー・オードの私刑


ハリーは、ミドガルドに謝罪も弁明もさせる暇も与えず、スモーチョップで処刑しています。
これは、これまでにディアナ誘拐などで煮え湯を飲まされたりもした親衛隊ハリー・オードの物語としてはカタルシスとして作用するでしょう。

しかし「ディアナの法の裁き」であるとハリーが叫び、くだした実刑判決は、私が想定(予想)する、実際のディアナによる「裁き」の結果とは矛盾しています。

当然ながらハリーは、ディアナに対して「ミドガルドを殺して良いでしょうか?」などと事前確認は取っていないし、取るヒマもなかったでしょう。
であるがゆえにこれは、「ディアナの法の裁き」を建前とした事実上のハリー・オードによる私刑、と言って良いと思います。(もちろん、冬の宮殿への攻撃自体はディアナの名を借りずとも大罪のはずですが)

では、それに対して女王ディアナの反応はいかなるものか。
ハリーがミドガルドを処刑し、もう何もない破壊された脱出口が、ただ映される。

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そして、その後のディアナとキエルのカット。

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ディアナ:「法に従う。時には残酷ではあります」
キエル:「はい」


これはとても曖昧な台詞です。
ミドガルドの事を言っているようであり、ハリーの事を言っているようであり、自分自身の事を言っているようであり。
カットつなぎも含めて、演出上あえて曖昧にしているとしか思えません。
どう捉えるか、非常に面白い場面です。

ただ真意はどうであれ、この台詞と共にディアナがミドガルドの死を、済んだこととして受け入れたのは確かでしょう。
そして、これもまた女王ディアナの責任の一つとして背負ったことも。

そう考えると、上記の破壊されたジャンダルムの脱出口をじっくり映したカットは、女王に対して受け止めることを課したカットといえるのかも知れません。

第44話は月で発生した市民の暴動を、ディアナ・ソレル御自ら演説することで収めて終わります。
さすがディアナ様、その御威光で四角い宇宙をまーるくおさめまっせ、と言ったところですが、この回で分かる通り、丸くおさめる為に活動している者たちがいて、それにより死んだ者もいる。

そして女王ディアナはそれら全てを飲み込んだ上で、自らの罪と責任を背負いながらなお前進を続けていくのです。

まとめ:大罪人として「裁かれた」ミドガルドおじさん


と、いうことで今回は、ぺしゃんこミドガルドおじさんの死について詳しく追ってみました。

第44話 「 敵、新たなり」は、アグリッパが暗殺されましたが、これは本来、ディアナ(キエル)の手によるものになるはずでした。
それを代行したミドガルドはディアナをも暗殺しようとしましたが、これは幸運にも未遂に終わり、さらにこの回でそのミドガルドもハリー・オードの手によって処刑されてしまいました。
それにより、客観的事実としては以下のようになるはずです。

  • 政敵であるアグリッパが、(彼の部下である)ミドガルドの暗殺によりいなくなった。
  • 「アグリッパ殺し」「冬の宮殿へのタブー破り」の大罪人ミドガルドを、「ディアナの法の裁き」が討ち滅ぼした。
  • アグリッパに対して発生した市民暴動を、女王ディアナ・ソレルが演説して鎮めた。

えーと、結果的にとはいえ、得しか発生していないキャラクターがいるような気がしますが、それを口にすると、我が家の玄関の外にゴールド・スモーが待っているかも知れないので、お口にチャックしておきます。

もちろんミドガルドは実際に数々の汚れ仕事をしてきましたし、親衛隊ハリーとしてはその恨みをチョップで晴らしたわけですが、単純にカタルシスを感じるだけの場面というには、全てを見て (知って)いた我々視聴者には非常に居心地が悪かったりします。

ただ記事に書いたとおり、作中の登場人物により意図的にディアナ有利に物事が進められたというよりは、あくまで結果的なものでしかないので、そのことを考えるのであればメタ的に考えるしか無いと思います。

いずれにせよ第44話で分かるのは、人の運命など女王ディアナといえども、どうにもならないという当たり前の事実です。

物事が進んでいけば綺麗事だけではすまないし、全てを救えるわけでも、全てをひとつにできるわけでもないのです。
実際に、この物語は女王のわがままやミスから始まっているのですから。

浮世舞台の花道は、表もあれば裏もある。
ディアナ・ソレルの行く道も、表もあれば裏もある。

この回でのミドガルドの運命を見て、そんなことを感じました。
(ちなみにミドガルドが死ぬこと自体は全く問題ではありません)

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月は無慈悲な……いえ、慈悲深い夜の女王。

しかし地球に美しい顔を見せてくれる月も、その裏側は見えないだけで確かに存在しているのです。

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EX:アグリッパの退場と、ギンガナムへの責任の押しつけ問題


ミドガルドおじさんの記事としては、これで終わりです。
さて、ここからは例によって脱線というか、おまけ、蛇足……いや、えーと、エクストラコンテンツだよ。得したね!

『∀ガンダム』の後半または結末について、「ギム・ギンガナムにすべての責任を押し付けて物語を収束させた」とか「ディアナの御威光ですべてが上手くいく都合の良い展開」といったような見方もしくは批判がありますね。
これについては富野監督本人の発言もありますし、すべての責任かはともかく、確かにギム・ギンガナムで物語を落としたので、そういう側面はあろうかと思います。

ただ個人的には、その問題を考えるには、今回取り上げた第44話 「敵、新たなり」でアグリッパが退場することについて検討することが有意義ではないかと考えています。

ディアナ・ソレルにとって政敵といえるのはアグリッパ・メンテナーだけです。
2人の議論は真っ向からぶつかり、平行線のまま終わりましたが、互いの立場からは正しい主張をしており、指摘を認めあっている部分もあります。

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例えば、アグリッパが地球帰還作戦を300年反対し続けていたという話。
『∀ガンダム』という物語が、月と交渉しようというイングレッサの領主グエン、黒歴史のマシンを正しく使えるロラン・セアック、そして何より女王と瓜二つのキエル・ハイムなど、あらゆる条件が揃ったことであのエンディングにたどり着いた奇跡だと考えれば、アグリッパの反対はそれに確実に影響したともいえるでしょう。

もっと早いタイミングで地球帰還作戦が実施されていれば、文明格差はさらに開いており、戦力バランスを調整するホワイトドールも都合よく目覚めないだろうし、半ば強引に入植する形でアメリアのサンベルトは奪われていたかも知れない。

その摩擦から戦争は避けられず、戦力格差もあって地球側には多大な犠牲が出て、闘争本能に火がついたディアナ・カウンターは一方的に蹂躙する……といった最悪のシナリオも考えられる。
地球帰還作戦が起こす闘争の危険性については、ディアナも認めていることです。

一方でアグリッパの唱える闘争本能を恐れて、月で静かに暮らしていくという主張。
これに関してはディアナが、冬眠カプセルで得られる長寿は所詮永遠ではないと批判し、地球人キエルも引きこもってもそのうち地球の方からやってきますよ、と批判しています。
この状況下で現状維持を望むのは現実を見ていないに等しいと。

また、もし地球人が月にやってきたらギンガナム家で排除する!闘争本能が目覚めたものは全員排除!というアグリッパに対しては、闘争本能を否定しながら闘争本能でそれを抑えようという矛盾を指摘しています。

要は、保守と革新の対立であり、管理と放任の対立であり、虚構と現実の対立でもあります。

アグリッパの主張は、彼がなぜか病的に闘争本能を恐れるために、現実性に乏しく、矛盾をはらんだものになってしまっているが、本来どちらも選択したときに、それなりのメリット、デメリットが存在しうるはずで、必ずしも女王ディアナが正しいわけではないはずです。
それらの問題を自覚した上でそれでもなお、地球で人らしく生きるのだ、というのが女王の考え方であり、立場であるに過ぎない。

しかし対話は平行線のまま、アグリッパ暗殺という形で、ディアナだけが残される。
個人的にはこのアグリッパとディアナの対立構造が、この第44話で消滅してしまったことこそが大きいような気がしています。
アグリッパは立場上、月から動かない(動けない)し、ラストの舞台を地球にするなら、月で何らかの決着をつけなければならないから、大変処理が難しいキャラクターだとは思いますが……。

アグリッパ、ミドガルドが死に、これで地球帰還作戦の反対者は存在しなくなってしまいました。
残るギム・ギンガナムは月の女王としてオトシマエを付ける存在に過ぎません。

EX2:アグリッパとの対立構造を維持する方向性はあるか(感想戦)


あくまで本編を尊重した上で可能性を探る(いつもの感想戦)としては、アグリッパを闘争本能否定というイデオロギーを中心にしたキャラクターではなく、もっと政治人間にする方向性は考えられるかな、という気はします。

どうしても画面からは、アグリッパ=闘争本能恐怖おじさん、という印象を受けてしまい、現実から目を背けた病的な闘争本能否定主義が先に来ているように見えてしまいますが、恐らく本来は違うはずなんだろうと思います。

ですからアグリッパを、徹底的に月の世界の現実に即したリアリストにしてみる、という手はあるかも知れません。

政治家として、豊かとはいえない月世界を維持しながら地球帰還作戦を行うのがどれだけ大変か、という点から反対する。
仮に戦争になれば、さらに月の負担は増大しますが、月はギリギリなのです。
月の都市はデリケートなので、ちょっとしたテロなどで深刻な機能不全を起こす危険性もある。情報統制もやむを得ない。
また地球帰還を望まないものも調査では全体の○%もいる。地球帰還だけに国力をかけるわけにはいかない。
月世界も維持し、月で暮らし続けたいという市民もサポートする義務がある。
なぜなら、それもまた我々が守るべきムーンレィスだからだ。

みたいな感じにして、国力や治安維持など行政上の問題が第一で、情報統制や闘争拒否はあくまで副次的なものにする。

イデオロギー的なリーダーはあくまで女王ディアナのみとして、アグリッパを政治家として月の現実から見た反対者ということにすれば、もしかすると、アグリッパは暗殺という形で処理されなくて済むのかも知れない。

これはアグリッパというキャラクターの生死が問題なのではなく、対立構造の消滅を問題と考えるので、構造と引き継ぐキャラクターがいるのなら、別にアグリッパは死んでも良い。

政治家キャラの使い勝手がいいのは、女王ディアナの地球帰還作戦に対してのあくまでも反対政策の立場にしておけば、状況の変化によっては融和も協力もできることになるから。それが政治家というものなので。
個人のイデオロギー同士の対立になると本編のように、もうどちらかが死ぬしか終われないかも知れないから。

EX3:アグリッパの退場によって一人残されたギンガナム


この第44話でアグリッパが退場したことによって、ディアナ・ソレルの戦いは事実上終了したと考えていいはずです。
ただ、それが暗殺退場という形なのでね。何か別の形もありえないか、感想戦として検討してみる価値はあると思っています。

あとはギム・ギンガナムが残っているが、これはもうディアナ・ソレルの敵というより、ありとあらゆるものの敵となっています。
よって対ギム・ギンガナムという形で物語は収束していくことになり、前述の批判に行きつくわけだが、月の統治者としてのディアナの戦いの相手はギンガナムではなく、そもそもがアグリッパ・メンテナーであろうと思う。

個人的には、アグリッパとの対立構造の作り方と、それを暗殺という手段で終了させてしまったことこそ「ディアナにとって都合の良い展開」としての問題をはらんでいるように思えます。

つまり「ギム・ギンガナム1人を悪者にした」という結果的なことより、「アグリッパとの対立構造をここで消滅させた」ということの方が、ことの本質ではないか、ということです。
(ただ、本編のアグリッパはここで殺してでもおくしかないようなキャラクターとして造形されていると思いますが)

ですから「なぜギンガナムに全てを押し付けたのか」より、「なぜアグリッパを退場させざるを得なかったか」を考える方が個人的には意義があるように感じています。

かといって物語の最後の敵をギンガナムにやってもらうことが間違っていた、とは思いません。
あの状況下での人選としてはギンガナムしかいないと思いますし、ターンAとターンXが相打ちとなり繭玉に封印されるべきでしょうからね。

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惑星の午後、僕らはキスをして、月は僕らを見なかった。<『∀ガンダム』最終話「黄金の秋」より>

ジャンダルムの破壊された脱出口と同じように、女王ディアナがわがままの代償として受け止めることを課されたカットの話が出てきます。


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