"The world around you is not what it seems."
(あなたの周りの世界は、見えたままとは限らない)



Googleが提供する位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」。

現実世界をゲームフィールドにした、世界規模で行う陣取りゲームです。
私はプレイしてないのですが、話題になっていますね。

ある神秘的なエネルギーがヨーロッパの科学者チームにより発見されました。その力の起源や目的は未知ですが、研究者の中には、この力が我々の思考に影響を及ぼしていると考えている者もいます。我々はそれをコントロールしなければなりません。さもなければ、それは我々をコントロールするでしょう。

「エンライテンド(覚醒者)」はエネルギーが我々に与えるものを受け入れようとしています。
「レジスタンス(抵抗勢力)」は人類に残されたものを守り、保護するために戦っています。


このような設定の元、現実世界にゲーム世界のレイヤーが重ねられ、スマホ片手に歩きながら、拠点(=ポータル)を巡って勢力争いが繰り広げられているそうです。

「Ingress」やってないので分かりませんが、プレイしている人のことは「イングレッサー」と呼ぶのでしょうか?……イングレッサ?

ということは、北米ではイングレッサ・ミリシャとディアナ・カウンターが、肥沃なサンベルトの取り合いをしてるんでしょうか。してない。いや、してて欲しいのでしてることにする。
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そう考えていくと猛烈にプレイしたくなるのは、富野アニメ位置情報ゲーム。
我々が現実世界に仮想世界のレイヤーを重ねるなら、それは南米にジャブロー基地が存在する富野アニメ世界であるはずだ。
ノックスを崩壊させたいし、セントアンジェを探したいし、ウーイッグがどちらか訊きたい。

ポータルを探しながら色々歩いていたら、いつのまにか見たこともないマップが表示され、それがバイストンウェルだったりしてもいいんじゃないかな。
世界で限られた人間がオーラーロードを通って召喚されるような感じで。

世界中でプレイするためには、アニメに登場したスポットだけではとても足らないので、世界中をマウンテンサイクルにして、そこでモビルスーツなど黒歴史の遺物を発掘することにするのがよいかな。

良いマウンテンサイクルの採掘権を守りつつ、発掘していたらブラッドテンプルの頭部や謎の青い石、川村万梨阿のチャム・ファウ写真が発掘されたりするでしょう。
ゲーム的に設定された拠点ポイント(ドーム)に行くと、ポイントに換金されたり、最新ウォーカーマシンがもらえたらいいんじゃないかな。
そしてもちろん、「核」も掘り出されてしまう。

核を掘り出してしまったプレイヤーは、月まで捨てに行かねばならない。
というのは冗談ですが、何か取り合いが発生して、一歩間違えば夜中の夜明けになってもいいのかも知れないし、ジャブローで起爆することが選べてもいいのかも知れない。
その過程を『指輪物語』みたいなプロセスにしてもいいかも知れない。

アムロのように鉱山基地を破壊したけど無数にある鉱山のひとつに過ぎなかったように、世界中にマウンテンサイクルがあり、それを巡って争いが起これば、大変なことになるでしょう。
そのとき、ディアナ・カウンターのリーダーと、それに敵対するイングレッサ・ミリシャ側の少女が、持ち前の茶目っけで、こっそりGoogleアカウントを交換していたことを、そしてそれがこの争いを終結に導くことを、誰も、当の本人たちさえも知る由もなかった。

ちなみに私は行儀よく真面目なんて出来やしないので、世界中のドームを襲撃して壊してまわりたいと思います。




そのシビリアン、凶暴につき


「襲撃」といえば、『戦闘メカ ザブングル』を北野武監督で実写化する妄想。
出演者として、主人公ジロン・アモス役に、ねじめ 正一。ではなくビートたけし。(あの格好します)
アイアンギアの面々に、たけし軍団。
彼らは、フライデー……金曜日にイノセントのドームに殴りこみをかける。
盗まれるウォーカー・ギャリア。破壊されるレンジローバー。
「だ、誰か、あいつを止めなさーい」と叫びながら彼らを追う、イノセント役の明石家さんま。
にやりと笑いつつ、一足先に逃げ出すティンプ・シャローン役の大杉漣。

とりあえずダンカンは、サンドラットの一員が似合いすぎると思う。(ダイク的な意味で)
エルチは岸本加世子でいいんだろうか。ホーラは誰がやればいいんでしょうかね。最初、三田村邦彦と思ったんですが、いっそ福山雅治とかがやればいいんじゃないかという気もしてきました。

メガネキャラのコトセットはどうしようか。主演ビートたけしを踏まえて、松方弘樹にする方向もあるけれど、そうなると自動的にブルメが高田純次になって、トロン・ミランが「ゆきねえ」こと兵藤ゆきになるけどいい? 悩みの相談、兵藤ゆき。(西日本番長地図)

ちなみに私の実写版『ボトムズ』脳内キャストは、ル・シャッコを大杉漣にしたことで、キリコが小野寺昭。フィアナが夏目雅……瀬戸内寂……前田美波里。ロッチナに大和田伸也となっています。
そして、イプシロンに近藤正臣。
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俺の『エルガイム』に確かなものが何にもないわけがない。(電撃文庫)


さて前置きはこれぐらいにして。前置きが長い?知らない。わたしは私の道(マイ・ロード)をゆく。


Twitterで見かけた、あでのいさんと、おりたさんの『重戦機エルガイム』話。
私も『エルガイム』好きではあるんですが、これを見てふと、どういう可能性があったのだろうかと色々考えてしまいました。
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その昔、土曜17時半の時間帯はロボットアニメ枠でしたが、その中で特に『戦闘メカ ザブングル』から『機動戦士ガンダムZZ』までは、富野監督作品が5年間連続で放送されるという状況でした。
まさに「富野、富野、雨、富野」という感じで大連投され、「富野由悠季ランド」が毎年開園されておりました。すると制作状況はどうなるのか。


Twitterで教えて頂きましたが、やはりかなり大変な状況だったようですね。

こうした当時の『エルガイム』の制作状況など外部状況はひとまず置いて、話をしますが、これは現在から過去へ向けた「この方が面白い」「こうするべきだった」という話ではありません。いつもこのブログで行っている、可能性を検討する「感想戦」みたいなものです。

ジャコバの水晶球に映る「ゆるい」世界


監督ご本人も話していたと思いますが、主人公ダバ・マイロード君に問題があることはありますね。
ただ、私はダバをいじるよりは、彼が置かれることになる物語状況の方を検討した方がいいんじゃないかという気がします。

例えば、立身出世を目指して出てくる有望な若者が主人公ダバとそのライバル、ギャブレット・ギャブレー以外にもっとたくさん出てくるのも面白いかも知れない。

それこそ五つの惑星を擁するペンタゴナワールドなので、ダバクラスの若者がそれぞれの惑星から、それぞれの目的と手段で出てくるとか。

ある者は経済的に立身出世を目指し(打倒アマン商会)、ある者はポセイダル圧政下でのジャーナリズムに命をかける。そして、ある者は宇宙海賊として乱世を望むがゆえに反体制で暴れまわる。
そして、その中のひとりとして、滅ぼされたヤーマン王家の血を引き、復讐に燃える若者(ダバ)もいる。

幕末みたいに色々なタイプの立身出世の若者がいた方が楽しいし、主役リソースを準主役級に分散しての主人公ダバ・マイロードなら、あの都会ぶったシチューのような薄さがちょうどよくなるかも知れないね。
ダバの魅力を無理に付け足そうとするのではなく、英雄の魅力を複数人で分散して受け持つなら、ダバはむしろあのままでもいいかも、ということです。隋唐演義みたいにならんかな。

ステラ・コバンとジェネラル・クロソを合わせたような感じで、王家の末裔と偽って人心を集めて反乱軍をまとめあげる若者と、実際に王家の血を引くけどそれを隠したまま反乱軍に参加するダバみたいな感じにして、対比させながら進めていくのも楽しいかも知れない。
生まれながらの背景を持つもの、持たざるもの、どちらがリーダーにふさわしいのかも含めて。

宇宙に立場の違う主人公格がたくさんいるパターンだと『ディーヴァ』(T&E SOFT)になるかも知れない。その場合、最終的に目指す惑星はガストガルではなく、ナーサティア双惑星になりますね。
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こうした群雄割拠型の方が、登場人物がみなダバの方を向いている(でもダバ自体にそんなに魅力はない)という状態が解消される気がします。

ダバの親友ミラウー・キャオなんかも初期は、ポセイダル軍入って出世する!みたいに考えていたので、ギャブレーと組んだり、他にやりたいことが見つかって独立したり、ダバ依存を解消した方がより魅力的になるかも知れない。

一部の世代にしか通用しない例えかも知れないが、マンガ『F』における、主人公・軍馬に対するメカニック・タモツにするというか。
ダバの欠点や限界も分かった上でサポートしたり、自分の目的のために離れたりできるようなキャオ。
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また『エルガイム』はどうしても『スターウォーズ』変奏曲という面も強いのですが、ひとつのパターンとして「貴種流離譚の復讐劇」を強調する方向があると思います。
多分、それを突き詰めると『コードギアス』的なものにつながっていく。ていうか、さっき実際に脳内でつながりました。
敵方には、十三人衆(ナイトオブラウンズ)もいるよ。
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確かに『エルガイム』から見て、『コードギアス』は貴種流離譚の復讐劇パターンとしてのひとつの答えだと思います。しかし、これは方向性のひとつでしかありません。

『エルガイム』は、田舎の若者が都会で就職しようと上京するけれど、就職先の企業やそこにいる大人がろくでもないので会社を転々としたあげく、仕方なくベンチャーの社長になるような話でもあります。
僕らはどこに就職したらいいの?どの大人についていけばいいの?大人の支配から逃れる術はないの?という話ではあるとは思うので、その方向で膨らましても面白いかなとも思います。
ダバはやりたくて代表取締役になるわけではないうえに、結局、悪い大人(アマン商会)の融資を受けないと会社を維持できなかったりするのですが。

中島敦『悟浄出世』ではないですが、ダバがポセイダル軍を始め、ゲリラや反乱軍、平和運動組織など、とりあえず経験してみようと、いろんな団体・組織に入ってみるけれど、そこにいる大人を見て、なるほどみんな大人がどんなものか分からないけど、分からないなりに大人の顔して大人をやるのが暗黙のルールなんだと気づいていく一話完結性が強いものとか。

あとは『エルガイム』の先にあるものとして、『∀ガンダム』を見ても面白いのかも知れない。
永遠の女王が退位する物語として。ディアナ・ソレルは、ポセイダル(ミアン)、女王マリア(Vガンダム)と違って、もともと男性の傀儡ではないけれども。
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『ザブングル』『ダンバイン』そして『エルガイム』と、土曜17時半の大連投が生んだオリジナルロボットアニメ群は、その制作状況からも充分満足のいくものが出来たとは言い切れないのですが、その成果は『機動戦士Zガンダム』へつながっていきます。

特に『Z』直前の『エルガイム』と永野護の存在は大きい。
ペンタゴナ・ワールドは神様が3人いて混乱するし、何かと「ゆるい」。それは確かです。
けれども私は、永野護にビジュアル面を全て任せるのが許されるような「ゆるい」世界が、あのタイミングに生まれて本当に良かったと、こころから思っています。
それがビッグプロジェクト『機動戦士Zガンダム』制作のための捨て駒としての産物だとしても。
その後を見て分かるように、やはり『機動戦士ガンダム』の世界ではそれが許されなかったから。




Google検索のサジェストに「ベルトーチカ うざい」と表示されてしまう件


さて、『エルガイム』の後番組『Zガンダム』で登場した、ベルトーチカ。(埼玉県入間市出身)
声は『エルガイム』のガウ・ハ・レッシィ役であり、永野護夫人でもある川村万梨阿さん。

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ベルトーチカは場合によって「宇宙世紀三大悪女」に数えられることがあるほど、世間的には何かと嫌われたり、うざがられたりしているようですね。

私はわりと好きだったりします。
嫌う気持ちも分からないではないですが、物語中の役割もあって、あのキャラクター、あのデザインだと考えています。

そんな彼女の最大の仕事は、カミーユに対して「アムロにガンダムMk2を譲れ」と言ったことでしょう。

ベルトーチカ「もう慣れた? ガンダムMk2」
カミーユ「ええ」
ベルトーチカ「どれだけ実戦を経験したかが物を言うのよね、モビルスーツ戦は」
カミーユ「何が言いたいんです?」
ベルトーチカ「率直に言うわ。アムロさんにMk2を譲らない?」
カミーユ「ええっ?!」
ベルトーチカ「あの人の方が有効にMk2を扱えるわ」
カミーユ「アムロさんがそう言えって?」
ベルトーチカ「まさか! でもガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」
カミーユ「どいてください!」
ベルトーチカ「アムロさんは一年戦争の英雄なのよ? 英雄には、英雄に相応しいマシンがあるはずよ」
カミーユ「僕には相応しくありませんか! Mk2は?」
ベルトーチカ「あなたのことを問題にしてるんじゃないの。あなた、アムロが嫌い?」
カミーユ「まだ好きにはなれませんね」
ベルトーチカ「これはアムロの為になることなのよ。もっと自信を付けてもらう為には。カミーユ!?」
カミーユ「それはあなたの同情ですね! そんな哀れみは、いつかアムロさんを殺すんじゃないんですか?」

第17話 「ホンコン・シティ」より (台詞はこちらから引用させて頂きました)


「ガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」

これは単なる兵器としての「ロボットの乗り換え提案」ではありません。
『ガンダム』続編として、物語として、主人公の座をよりふさわしい者に禅譲したら?という提案です。

富野アニメでは視聴者が考えるようなことを先回りして作中で処理しておくことが良くありますが、このシーンもそうしたひとつで、彼女が言わなければ、この台詞はいずれ視聴者が言うことになったはずです。

前作主人公アムロ・レイが続編である『Zガンダム』に再登場した以上、作中で誰かが言わないといけない台詞なのですが、外部から来た空気を読まないキャラクターとしてベルトーチカが言うことになりました。
このシーンは恐らく、彼女が嫌われる理由のひとつになっているでしょうが、必要なプロセスであると私は思っています。

ただベルトーチカが言うように「英雄には、英雄に相応しいマシンがあるはず」というのは、子供だった私も思っていました。
なにしろ『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイが復活して、再び戦うわけです。
「僕がいちばん上手くガンダムを使えるんだ」と自負し、実際、最高に上手く使い切ったアムロがです。
しかし、ガンダムはMk2の一機しかありません。さて、誰がガンダムに乗るべきなのか。

ちなみに第17話 「ホンコン・シティ」の前には、カツ・コバヤシがガンダムMk2で無断出撃してピンチになる回(第15話「カツの出撃」)もあり、伝説のホワイトベースで、アムロと一緒に一年戦争を生き抜いた子供でもダメという前振りがされています。
下手するとベルトーチカよりよほど嫌われているカツですが、その経歴からいえば、普通のアニメなら主人公としてガンダムに乗っても不思議ではありません。でもカツはガンダムに乗るために生まれたキャラクターではないのです。
カツがダメなんだ……というのは、リアルタイムにカツより年下の子供だった私にはそれなりに衝撃だったと思います。

カミーユを主人公と認めた日


個人的な記憶では、子供時代にリアルタイムで『Zガンダム』を見ていたとき、ここまでのカミーユ・ビダンはどうしても難しい子というか、ナイーブでとっつきづらい子ではあったので、主人公(つまりガンダムのシートに座るもの)として、そこまで受け入れていなかったと思います。

子供の私から見ても、アムロの方が気難しくないし、ガンダムの操縦が上手くて経験も豊富だし、何より前作『機動戦士ガンダム』でアムロをずっと応援してきたわけで、思い入れもあります。
アムロの方が主人公として、ふさわしいかどうかは別として、心理的な抵抗がなかったと思います。

そうした個人的な前提があった上で展開された、「ガンダムを譲れ」のシーンです。
そう!ガンダムと言えばやっぱりアムロだよ!

アムロへガンダムを譲れ、と迫るベルトーチカ。

不快感を露わにして拒むカミーユ。

そしてなぜか、それを見て「カミーユ、Mk2を譲らなくていいよ!」と思う子供の私。……あれ?

ガンダム主人公による「俺がガンダムだ」の正しさ


大人になった今の私がまず思い出すのは、このブログで多用する、相田みつを先生のお言葉です。

「Zガンダムはねぇ カミーユのために この世に生まれてきたのでないんだよ Zガンダムがさき カミーユはあと」

玩具メーカーのコマーシャルフィルムだった時代のロボットアニメは、その性質上、ロボットの登場は大前提として運命づけられています。(ロボットがさき)
キャラクターや物語・世界観は、ロボットを魅力的な存在にするために産み出されたものです。(キャラクターがあと)

カミーユ、もちろんアムロもですが、モビルスーツ・ガンダムに乗ることを前提としてつくられたキャラクターです。
その逆、カミーユというキャラクターをかっこよく描くために検討された結果、巨大ロボットが選ばれたわけではありません。

ガンダムは主人公キャラクターを必要とし、主人公キャラクターはガンダムを必要とする、と書くと、共依存みたいですが、実際にカミーユがガンダムから降りてしまうと、キャラクターとしてのそもそもの存在の拠り所を失います。
アムロの方がガンダムの操縦が上手いとか、そういう問題ではなく、カミーユ・ビダンはガンダムに乗り、戦い続けなければカミーユ・ビダンとして存在できません。(そして最終的にああなりました)

ガンダムに乗れない子供であることを証明したカツ。
乗れるのにガンダムに乗ろうとしないアムロ。
そのアムロをガンダムに乗せようとするベルトーチカ。
それを拒むカミーユ。

それぞれが正しいスタンスによる、必要なアクションをとっていると思います。

その中でも特にベルトーチカはなかなか損な役回りをしているのですが、前主人公アムロをガンダムに乗せようとして現主人公が断る、というプロセス自体は絶対に作中でやっておくべきだったと私は思っています。

そのためには、本当に番組を見てる子供ぐらいの空気の読まなさで、「Mk2はアムロが乗ればいいのに」と口に出してしまうような人が必要なんですよね。

これらを踏まえて改めてベルトーチカを見ると、最初にアムロに会った際に「ニュータイプといっても普通ね」と思ったことそのまま言ったり、クワトロに「平和なインテリジェンスを感じない」と、全く正しいけど、その場のメンバーには絶対口に出せないことを言ったり。
率直にものが言えるキャラクターとして最初からデザインされています。

その一方で、若いベルトーチカを批判させるに最もふさわしいであろうミライさんを登場させて、たしなめさせてもいます。

ミライ「ベルトーチカ、急いではダメよ。人と人の関係なんて、おんなじよ。時間を掛けてゆっくりとわかっていくものよ」


さすが! ミライさんの言うとおり! と、思ってくれれば、この台詞の価値はさらに増します。
まだ若く率直すぎるベルトーチカをきちんと批判できるアンチキャラクターを配置することで、作中でのバランスはある程度、とられているのではと思います。

とはいえ、ベルトーチカが嫌われてしまうにはそれ相応の理由があるのでしょうから、そう思うことを悪いとは全く思いません。
ただ、彼女はきっちりと役割果たしているので、良いキャラクターだなと私は思います。
アムロのお尻を叩き、奮い立たせる金髪キャラとして登場するところも含めてね。

以上。
今回は、誰かが口にすべき「ガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」を作中で言ってくれた女性。かしこい、かわいい、ベルトーチカさんのお話でした。

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ベルトーチカ余談。
当時、子供の私が読んでいた雑誌(ボンボンなど)で事前にアムロが乗るモビルスーツが「ディジェ」だったと知っていた可能性はあると思います。さすがにこのシーンの前にそれを知っていたかどうかの記憶はありません。
ただ事前に知っていればなおさら、「えー、アムロってガンダム乗らないの?」と子供は単純に思うはずなので、「ガンダムを譲れシーン」はそれでもやる意味はあったんじゃないかな。

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男は何かに怯えるように、震えながら全てを語った。

アニメ大好きな大人たちが集まった収容施設「511キンダーハイム」。
そこで少年ヨハン・リーベルトは、大人たち全員が憎しみ殺し合うのを、上から、悠然と、ただ眺めていた。
そのとき彼……ヨハンは、ひとこと、たったひとこと声をかけただけだったんだよ。

ただひとこと「物語の“リアリティ”…って何ですか?」と。


アニメにおける「リアリティ」話は、ゲームにおける「ゲーム性」話と似た危険性を持っています。
すでにある定義を共有している仲間内や、定義が不十分でも文脈理解力のある人(普通程度でOK)との間なら、特に大きな問題は起こらないでしょう。

ただ言葉の意味がとにかく広いので、不特定多数に向けた場合、誤解によるトラブルが発生しやすいのは確かだと思います。

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力石くん、ここにひとつのまとめがあります。これをお読みなさい。(白木葉子)

「新セーラームーンはリアリティが無い」という暴論。あるいはSEEDとザブングルどっちがリアルか問題
http://togetter.com/li/695141

あでのい 17歳女子高生さん(@adenoi_today)によるTogetterまとめ。
新旧の『セーラームーン』を中心に、『戦闘メカ ザブングル』『機動戦士ガンダムSEED』などのロボットアニメの話題も交えて、アニメにおけるリアリティコントロール、リアリティレベルの統一について語られています。

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先日、日本はおろか台湾(の一部)でも注目されるほど、大きな話題となりました。
広く拡散しましたからすで知っている方も多いでしょうが、面白い話題なので未見の方はぜひご覧になってください。

御本人もタイトルにヨハン・リーベルト成分が含まれていることは自覚なさってますが、このまとめにはさまざまな反応が寄せられました。

そうした中に「『セーラームーン』の話に、ロボットアニメを引き合いに出す必要はあるのか?」といった反応も見受けられました。

これはあります。
ロボットアニメを持ち出すことそのものは的外れでも何でもないと私は思っています。
それはなぜか。

『セーラームーン』といえば「愛と正義のセーラー服美少女戦士(自称)」ですが、この要素を物語に組み込むことは、巨大ロボット「モビルスーツ」を組み込んで物語を構築することと本質的には同じはずだからです。

ロボットアニメでは「巨大ロボット」という虚構性の高い、大嘘ガジェットを作品世界に存在させるために、それを受け入れる世界やキャラクターなど作品全体でロボットの存在を支えてもらう必要があります。

以前引用した名言に再度登場してもらいましょうか。

富野由悠季監督「ロボット物をらしく創る要素は、ロボットを動かしてもいい世界観をつくることである」


これは逆に言えば、「ただロボットが存在しているだけでは、ロボットアニメは成立しない」ということを示しています。世界、キャラクター、さまざまな描写が、薄っぺらな二次元のロボットを立体的にする。
同じように『セーラームーン』も、ただ単に「セーラー服美少女戦士」が存在しているだけでは不十分だと考えます。

実際、『ガンダム』も『セーラームーン』も魅力的な被写体が最大限活きるように、サイズの大きい嘘でも入るような世界を用意し、本当(現実と地続きな部分)を混ぜたり、補強する小さな嘘を重ねたりして工夫がされています。

「セーラー服美少女戦士」と「ロボットアニメ」の比較に意味はあるか


確認しておきたいのは、魅力的な被写体(キャラクター)やビジュアル(絵面)、それらから展開されるであろう面白い物語を作ることが目的であって、リアリティは説得力や言い訳や魅力を増加させるものとして、目的を支える側の立場だということです。

リアリティのために作品が作られるわけではありません。
リアリティに作品を合わせるのではなく、作品のためにリアリティを合わせるという関係。
だからこそ「リアリティコントロール」と言うぐらいには、作品に合わせて調整(コントロール)して運用できるような柔軟なものなんだろうと思います。

とりわけロボットアニメなどは「実現すべき嘘のサイズ」がひときわ大きいジャンルです。
嘘が大きいからこそ作る側は、物語に組み込む過程でロボットを輝かせるためのリアリティを考えざるを得ないし、コントロールせざるを得ないはずです。

例えばもしそれで、作品が「何でもありの世界」になったのであれば、それは作品の魅力が最大限発揮できる舞台として「何でもありの世界」が選ばれた(設定された)ということでしょう。
リアリティなんか最初から無いのではなく、視聴者が「この作品のリアリティなんて、求めてないし気にしてないよ」と違和感なく思える世界を用意できたわけで、それもまた適切なコントロールであると思います。

このように、物語、特にキャラクターから背景から全てが絵空事のアニメーションでのリアリティは、自然に存在するものではなく、意図を持って設定され、コントロールされることで存在する要素です。
それは「美少女変身モノ」でも「巨大ロボットアニメ」でも変わりません。

もちろん、こうしたコントロールが上手な作品もそうでない作品もありますし、それら作品に対する批評や比較が適切なのかどうかという問題は存在します。それこそ言葉の使い方の問題もあるでしょう。
ただ、「美少女変身モノ」と「ロボットアニメ」のリアリティについて比較しながら考えてみることは別に無意味ではないはずです。私はそう思います。

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私は残念ながら『セーラームーン』については全く詳しくないですし、新しいシリーズも見ていません。
ジャンル比較などは出来ませんが、ロボットアニメの方でもう少し、大嘘ガジェットを支える世界とその描写について考えてみましょう。

『ザブングル』で感じるリアリティとは何か


題材は、まとめ内でも巨大ロボット物のリアリティの例として出されていた『戦闘メカ ザブングル』。



二代目主人公ロボットであるウォーカー・ギャリアに初めて乗った主人公ジロンの「おっ! この音は16気筒か!」のリアリティとは一体何なのか。
いや、これから私がするのは別にリアリティの話ではないですね。
ロボットのために用意された物語世界と、それを画面越しに見る私たちの世界とのつながりの話です。
(そして、いつもの当ブログらしく、富野アニメについてぐだぐだ書く流れです)

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なぜウォーカーマシンは「ガソリンとハンドルで動くロボット」なのか


『戦闘メカ ザブングル』の舞台は、星ひとつが砂漠化して西部劇化した「惑星ゾラ」と呼ばれる地球です。
私たちの住む水の惑星地球とはかなりかけ離れている荒野の惑星ゾラは、ゴロツキどもが巨大ロボット・ウォーカーマシンで商船団を襲うような世界で、ゾラは世の中荒れ放題。ボヤボヤしてると3日以内にバッサリな世界でもあります。にっちもさっちも。にっちもさっちも!

『ザブングル』のウォーカーマシンといえば「ガソリンとハンドルで動くロボット」。
動力源は「ガソリンエンジン」。操縦方法は「ハンドル」や「クラッチ、アクセル、ブレーキ」。

主人公たちがハンドル操作で「どうやって、人型ロボットをこんなに器用に動かすの?」といったアクションを見せることもあって、よく面白いものとして(バカにするのも含む)取り上げられたりすることもあります。

確かにコメディ成分が多分に含まれる『ザブングル』の作風もあって、ウォーカーマシンはユーモラスでおおらかな作品の象徴ではあるでしょう。

ですが私は、この「ガソリンとハンドルで動くロボット」という設定が、世界観上とても重要だと思っています。

※追記:ハンドル操作はザブングルなど一部で、ウォーカーマシン全てがハンドル操作ではありません。
「ガソリンとハンドルで動くロボット」は、主役機ザブングルをイメージしたシンボリックな表現とお考え下さい。
実際、以後はハンドルではなく「ガソリンで動く乗り物」の話がほとんどです。


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(2014/06/19)
不明

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荒野の惑星であるゾラは、私たちの地球とはかなり異なる世界。
異世界を舞台にした、主人公ジロンたちのタフでコメディあふれる巨大ロボット大活劇。
まぎれもなくフィクション。当時子供であった私を毎週楽ませてくれたTVまんがです。

ところがその中で「ガソリンとハンドルで動くロボット」であるウォーカーマシンだけは、現実世界にいる私たちが直接のつながりを感じることが出来る設定となっています。

私たちは、化石燃料で動く車に乗り込み、ハンドルで操作していますからね。
もちろん、車とウォーカーマシンでは足の有る無いの差はありますが、動力とインターフェイスは同じですし、個人ユースの「足」という機械への距離感はかなりよく似ています。
そもそも、二足歩行の巨大ロボットなど虚構性の高い存在なのですから、不思議動力と不思議インターフェイスで動く不思議ロボットでも構わないのですが、ウォーカーマシンはそうはなっていません。

ですから、ジロンが新型ウォーカーマシンを前にしたときに発した「おっ! この音は16気筒か!」という感動を、私たちはダイレクトに理解することができます。
(もちろん私はエンジン音で見分けがつくわけではないですが)
いきなりアクセル吹かしてエンジンが風邪をひくのもそう。
私たちはガソリンとハンドルで動く機械の扱い方も、良い所も悪い所も知っている。ジロンたちのように。

こうして「ガソリンとハンドルで動くロボット」で、私たちと異世界とのつながりを作っておいた上で、物語が進むと、その異世界ゾラが実は未来の地球の姿だと分かります。(前半に判明するレベルのネタ)
つまり「ガソリンとハンドルで動くロボット」に対する共感は、単なるフィーリングの問題ではなかった。
ウォーカーマシンは今私たちが乗っているガソリン自動車の延長線上にあるものだったわけです。

ザブングルは男の子。と同時に、ザブングルはクルマの子でもあったわけです。
そして僕らはアトムの子。どんなに大きくなっても、心は夢見る子供さ。
(頭に浮かんだことをそのまま書くところがね)

世界とキャラクターと視聴者をつなぐためのロボット


さらに考えれば、さらに面白くなります。(訳:こっからさらに長いよ!)

『ザブングル』劇中には、2つの人類が登場します。
ひとつは、主人公ジロン達、強い生命力を持ったたくましい「シビリアン」。
もうひとつは、惑星崩壊前のテクノロジーを保持している支配層「イノセント」。

惑星ゾラは天変地異により、普通の人類(イノセント)が住めない環境になってしまいました。
イノセントの「再び大地を踏みしめたい」という思いが、二足歩行の機械ウォーカーマシンを生み出しました。
これは『ザブングル』での二足歩行ロボットが登場する言い訳ではありますが、まさしく文字通り「足」としてのマシンであったわけです。我々が自動車をそう思っているように。いやそれ以上の気持ちで。

イノセントはさらに、この過酷な惑星に適応した人類を人工的に生み出しました。
その人類再生計画の完成形がジロン達「シビリアン」です。
生命力の強いシビリアンは、乾いた大地を走れないイノセントの代わりに惑星ゾラを元気に駆け回ります。

つまり、ウォーカーマシンもシビリアンも、イノセントの代わりに世界(惑星ゾラ)を駆けまわるものとして「作られた」ものなんですね。
その意味で、ザブングルとジロン・アモスはとても良く似ています。
ここで訓練された民であれば、『ザブングル』OPで、銃を構えたジロンに全く同じポーズで銃を構えたザブングルが重なるカットが思い浮かぶはずです。


サムネイルのドマンジュウ感が強いですが、そのカットは、1:16あたりから。
ちなみに私は、イントロでラグがバッと手足を広げるのが気持ちいい後期OPの方が好きです。


支配階級イノセントの立場・考え方・文化的背景は、私たち現代人に近いものがあります。
作品の設定からすればイノセントは、地球を崩壊させてしまった未来の私たちと言ってもいいかも知れない。

そのイノセントが次代の人類としてデザインした人類シビリアンは、野蛮で文化的ではなく、三日経つと全て忘れて刹那的に人生を楽しむような生き方で、私たち、特に現代日本人の感覚とはかなり異なります。
同じイノセントが作ったものとしては、自動車の延長線上にあるウォーカーマシンの方が親近感が持てるかも知れない、というのはこれまで語ってきたとおり。

この「主人公(シビリアン)よりロボット(ウォーカーマシン)の方が心理的距離感が近い」というのが、『ザブングル』の面白いところでもあります。

では主人公ジロンをはじめとした人工人類であるシビリアンのことを、私たちは理解できないのか。
できます。シビリアンと私たちをつないでくれるのも、また「ガソリンとハンドルで動くロボット」です。

ジロンたちは、Togetterまとめの例に出ているように、ガソリンとハンドルで動かす機械の喜びを知っているんですよね。
おニューのシートに座り、エンジンをかけて感動し、機械を子供のようにあやしたり、なだめたり、駄々をこねられたり。
新しい乗り物への感動。古い乗り物の面倒さと愛着。
そして惑星ゾラのモチーフである西部劇的にいえば「相棒」としての愛馬の存在感。

そのあたりのコントロールが非常に上手いなと思います。
新型ウォーカーマシンであるギャリアに感動するジロンは、確かに私たちとは異なる作られた生き物ですが、まさに私たちが新車を初めて運転するときの心の動きとまったく同じです。
私たちはジロンを理解できる。異星人でも人工生物でもなく、同じ感覚を共有できる同じ人類として。

惑星ゾラとシビリアンと私たちをつなぐ「ガソリンとハンドルで動くロボット」。
これはけしてコメディとして笑うためだけの面白設定ではないです。

大活劇のために生まれた子供たち


ウォーカーマシンも人工人類シビリアンも、イノセントの代わりに世界(惑星ゾラ)を駆けまわるものとして「作られた」もの


先ほどこう書きましたが、これを踏まえて、少し角度を変えてメタ的に考えてみるのも面白いかも知れません。(訳:もう少しこんな調子でさらに長くなるよ)

私たちとイノセントを重ねてみたとき、私たち=イノセントは、物語の舞台となる惑星ゾラで生きていくことができない種族です。西部劇よりも何倍も過酷なこの世界では、すぐに死んでしまいます。

しかし、惑星ゾラのためにデザインされた人類=シビリアンであれば、この荒廃した大地でたくましく活躍することができます。自然にしろ荒事にしろ、少々のことでは死にません。
精神的にも、文明崩壊した地球を前にシリアスに生きざるを得ないイノセントと違って、楽天的に単純に生きていけます。

つまりシビリアンは、惑星ゾラという活劇の舞台で活躍するためにデザインされた「フィクションチャイルド」と考えても面白いかも知れません。物語のためにつくられた人類という意味で。

私たち=イノセントのようなデリケートな生き物は惑星ゾラで活躍できません。
もっとリアリティレベルを下げた「フィクションチャイルド=シビリアン」こそ、この星の主役となるために産み出された存在です。

私たち=イノセントは、「フィクションチャイルド」であるシビリアンが惑星ゾラの大地で駆けていくのを眺めている。
イノセントは、安全なドームの中から。私たちは……そう例えば土曜夕方のTV画面から。

「三日限りの掟」「ブルーストーン経済」などのゲームルールを設定し、シビリアン同士が終わりない闘争とロボットプロレスをするように煽り、それが続くように調整していく。

ところが、ゲームルールを無視し、イノセント自体に反抗しようとするシビリアンが現れます。
これこそが主人公ジロン・アモス。彼は盗賊サンドラットですら疑問を持たずに律儀に守る世界のルールを悪用する形で無視し、あろうことかイノセントのドームを破壊して回る。
イノセントのシナリオにはない想定外の存在です。

物語中盤に発生するエルチ誘拐による洗脳は、この流れの場合、「シビリアン同士の闘争」シナリオへの軌道修正の試みでもあるし、「かつての仲間が敵となり戦う」という物語展開の演出をしたということになるかも知れない。

イノセントによる必死のシナリオ修正もむなしく、シビリアンの反乱は成功し、支配体制は打破される。
すると当然、私たちがイノセント演出のもと毎週楽しんできた、シビリアンたちのドタバタ放送もあえなく最終回となります。
ひたすら走り続けるジロンたちシビリアンを残して、私たちは残念ながら惑星ゾラを去ることになるわけです。(そして別の惑星系、ペンタゴナワールドへの移動を余儀なくされます)

※追記:惑星ゾラ→バイストンウェル→ペンタゴナですね。甘んじてジャコバ・アオンから浮上の刑を受けます。

ジロンたちは、私たち=イノセントが終わりない戦いを楽しむためにつくったすべてのシステムを破壊して、フィクションから開放され、物語のために作られた惑星を自分たちのものにしました。
彼らはイノセントなき惑星ゾラを走り続けるでしょう。

最終回を越えて、フィクションから解き放たれた惑星ゾラ


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『ザブングル』最終回後の世界を舞台にしたマンガ、『Blue gale(ブルーゲイル)』。
実は、表紙で分かるように、ラグ・ウラロが主役になっており、ジロン・アモスはもう死んでいる設定になっています。
私は当時、最初に読んだときには正直「あのジロン・アモスが死ぬかな?」と思ったりしました。
でも、物語の主役として「フィクションチャイルド」だったジロン・アモスが、最終回を越えて、そうでなくなったのだとしたら、あっけなく死ぬこともあるかも知れないと思います。単なる普通の人間として。

『Blue gale(ブルーゲイル)』ではさらに、ジロンと並ぶ物語の主役であるザブングルも、イノセント不在の世界で充分にメンテや修復ができず、近いうちに朽ちていく存在として描かれています。
これもジロンの死と合わせて、物語が終わったことで訪れる、フィクションの塊である主役ロボットの死と考えると面白いものがあります。

惑星ゾラは、こうして「フィクション・チャイルド」と「二足歩行巨大ロボット」が死に絶え、普通の西部劇世界になっていき、やがて『ベル☆スタア強盗団』につながっていくわけです。

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ちなみに、Togetterまとめで『ザブングル』と対比させる形で取り上げられている『ガンダムSEED』。
あの主人公は新人類「コーディネイター」で、ジロンと同じくデザインされた人類なんですよね?
私は『SEED』は見てないに等しいので何も語れないけれど、物語のためにデザインされた人間という形で比較すると面白いのかも知れないですね。

……と、いうようなことをTwitterで書いたところ、雪踏駄さん(@H926)が、以下のようなツイートをなさっていました。



『SEED』も『OO』もちゃんと見たとは言い難いのでコメントできないですが、興味深く拝見しました。
もし見る機会があるなら、参考にさせて頂こうと思います。

日本アニメのヒーローロボットvs実在の米軍爆撃機


さて、夏の『ザブングル』祭り2014と題しまして、本当にイヤになるほど長々と語ってきましたが、お別れの時間が近づいてまいりました。(訳:いい加減しんどいのでこのあたりで終わります)

「シビリアン」と「イノセント」の関係といえば、やはり当時の状況を踏まえつつ『風の谷のナウシカ』とも対比させて、新人類VS旧人類的な構図をとるのが自然かつ基本ではないか思います。

ただ、それだけで終わらせてしまうのは惜しいので、今回はフィクションを作る側(消費する側)と、フィクションに参加する側(フィクションチャイルド)という構図を持ちだしてみました。

本当は「フィクション」ではなく「フィクショナル」であるべきかも知れませんが、多分『蒼き鋼のアルペジオ』に出てきた「デザインチャイルド」が頭にあったんじゃないかなという気がします。
Twitterでツイートしながら考えたので、特に由来もなければ、使い方も適当なクラムボン級の言葉です。ニュアンスだけでも伝われば幸いです。

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「シビリアン」と「イノセント」の関係については、以前の『ザブングル』記事で少し書きましたが、「戦後占領下の日本人」と「GHQ」になぞらえる方法もあるかな、と思っています。
ただ知識も技術もないし、アニメをダシに社会と政治を語るような形になってしまう気がするので、そもそもあまり乗り気がしません。ただ、でっちあげることはできるな、とは思いますね。

私の「イノセント=GHQ」的なイメージの原点は、大人になってからというより、恐らく子供時代にリアルタイムで見たイノセントの飛行機だと思われます。
ジロンがさらわれたエルチの奪還を目指してイノセントのドームを襲撃する中で、そのエルチを乗せて、空の彼方へ去っていく飛行機。
これは実在の飛行機で、Wikipediaによると、太平洋戦争にも使用された米軍の爆撃機だそうです。

飛行機械はほとんど存在しないが、実在する爆撃機フライング・ガン・シップ「ミッチェル」(ノースアメリカンB-25J爆撃機)などが登場する。外観はオリジナルの通りで米軍のマーキングまで再現されているが、イノセントがドームの外に出る際の移動手段として使用されている。機内はドーム内と同様に彼らの生命が保たれるようになっており、内装も作り変えられている。
Wikipedia 『戦闘メカ ザブングル』:登場メカ


もちろん、まだ子供の私は当時「GHQ」というものを知らなかったと思います。
ただ、実在の米軍飛行機が惑星ゾラの空を飛んでいて、それに日本アニメの主役ロボット(ギャリア)が必死に飛びつこうとしても届かない。どうしても届かない。このイメージ。
政治的なものとか社会学的にどうのとかでは全然なく、子供のときの強烈なビジュアルイメージ、それだけだったりします。
「戦後占領下の日本人」と「GHQ」というのは、大人になった私がこのイメージに適当に名前を付けただけのことで。

今夜はお前とカタカム・ズシム(関連記事紹介コーナー)


では最後に、このブログで過去に書いた『ザブングル』記事の紹介を。
基本的にそれぞれの記事は独立していますので、全部読まなくても大丈夫です。(ただし、どれも長い)

惑星ゾラで生きるための、たったひとつのルール。<"異世界もの"としての戦闘メカ ザブングル>

『ザブングル』の舞台、惑星ゾラには「三日限りの掟」という、ひとつのルールがあります。
「三日の掟、泥棒、殺人、あらゆる犯罪は三日逃げ切れば全て免罪」という単純なルールですが、これが提示されたことで、惑星ゾラはすばらしい異世界となりました。
『ザブングル』を知らなくても、作品舞台としての「異世界」づくり、という意味でいろいろと考えてみるのも面白いと思います。

ブルーストーン経済によるシビリアンコントロール<『戦闘メカ ザブングル』惑星ゾラ開発史>

『ザブングル』の舞台である「惑星ゾラ」が、ロボットアニメの物語世界として出来上がるまでを、富野監督の手記を元に追いかけます。分かりやすくするために図を入れてあります。
『ザブングル』に興味がなくても、物語創作や、それに関連する世界構築に興味がある方なら、楽しんでいただける内容ではないかと思います。

ジロン・アモスの持論に基づくダブルスタンダード<『戦闘メカ ザブングル』のイノセント・ワールド>

上のブルーストーン経済記事の続編というか、補遺拾遺のような記事。
主人公ジロンは三日限りの掟を破るのと同時に、都合よく掟を利用している。つまりダブルスタンダード。
そこに単にルールの破壊者ではないジロン・アモスの特異性を見る……いや、これ内容を大分盛ってるな。
実際は、3つぐらいの話に分かれています。


以上、長い記事で恐縮ですが、『ザブングル』を見ていない方がもし興味を持って頂けたなら幸いです。
『Gのレコンギスタ』にはまだ少し間があります。その前に楽しい『ザブングル』あたりで体を慣らしておくのも悪くないでしょう。(プールに入る前に慣らさないと心臓マヒで死ぬぞ的感覚)

「女いろいろ万華鏡」(第37話)みたいな楽しいサブタイトルが出てくるアニメはそうそうありません。
「今夜はお前とからくり時計」とほぼ同じジャンルのワードとして、私は日常で使っています。
みんなも使おう。

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さて毎年恒例、一年の締めくくりは本年度の当ブログ記事まとめです。
……まとめるも何も、2012年は、記事が5本しかありません。

もともと多く書ける方では無いとはいえ、さすがに最小記録。5本では完全に自由契約選手ですよ。
来年は、複数年契約が結べる程度にもう少し精力的に活動し、ラルフ・ブライアントぐらいアッパーなスイングで、派手な打ち上げ花火(か三振)でもあげたいと思います。最後にドカンと虹のグランドスラム。
(というような適当な事を感情が全く動かないままタイプしてるようでは来年もダメだな、と思います)

ただ各記事は手間暇をかけており、それなりに読み応え(キルタイム的な意味で)はあると自負しています。
では、2012年記事TOP5をどうぞ。



『機動戦士ガンダム』関連記事(当ブログの主力)


Love Love ハマーン・カーン お願いきいて(魔法の摂政ブラスターハマーン)


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僕達は分かり合えないから、それを分かり合う。<『機動戦士ガンダム』シャアとハマーンのニュータイプ因果論>

CS放送のアニマックスで『機動戦士ガンダムZZ』の全話放送があったので、自分の中での『ZZ』を整理しようと思って書いた記事。

『ZZ』のためにまとめた内容ですが、結局のところ『機動戦士ガンダム』から『機動戦士ガンダムZZ』までを範囲とした「ニュータイプとその因果の中心にいたシャア・アズナブルの話」になっています。

ホワーイ!(出川哲朗) 『ZZ』のシャアなんて、クイズしか出してないだろ古い地球人!


と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、元々『ZZ』にはシャアの出演予定がありました。
しかし映画『逆襲のシャア』製作決定に伴い、『ZZ』はシャア不在の物語となってしまいました。
『ZZ』を整理するなら、この「見えざるシャア」について考えるのが面白いと私は思います。
あと古い地球人なのは事実なので、そっちの指摘は受け入れます。
(この記事もすでに古い地球人がいくつも。そしてここからも)

『ZZ』については、これ以前から少しずつ準備稿的に書いた記事がありますので、順番に読んでいただくと、問題意識とどう整理したかの流れが分かりやすいかも知れません。

『ZZ』記事(1)
だから少女は、毎度コントロールされる。<富野アニメ 洗脳少女の系譜>

『ZZ』記事(2)
【2011年記事まとめ】好きあう真似事や傷を舐めあう道化芝居でもいいじゃない。だってにんげんだもの。

『ZZ』記事(3)
僕達は分かり合えないから、それを分かり合う。<『機動戦士ガンダム』シャアとハマーンのニュータイプ因果論>

『機動戦士ガンダム』系の記事は当ブログの主力なんですが、主力記事が1つとか本当に自殺行為だネ!

『戦闘メカ ザブングル』30周年


惑星ゾラ開発委員会(今だと制作委員会の名前にしか見えない)


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2012年は『戦闘メカ ザブングル』30周年。それを記念し、いくつか記事を書きました。
今年書いた記事の実に40%が『ザブングル』記事ということになるわけです。
では渾身の2記事ご覧ください。

※模範的ツッコミ「40%って、たった2記事じゃねーか!これはまるで……あれが、あれじゃねーか!」(三村マサカズ)

ブルーストーン経済によるシビリアンコントロール<『戦闘メカ ザブングル』惑星ゾラ開発史>

『ザブングル記録全集』に寄せた富野監督の寄稿文を手がかりに、『戦闘メカ ザブングル』の舞台である「惑星ゾラ」が生まれるまでを追っています。

「惑星ゾラ」は支配階級イノセントによってつくられた世界です。この星のルールやシステムは全て、シビリアンによって与えられたものです。

それをメタ的に見れば、ロボットアニメが成立する世界になるように、富野由悠季が惑星環境と整えたということになります。はたしてロボットアニメをやれる世界とはどういうものなのか?その答えを知りたい方は、ぜひ記事をご覧ください。続きはWebで!最初からWebだけど!

ジロン・アモスの持論に基づくダブルスタンダード<『戦闘メカ ザブングル』のイノセント・ワールド>

上のブルーストーン経済記事の続編というか、補遺拾遺のような記事。

主人公ジロンは三日限りの掟を破るのと同時に、都合よく掟を利用している。つまりダブルスタンダード。
そこに単にルールの破壊者ではないジロン・アモスの特異性を見る……いや、これ内容を大分盛ってるな。
実際は、3つぐらいの話に分かれています。

さて来年2013年は、自動的に『聖戦士ダンバイン』が30周年になるわけですね。
せっかくだから『ザブングル』のように何か書きたいけれど、さてどうしようか。
『ダンバイン』については、すでにいちばん書きたいことは書いてしまった観があるけれど。

映画『おおかみこどもの雨と雪』


雨は夜更けすぎに、犬(狼)へと変わるだろう


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おお、神は山にいまし すべてこの世は事もなし<映画『おおかみこどもの雨と雪』鑑賞メモ>

前作『サマーウォーズ』とは違い、シンプルな構成をとっているがゆえに細田守の演出を堪能できる映画。

前作ほどではないが、お話という意味では今回も色々問題点があり、批判するのはたやすい作品。
だが私はそれを前提としても『時をかける少女』『サマーウォーズ』より良い映画だと思っています。

私はフィクションを評価するとき、プラスとマイナスを相殺させません。
プラス点の大きさが問題で、そこが大きいならば(ひとまず)良い作品だと思います。
大したマイナスが無くとも、面白さの大きさが小さいものはあまり興味の対象になりません。
だから作品に点数をつけようと思ったことがない(つけられないともいう)。

ネットでの賛否も真っ二つに割れている印象があるが、そうなっても仕方ない部分は確かにある。
ただ、視聴と感想をアウトソーシングして「あー、そういう作品か。やっぱり見なくて正解だったな」みたいなコメントをするのではなく、できれば自分の目でどういう映画かを確かめてほしいと思いますね。

実質その機会は、いつかは知りませんが金曜ロードショーになるでしょう。その時が楽しみです。

ゲーム系のネタ・アイデアなど


ナディア「おはよー!森の動物たちー!」(動物たち完全無視)


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『スカイリム』と「やさしい世界」と「家計簿アプリ」<ゲームアイデア・ネタまとめ>

ゲームのプレイは全然してないのですが、ゲーム系の記事をたまに書きます。2012年も1本書きました。
かなりいくつものネタをまとめていますので、目次として内容を書きだしてみると、

・『スカイリム』のスカイ無理な話
・とびだせ!やさしさの森脱出ゲーム(妄想)
・宇宙船のエネルギーコントロールゲーム(妄想)
・逆襲のシャア×ソーシャルゲーム(妄想)
・∀ガンダム×ソーシャルゲーム(妄想)
・家計簿アプリ「マイナスをプラスに」(妄想)


ということで、ほぼ全て妄想の、存在すらしていないゲームの話ですね。
私にとってゲームとは脳内ハードで動作するものであることが分かります。
このお品書きでピンと来た方は、もしかすると脳内ハードに互換性があるかも知れませんので、一度ご覧になっていただき「このトラックは再生できません」とか怒られてみてください。



2012年の記事は以上です。

5本しか記事がないので、例年に比べてひときわボリュームが少なく思えますね。
そこで2012年のアニメの中からひとくち感想をお送りします。
基本見た作品ですが、見てなくても言いたいものは言います。

『Another』


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今後、何か人生でつらいことに出会う度に「Anotherなら死んでた」(生きてるから何とかなる)を胸に強く行きていこうと思います。

『探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕』


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第一話が大変すばらしかったような覚えがあるけど、もう記憶が定かではない。

『銀河へキックオフ!!』


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小林ゆう、中津真莉子 他

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まさるちゃん(監督)の放任主義にやきもきしながら、普通に楽しんでいたアニメ。

『じょしらく』


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佐倉綾音、山本希望 他

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最終話の宇座亭ウザンヌちゃんがうざすばらしかった。あとは、女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話を楽しみました。(つまんねーこと書くなよ!)

『ももへの手紙』


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(2012/10/26)
美山加恋、優香 他

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見てないのですが、『ももへの手紙』と聞いて思いつくことは、ひとつしかない。

『人狼』の沖浦監督からのお便り。「瀬戸内の小さな島の港町『汐島』を舞台に妖怪達との奇妙は交流を通して成長するハートフルファンタジーアニメです」次の戦いの舞台は瀬戸内の妖怪か!……って沖浦、それはお前の新作だろ。
次回、魁!男塾『遠すぎた橋 田沢 松尾 瀬戸内海に死す』…そこんとこ、よろしく。


『GOTHICMADE ゴティックメード-花の詩女-』


花の詩女 ゴティックメード オリジナル・サウンドトラック花の詩女 ゴティックメード オリジナル・サウンドトラック
(2012/10/31)
音楽:長岡成貢 歌:川村万梨阿

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この映画の制作の間、連載が停まったことに対するF.S.Sファン(永野護パトロン)の暴動を抑えるただひとつの方法は、この映画を「年表のどこか」にねじこむこと(巻末年表もこっそり改訂)。

と、いうようなことをTwitterでお話してたんですが、さすが……永野護……。信者の精神コントロールに一分の無駄もない……。

『ソードアート・オンライン』


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松岡禎丞、戸松遥 他

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第一部終わりの、主人公がオンラインゲーム世界から現実に戻ってきた回を見たら、点滴引きずって光の中へ歩いていくエンディングだったのがすばらしすぎた。

第二部がはじまると、主人公のことが大好きな巨乳の妹が、実は都合よくいとこだったりして……ははーん、これまだゲーム世界だな。次回、ヒロインの婚約者をソードスキルで刺して逮捕→死刑執行されて、また現実で目覚め、また点滴引きずって光の中へ歩いていくところで二部ENDだな。

と思っていたら、そんなことはなかったぜ!
天丼で構わないので、二、三話に1回は点滴引きずって光の中へ歩いていくエンディングを見せてくれたらもっとすばらしい作品になっていたのではと思います。

『ガールズ&パンツァー』


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渕上舞、茅野愛衣 他

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楽しい戦車道アニメ。ジャンル的には『咲-Saki-』と同種ですね。ひとつ大きな嘘をつくタイプ。
そういえば、咲さんにも戦車乗ってほしいなあ。
咲「ファイエル!ファイエル!もいっこファイエル!砲撃って楽しいね!(笑顔)」

戦車での団体戦という必然上、大量の少女が動員されるわけですが、基本的にキャラ紹介をカットしたところがすばらしいと思っています。
もちろん、ちゃんと戦車戦メインにしようと思ったら、そんな尺が無いからですが、主人公チームだけある程度、掘り下げただけで、あとは全てカットしてとにかく戦車に乗せている。
1人1人のキャラではなく、戦車1台=1キャラクターとしているのはすばらしいと思う。

例えば歴女チームは、歴女の戦車ということが戦車外装も含めて分かればよく、個々のキャラクターがどういう少女か(この場合、どういう歴女か)というのは理解する必要がない。
もちろん、熱心なファンは個々のキャラクターの名前や特徴を理解して楽しめばいいが、それはあくまで楽しみであって、物語を理解する上で必須なものにしていない。

これが2クールあれば、セオリー的にキャラ紹介を増やしたり(仲間集めなど)、各チームの主役回を用意したりしたのかも知れない。
1クールで、戦車戦を目いっぱいやるためのシリーズ構成だと思うけれど、その制約が好ましい結果を生むことになっているのだと思う。

ということで『ガールズ&パンツァー』は大体見るべきものは見つという感じなんですが、あとはゼロ距離に接近した戦車同士が砲塔を砲塔でさばいてお互いの射線をずらし、砲撃をかわしあうガン=カタが見たい。
いや、この場合、パン=カタと呼んだ方がいいのだろうか?

ガン=カタは個人で行うものだが、パン=カタは複数人の搭乗者が一心同体少女隊となり、1台の戦車を自由自在に動かす連携があってこそ成立する高度な「機甲術」(パンツァークンスト)である。いや、そういう意味じゃないパンツァークンストは。

だが発勁のように、打撃力は並でも装甲に勁を通すような射撃ができたら、小口径の戦車でも勝ち目が……。いや、そういう意味じゃないパンツァークンストは。



以上です。

今年は水島努監督作品ばっかり見てた気がします。来年の活躍も期待したいですね。
私も来年は水島監督を見習って、もう少し精力的にいろいろがんばろうと思います(皇潤を飲みながら)。

それでは皆さま、よいお年を。
お久しぶりでございます。
気力、体力、時の運すべてが欠けており、間が空いてしまいました。
特に誰かに更新を期待されているわけでもないのですが、FC2ブログでは未投稿一ヶ月で邪魔な広告が出てしまいますし、それにも関わらず訪問してくださる方もいらっしゃるので、申し訳ないとそれなりの罪悪感は感じております。

はるか過去の前回記事は『戦闘メカ ザブングル』の世界構築に関する記事でしたね。
『ザブングル』ネタの割には想定よりは多くの方に見ていただけたようです。
似たような記事書いても『ガンダム』とそれ以外の作品では反応が全然違うわけですが、ブックマークも2ケタ頂きましたし健闘といってよいでしょう。

ブルーストーン経済によるシビリアンコントロール<『戦闘メカ ザブングル』惑星ゾラ開発史>

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今回は、その補足記事という補遺拾遺というか、おまけのような関連記事です。
記事にする際に漏れたことや後で思いついたことなどあれこれをまとめてみました。
だったら前回記事と間隔空けるべきじゃないよね!それは分かってる。25時の電話のベル、土曜日の仕事。
とにかく溜息で塗り替えられた久しぶりの記事をご覧ください。



『戦闘メカ ザブングル』と『∀ガンダム』に見える共通構図


前回記事を書くきっかけとなった、kaito2198さん(TOMINOSUKI / 富野愛好病)の『ザブングル』記事のコメント欄で興味深いやりとりがありました。
『ザブングル』と『∀ガンダム』に共通する構造についてのものです。

『戦闘メカ ザブングル』誕生秘話(上)(のコメント)
http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-1099.html

確かに『ザブングル』と『∀ガンダム』は少し似ているところがあって、私も『ザブングル』記事を書いたときに、『∀ガンダム』を連想して、あれこれ想いを巡らせたのを覚えています。

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私が注目する2つの作品に共通するものは「ディアナ・カウンター(『∀ガンダム』)もイノセント(『ザブングル』)も月から地球へ降りてきた」といった形式上のことではなく「2つの異なる人類が、ひとつの世界の中で接触する」という構図です。

この「違う人間同士が、同じ世界の中で接触したときにどうなるか?」という構図は、富野アニメの基本のひとつと言ってもよいですが、『∀ガンダム』と『ザブングル』もそのバリエーションといえるでしょう。

富野作品に多く見られるこの構図は、いくつかのパターンがあるので、キャラクター配置も含めて、分析するのが面白いと思います。
私もきっちりやったことないので、機会(という名のやる気)があれば記事書きたいと思います。

『∀ガンダム』と『ザブングル』の場合は、その中でも
「テクノロジーレベルが大きく違う二つの人類が、ひとつの世界(地球)で同居した時に発生するドタバタ」というパターン。
ですから、似たような文明レベル同士の異星での接触である『イデオン』は、少し違うパターンになりますね。

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例えば『∀ガンダム』の世界では、ディアナ・カウンターの地球帰還作戦のタイミングや、降りる地域、指導者の設定などを調整すれば、一方的に地球人を支配して、『ザブングル』のイノセントのような上位存在として君臨することもできます。それぐらいには月と地球の2つの人類には、テクノロジーレベルの差がありました。

もちろん『∀ガンダム』は、月から来た人類が地球を侵略し支配する物語ではありません。
そうならないように一機で戦力均衡がとれるようなモビルスーツである∀ガンダムを地球側に用意しましたし、それを「命を大事にしない人とは誰とでも戦う」、月から来て地球っ子になったロランという中間存在に扱わせました。
月の指導者がディアナ・ソレルで、ロラン・セアックが∀ガンダムに乗る限りは双方全滅戦争には絶対ならないわけです。

一方『ザブングル』の場合は、すでに支配体制が確立された状態から物語は始まり、それを主人公ジロン達が破壊して終わります。

私たちと遠いシビリアン、近いイノセントとジロン・アモス


支配階級イノセントの立場・考え方は、私たち現代人に近いものがあります。
地球のどこかには環境からかシビリアンのメンタリティに近い人々も存在すると思うけれど、日本人の私たちが近いのは、やはりイノセントになるでしょうね。
イノセントは、地球を崩壊させてしまった未来の私たちと言ってもいいかも知れない。
そのイノセントが次代の人類として、実験を進めるシビリアンは、三日経つと全て忘れて刹那的に人生を楽しむような生き方で、我々の感覚とはかなり違いますね。
でも、荒廃した世界で生きる惑星ゾラ人としては自然なことです。

そんな中「三日過ぎても両親の復讐に燃え、仇を追い続ける」という主人公、ジロン・アモスが現れます。

ただ『ザブングル』序盤において、この主人公ジロンは、ラグ達に非常識だと笑われます。
私たちの感覚では、肉親が殺されたのに三日過ぎたら仕方ないものとして諦めるということが理解できないので、常識的な反応を見せるジロンに共感し、彼を笑うラグたちが非常識だと感じます。
異世界での常識的ふるまいを見せるキャラクター(ラグ達)と、視聴者の感情移入先にして特異主人公ジロン・アモスの対比シーンです。

三日を過ぎても両親が殺されたことを過去のものとしないジロンは、私達に近く、とても理解しやすい。
でも私たちの感覚(精神性)に近いジロンの方が、本当に人間として好ましいものなのでしょうか?幸せなのでしょうか?

イノセントとシビリアン、どちらがよりよい人類なのか?


両親が殺された復讐を動機に戦い続けることは、物語の型として大変理解しやすいわけですが、それは本当に幸せなのでしょうか?
憎しみを3日で忘れて連鎖させず、自分自身の幸せや楽しさを追求する方がよい人生なのでは?
文明・文化を持ちながら戦争で地球を一回滅ぼすぐらいなら、三日で全てを忘れて享楽的に生きる方が好ましい人類なのでは?
果たして、イノセント(私達)のメンタリティはシビリアンと比べて、そんなに上等なものなのでしょうか?

そういうことを昔から思ったりしています。
皆さんはどう思われますか?

でも、どちらが良いのかという問題とは別に、ラグ達の考え方は否定されなければならないものです。

それは三日限りの掟が、彼女たちが自然に、または自発的に選択したものでなく、他人から与えられたものだから。
正確にいえば支配者イノセントがそうなるように人為的にコントロールしたものだから。

与えられたシステムとルールの中で盲目的に生きる仮の生には、良し悪し以前に意味がない。

だから、ジロンは盗んだ(ウォーカー)マシンで走りだす。行き先も分からぬまま。
そして、行儀よく真面目なんて出来やしなかったので、イノセントのドーム壊して回った。
逆らい続け、あがき続けた、早く自由になりたかった。
そしてXポイントでこの支配からの卒業です。
仕組まれた自由に、誰も気づかずにあがいた日々も最終回で終わります。

ジロン・アモスのダブルスタンダード


ジロンはこうして「イノセント・ワールド」を終わらせたわけですが、この時ポイントになると思っているのが「ジロン・アモスのダブルスタンダード」です。

彼は物語序盤、復讐のために新型ウォーカーマシン「ザブングル」を盗むわけですが、三日逃げ切って自分のものにしようと考えていました。
でもそのザブングルで何をするかといえば、三日以上経過した親のカタキを討つことです。
ひとつの目的のために、一方では三日限りを無視し、一方では三日限りを利用しようとする……完全にダブルスタンダードですね。

このジロンのダブルスタンダードは、劇中でもラグ達に批判されています。
ずるく都合のいい考え方なのだから、その批判自体は正しい。

ただ、このダブルスタンダード批判は、あらゆる事象を「三日限りの掟」で裁くことを前提にしている。
パンを1つ盗んでも三日だろうし、親や恋人が殺されても同じく三日。全てが三日の掟。

ジロンは「両親の死」という情愛の部分では完全にこのルールを無視し、復讐という行動の部分では逆にルールを利用しようとしている。
基準はあくまでジロン本人の感情だから、他人から見るとダブスタの身勝手ではある。だが、なぜ「両親の死」を受け止めるのに、上位存在に決められたルールの枠内で収めなければならないのか。
そこには「掟だから」以外の理由はない。実際、ラグ達のジロン批判もその範囲に留まっている。
なぜルールを守らなければならないのか、に対して「それがルールだから」しか理由がないのであれば、それは実装されたルールの方が間違っている。
(もちろんイノセントの思惑としての理由はあるのだが、シビリアン自身には三日の理由は無い)

イノセントの支配体制を破壊するという主人公であれば、ルール全否定でもいいのでは?と思わないでもないですが、復讐という目的の達成のために既存のルールをちゃっかり利用するのが面白いところです。
ジロンはルールの逸脱者ですから気にしませんが、「掟」を守る側は被害者になっても守る必要があります。
ザブングルを盗まれて三日経過すれば、ジロンを正当な持ち主として認めねばなりません。それが掟です。
この世界に生きる人々が掟に縛られている以上、ジロンにとっては積極的に利用して損はありません。
掟破りのジロンを追いかけるには、掟を破るしかないわけですから。
そして実際にジロンに巻き込まれる形で、掟から逸脱するキャラクターが続出していく。

だからジロンは単に全ての破壊者でもなく、かといってイノセントに成り代わるわけでもない。
『∀ガンダム』での境界線上のキャラクター、ロラン・セアックのように、イノセントでもなく、シビリアンでもない、ハイブリッドな存在であるべきだったんだろう、というようなことを長年思っています。
『ザブングル』をもう10何年見直してないので、これ以上掘り下げることはできないけれど。

『ザブングル』での分野別キャラクター配置


『ザブングル』では、主人公ジロン以外にも、今の状況を変えようと潜在的に考えているキャラクター達が分野ごとに配置されています。
例えば文化かぶれのエルチとその影響下にあるプロポピエフ一座。
イノセントから与えられたマシンから設計図をおこして、将来的には自作を考えていたメカマンのコトセット。

「軍事・戦闘」分野でイノセントに対抗するのが、ジロンとラグ達サンドラットの連中とすれば、
「文化・芸術」分野では、エルチ。「科学・技術」でコトセット。
こうして分野別に考えていくと、「政治・経済」キャラがアイアンギアに存在しない。

だから物語の途中から「政治」キャラクターとしてのカタカム・ズシムが登場する。

『ザブングル』を見た人からは評判の悪いカタカムだが、私はキャラクター配置上、「政治」キャラクター自体は必要だと思っている。
ただし、初期からアイアンギア・クルーにして行動を共にしておく必要があったはず。
問題解決として、親イノセント(穏健派)のエルチ、反イノセント(強硬派)のジロンやサンドラットとは別の、第三の政治的解決を目指すキャラクターとして。
カタカムが物語のあのタイミングで、あのキャラとして登場するしかなかったというのは、当時の『ザブングル』制作状況がストレートに影響していると思うけどね。

ちなみに、その後の作品である『∀ガンダム』では御曹司ことグエン・サードがこのポジションに当たる。
政治的解決を試みるが、あれこれあって、うまくいかない人物として描かれる。
(恐らく『ザブングル』でも、テーマ的に「政治家」のキャラクターはこれに近くなるでしょうね)
『∀ガンダム』の初期キャラクター配置は、すばらしい。
そこからのキャラクター展開はまた別の話だけど、キャラ配置については『ザブングル』などと比べると、より良くなっていると思っています。

さて、この分野別のキャラクター配置を使って、ひとつ遊んでみましょうか。

死と破壊と混乱をもたらすと言う、演劇集団「劇団死期」


もし『ザブングル』をリメイクというか、スピンオフのような作品を作るとするなら、という設定で、ネタをひとつ考えてみましょう。

各地を回りながら演劇興行するランドシップ劇団の話というのはどうでしょうか。
世界を旅しながら、「文化・芸術」キャラが失われた文明の物語を集めて復刻し、それを演劇の形で再現します。
失われた物語は要するに私達にはなじみの深い物語だ。時折、ストーリー復元の過程において、勘違いや混同などから、元ネタを知っている私達には奇妙なストーリーになったりもするだろう。

そして、演劇活動を隠れ蓑に「政治家」はレジスタンス活動を進めているが、ブレーカーやサンドラッドのような「軍事・戦闘」キャラ達は、山賊みたいに敵を倒して宝を奪う活動だと思っている。で、皆が自分のやりたいことを好き勝手にやる裏で、「経済」キャラクターが演劇とドンパチの収支に常に頭を悩ませている……。
かくして、演劇で人々を楽しませるものの、戦闘や強奪で結局しっちゃかめっちゃかになり、逃げるように別の土地へ去っていく、というのが物語のパターンになるだろう。

とまあ、分野別のキャラ配置を利用して、再配置したひとつの例として考えてみました。

でも、可能性としての新しい「イノセント・ワールド」を想像するぐらいはいいだろう?Mr.myself的に。
今さら新しい『ザブングル』を考えても仕方ないかも知れませんが、また何処かで会えるといいな、とは思っていますので、その時は笑って、二次の彼方へ放とうと思います。妄想によるイノセント・ワールドを。
今年は『戦闘メカ ザブングル』30周年
BGMを口ずさみながら、両腕を上にあげて長袖の服に腕を通しつつジャンプし、そこから両腕をぱっくり左右に割りながら、砂場にすべりながら着地するという「ザブングル着替え」で遊んでいた幼少時から30年か……。

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kaito2198さん(TOMINOSUKI / 富野愛好病)が、当時出版された『ザブングル記録全集』から、富野由悠季監督が寄せた寄稿文「ザブングルの塊」を紹介してくれています。

『戦闘メカ ザブングル』誕生秘話(上)
http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-1099.html

まず、ロボットはすでに上っている二十数メートルのものを使わなければならない。それでクローバーの作業が始まっているというからだ。

 それらの絶対条件のなかで、以前に作られた設定をかえてゆくのが、その夜の僕の仕事だった。それで、まず第一に、キャラクターの名前は、前の設定書の名前を作ることに決める。自分の好みをいってしまうと名前をつくるのも二、三時間かかってしまうからである。

 そして、あとの全ては再考。そのストーリーの骨格の設定――つまり、どういった設定トリックを使うか、ということ。
 この一点さえ決めれば翌日からストーリー作りに入れるということになる。これもスケジュール的に自分の好みを全て捨てて作らなければならないと覚悟をきめて、全て、二十数メートルのロボットの必要な世界の決定…とさぐってゆくわけだ。

(富野監督の寄稿文より)


私は記録全集の類は全く持っていないため、読むのは初めて。ありがたく拝見しましたが、とにかく面白い。
富野監督が『ザブングル』の基本設定を一気に組み上げたときのお話。作品の舞台となった星の名前をとって「惑星ゾラ誕生物語」といってもいいかも知れません。

途中参加の富野監督が『ザブングル』の企画をまとめるため、用意された資料を前にしたとき、2つの大前提が存在していました。

(1)二十数メートルのロボット
(2)西部劇風世界

この2つをスタートラインにして、はたしてどんなロボットアニメの作品世界を組み上げるのか。
『ザブングル』を知ってる人はもちろん、知らない人にこそ、ぜひちょっと考えてみてほしい。
西部劇風世界+ロボット(20メートル)のお題で、どんなロボットアニメにするのがいいでしょうか?さて。

こうした「物語の基本構造づくり」の過程が、私はとても好きで、富野アニメが好きな理由のひとつがこうした「物語世界づくり」の魅力にあると言ってもいいと思います。

kaito2198さんも、記事内でこう書いていらっしゃいます。

富野監督の作品作りはいつも世界観から入っている。しかもその世界観はたとえ絵空事であっても、極めてロジックな理路でシミュレートされている(単に設定されているのではない)。


これは全くその通り。すべての要素は単に設定ではなく、「ロボットアニメ」というバカげたフォーマットを支え、物語を豊かにするために明確な役割を持って導入されているのです。

というわけで今回は、『ザブングル記録全集』の寄稿文を手がかりに、『戦闘メカ ザブングル』の舞台である「惑星ゾラ」が生まれるまでを改めて追ってみたいと思います。



【惑星ゾラ開発史1】ロボットが存在できるための地ならし


では【惑星ゾラ開発史】と題しまして、過程をいくつかのブロックに分け、物語世界が整えられていくさまを追ってみましょう。

先ほど書いたように、『ザブングル』のスポンサーであるクローバーの主導によって「二十数メートルのロボット」のデザインが進んでいましたから、富野監督はロボットの存在理由を考えなければいけません。
彼ら(ロボット)が存在できて、戦いあうことが自然な世界を。
ただし世界を考える際には、もうひとつの前提条件「西部劇風世界」も忘れてはいけません。

この最初の課題を、富野監督はどう処理したのでしょうか?
寄稿文から、この課題の「解決編」箇所を引用してみましょう。

ロボット物をらしく創る要素は、ロボットを動かしてもいい世界観をつくることであるという一点に絞り、三時間ほどその事を考えていった。が、先にある企画書を読むだけでヒントはなかった。

 で、いい加減、危機感に悩まされ、風呂に入ってみる、体操をしてみるとやるのだが十二時になっても、ガソリンで動くロボットにする条件しか思いつかなかった。

 アイデアというものはこんなものだ。矢立は西部劇にしろといっていたな、という事を思い起し、場合によってはもう一晩泊まってやろうか、と考えていた時に、西部劇なら荒野、荒野なら地球全てを荒野にしてしまえと思いついた。

 ならば、なぜ地球全てが荒野になったのかを考えてみたが、これはSF的にも不可能らしい……。が、いい、とにかく、一度、全地球的な破壊があって、再生すべく戻った人類がいかに生きてゆくか、生きつづけてゆくのかの活劇にしようと思いついたのだ。


「ロボット物をらしく創る要素は、ロボットを動かしてもいい世界観をつくることである」

というのは富野監督らしい名言といえますが、この時代のロボットアニメとは玩具メーカーのコマーシャルフィルムだったわけですから、順番のあとさきとしては当然ともいえます。つまり、ロボットが先、世界が後、というビジネス上の真理です。
相田みつを的にいえば「ザブングルはねぇ 惑星ゾラのために この世に生まれてきたのでないんだよ ザブングルがさき 惑星ゾラはあと」。

この「解決編」テキストだけで十分ではあるのですが、より分かりやすくするために、惑星ゾラ開発の要素を「世界観」「キャラクター」「ロボット」という3つに分け、それぞれがどう作用しているかが見える図にしてみましたのでご覧下さい。

惑星ゾラ開発史1

細かい経緯をよく知らないのですが、ザブングル(ウォーカーマシン)の「ガソリンで動くロボット」というのは、ハンドル操作=自動車的な連想なのかも知れないし、当時からあったであろう「原油枯渇するする詐欺」を踏まえての、地球崩壊→乾燥した荒野→原油が再び利用されるという連想なのかも知れません。

はっきりいえばロボットアニメは絵空事なので、架空のスーパー動力炉やスーパー燃料でもいいし、操作系もレバーでも脳波でもいいのです。
でも「ガソリンとハンドルで動くロボット」というのは、私達の文明との延長上にある、というつながりや親しみを感じさせる。
惑星ゾラという未知の惑星を舞台に始まった物語は、物語が進むにつれ、これがもともと地球と呼ばれる星であったと分かっていきますが、ウォーカーマシンは設定時から地球生まれ地球育ちの履歴書をもつロボットだったといえるかも知れません。

とにかく物語の大枠は決まりました。
崩壊後のすべてが西部劇の荒野となった地球で、それでも生き残った人類が、ガソリンとハンドルで動くロボットを使って、いかに生きてゆくか、生きつづけてゆくのかという活劇です。

【惑星ゾラ開発史2】ロボットはどこから来て、なにをする?


大枠は決まりましたが、物語世界内でのロボットの位置づけ。主人公たちとロボットの関係性。物語を駆動するベクトル。未解決の問題はまだまだあります。
つまり、ロボットはどこから来て、何をするのか?そして物語の大きな流れは?
それが決定されるこのブロックが、ロボットアニメの世界づくりとして最も重要なポイントになります。

まずは先ほどと同じように、まず富野監督の「解決編」をご覧いただきましょう。

 もし、地球上が破壊の後ならば、かなりの異変の後であったろう。

 以前の人類がすなおに生きられまい。新しい人類の再生の実験の自大だろう、等々。

 なら、高度なエネルギー・システムは使うまい。

 にもかかわらず、二本脚メカを稼動させるコンピューター・システムなどはシビリアンに与えよう。

 しかし、それらのメカの基礎技術も学力も与えておかなければ、シビリアンはただおしきせのものを使うしかないだろう。たとえていえば、電気に弱い人にラジオの修理をしてみな、というようなレベルの人だけの世界。

 なぜならば、新しい地球の環境に耐性をつけさせてゆくためには、ひらすらタフな人間をチョイスしなければならない。だから、弱肉強食をさせて、生き残り戦をシビリアン同士にやらせよう。


……なるほど。これを図にしてみると、こんな感じでしょうか。

惑星ゾラ開発史2

テーマ(大枠)から、キャラクター(主人公たち)は「文明崩壊後の地球でたくましく再生していく人類」ということが導きだされましたが、問題は、彼ら自身が二足歩行ロボットを生み出し、扱えるようなテクノロジーを持っていないだろう、ということです。
ロボットのために生まれる世界とキャラクターがそれでは困ります。
ロボットの出自を主人公以外の存在に求めましょう。

『ザブングル』の場合は、崩壊前のテクノロジーを保持している人類「イノセント」を設定しました。

このようにロボットの由来を主人公たちの外部に求めるというパターンは、富野作品でいくつかあります。

例えば『伝説巨神イデオン』のイデオンは、第6文明人が建造し地球人が遺跡の形で発見します。
地球人にとっては完全なオーバーテクノロジーの兵器で、メカ的なメンテナンスはできても、制御はできない。

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また『∀ガンダム』でも、∀ガンダムがそうですね。驚異的な性能を持つこのモビルスーツは、神像「ホワイトドール」として眠っているところを発見されました。
イデオンに比べると地球人のテクノロジーレベルが未発達のため、自己修復機能をもつナノスキン装甲を持たせることで、メンテナンスの問題を解決しています。

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『ザブングル』のウォーカーマシンは、イデオンや∀ガンダムのような超兵器ではありませんので、マシンを操り、メンテナンスする程度の問題なら自分たちで解決できます。
ただ、マシンを生み出せるほどのテクノロジーはありません。イノセントにマシンを与えてもらう必要があります。

しかしそうなると、なぜイノセントはウォーカーマシンをわざわざ主人公たちに渡さなければならないのか?という次の疑問も発生しますね。なぜロボットをプレゼントするのか?親切なの?バカなの?

そこで生まれたのが、支配階級イノセントによる人類再生計画
イノセントは、厳しい環境となった地球で生き抜く強い人類を育てるために、再生人類シビリアンたちに弱肉強食の生存サバイバルをさせながら、社会性の進歩を観察している、ということにしました。
すなわちサバイバルダンス。そして再生実験としてのトライアルダンス。
ケンカばかりだよ、あの頃も、今だって……そう、イノセントが後ろで手をひく限り、終わらない、続いていくサバイバルダンス!

ウォーカーマシンは、そのためにシビリアンに与えられた土木作業機械であったり、移動手段であったり、争うための兵器ということになりました。
シビリアン達は、ウォーカーマシンを駆って、世界へ拡散し、街の建築や採掘などを行い、そして戦います。

人類再生計画で、ロボットが与えられる理由と争いごとが絶えない理由が同時に解決できました。
しかし、まだ弱い。イノセントからウォーカーマシンを与えられたからといって、なぜシビリアンはロボットバトルをしなければいけないのか。ロボットアニメだから当然なのですが、物語上の必然がありません。

【惑星ゾラ開発史3】ブルーストーン経済によるシビリアンコントロール


イノセントの目論見通りに、優れた強いシビリアンだけが生き残っていく生存サバイバルにするには、シビリアンたちを動かすためのルールやシステムの整備が必要になりそうです。

ここからは寄稿文の内容を越えて、その後の話。惑星ゾラの開発を完了するためには残る課題を解決する必要がありますので、もう少し考えてみましょう。
シビリアンを弱肉強食生存サバイバルに巻き込んで、ロボットでの戦乱を発生させるにはどうすればいいのか?
そのために『ザブングル』で導入されたルール・システムは2つあります。図をご覧いただきましょう。

惑星ゾラ開発史3

(1)三日限りの掟

「泥棒、殺人、あらゆる犯罪は三日逃げ切れば全て免罪」――それが惑星ゾラの不文律。

あらゆる犯罪が三日で免罪されるわけですから、これは当然、弱肉強食サバイバルを助長します。
イノセントが与えたこのルールによって、シビリアンは自己責任でたくましく生きることを余儀なくされました。

さらに三日限りの掟は単なるルールにとどまらず、シビリアンの行動原理をも規定しています。
刹那的な目の前がよければよし、という生き方が中心で、長期的な生き方や考え方がどうしてもできません。恋愛観も影響を受けているようで熱しやすく冷めやすい。
明日死ぬかもしれない、という世界での単純化(最適化)された生き方です。

「三日限りの掟」は、荒れた世界観とゲームルールの説明に加えて、そこに生きる人々の行動原理をも説明した、きわめてすばらしいキーワードです。たった1つのシンプルルールで、作品世界とそこに生きる人々の内面の両方を表現しています。

「三日限りの掟」の掟に関しては、このルールのことだけを書いた記事がありますので、詳細はそちらをご覧ください。
惑星ゾラで生きるための、たったひとつのルール。<"異世界もの"としての戦闘メカ ザブングル>

(2)ブルーストーン経済

もうひとつ、イノセントが与えたのが「ブルーストーン経済」というシステムです。

ブルーストーンと呼ばれる青い石を採掘し、イノセントの所へ持って行くと、さまざまな物資と交換してもらえます。生活物資をはじめ、ウォーカーマシンやランドシップ(浮上式航行艦)も。
シビリアン内で流通している貨幣もあるようですが、文明レベルが上のイノセントの製品を手に入れるにはブルーストーンを手に入れるほかなく、当然ながらブルーストーンは、シビリアンにとって代わりのない貴重品となっています。

「ブルーストーン経済」に主に関わるのは、以下の3つの職業です。

【ロックマン】
ブルーストーンを採掘する鉱夫たち。技術という手段で、ブルーストーンを得る人々。
主人公ジロン・アモスの父は優れたロックマンだった。体全体が青く、左手が武器になっている。

【交易商人(運び屋)】
ランドシップで各地を移動する商人。ロックマンからブルーストーンを買い上げる。
交易という手段で、ブルーストーンを得る人々。

【ブレーカー】
ウォーカーマシンなどを使って、荒事を引き受ける戦闘屋。山賊行為で商人を襲うものもいれば、逆に商人に護衛や用心棒に雇われて戦うブレーカーもいる。暴力的手段でブルーストーンを得る人々。

イノセントに上納されたブルーストーンが再び市場に出回ることは無いため、市場への供給は、【ロックマン】が新たなブルーストーンを採掘するしかありません。
採掘する上で気になるのは、シビリアンの間に伝わっている「ブルーストーンは、水のある場所からは出てこない」という噂。
これは元々、イノセントが流した噂なんでしょう。
その意図は「水場に安住するな。世界に拡散せよ。もっと過酷な条件で戦い、生き残れ」と言ったところか。
またシビリアン達の経験則として「水場のある定住しやすいところのブルーストーンは、もうとっくに誰かが手をつけている」という現実も噂を強化しているのかも知れません。

かくして【ロックマン】が市場にブルーストーンを提供し、【交易商人(運び屋)】が運びながら流通させ、それを【ブレーカー】が奪ったり、守ったりしながら、最終的にイノセントが全て回収し、代わりにウォーカーマシンや兵器を市場に提供するというブルーストーン経済が成立します。

この弱肉強食ブルーストーン経済で生き残り、勝ち残るためには、

【ロックマン】には、過酷な条件で働くための生命力や採掘の技術力
【交易商人(運び屋)】には、社会性やビジネス能力、隊商を率いる統率力
【ブレーカー】には、軍事技術、ウォーカーマシンの操作能力など戦闘力

これらが高いレベルで求められます。
人々は生存競争に必要な技術や社会性を発達させながら、日々生きているわけで、まさしくイノセントの思惑どおり。
あとは社会・技術レベルが一定の水準に達するまで生存競争が続くように、ウォーカーマシンや兵器を投入しながら、戦力バランスを整えてあげればいい。
つまり、これがイノセントのブルーストーン経済によるシビリアンコントロールです。

普通はシビリアンコントロール=文民統制ですが、ここでは『ザブングル』用語としての、再生人類シビリアンコントロールする、という意味で使っています。

ただ、シビリアンコントロールの意味が、
「国民が、選挙で選ばれた国民の代表(政治家)を通じて、軍隊を、コントロールする」
ということなら、メタ的な視点でいえば
「富野由悠季(世界の作り手)が、イノセントという概念を通じて、主人公たちのドンパチ(ロボット戦争)を、コントロールする」
とは言えるかも知れない。

この「三日限りの掟」「ブルーストーン経済」という2つのルール・システムによって、惑星ゾラは完成しました。
逆に言えば、この2つが無ければ惑星ゾラは、よくあるロボットがドンパチやっている星のひとつでしかないと私は思っています。そのため、どうしてもこの段階まで語る必要があったのです。

さて、ところで……

【惑星ゾラ開発史・余談】ソーシャルゲーム『戦闘メカ ザブングル』


ブルーストーン経済を今現在もっとも分かりやすく説明するには、ソーシャルゲーム『戦闘メカ ザブングル』にしてしまうのが良いでしょう。

プレイヤーの目的は「ブルーストーンを集め、他のプレイヤーより優位となって、生存競争を勝ち抜く」ことです。

ゲーム内で、ブルーストーンを手に入れる方法は3つあります。

(1)ブルーストーンを掘り出す(【ロックマン】的方法)
ソーシャルゲームの基本。ボタンを連打して、採掘を行います。たまにブルーストーンが手に入ります。
ブルーストーンの価値(レア度)は純度によって上下します。

(2)トレードで売買する(【交易商人(運び屋)】的方法)
他のプレイヤーと、お金やアイテムなどでブルーストーンを取引きします。

(3)他プレイヤーを襲って手に入れる(【ブレーカー】的方法)
他のプレイヤーにウォーカーマシンで攻撃をしかけて、ブルーストーンを奪い取ります。
仲間を集めて隊商を組み、襲撃に備えたり、逆に集団で攻撃をしかけることもあるかも知れません。

どれもソーシャルゲームの基本的な要素ですね。
こうして得たブルーストーンを使って、イノセント(ゲーム運営側)が持つ、より強力なウァーカーマシン、より多くの積載量のあるランドシップなどと交換し、強化を進めていきます。

原作『ザブングル』と同じく、ブルーストーンはイノセント(ゲーム運営)に差し出せば、二度と市場に回らないので、新たにコストをかけて採掘し、それをシビリアン(プレイヤー)間で取引したり、奪い合ったりするほかありません。
イノセント(ゲーム運営)は、この戦いが永遠に終わらないようにバランス調整を続けながら、戦いを煽っていくことでしょう。

これを見て分かるとおり『ザブングル』の生存競争は、ソーシャルゲームとの相性が非常にいいのです。
『ザブングル』を見たことが無い人でも、ソーシャルゲームで貴重品の取り合いをしている人は多いんじゃないでしょうか。まさしくそれこそがシビリアンライフ。
そんな生存競争サバイバルを体験している方なら、きっと『ザブングル』は分かりやすい世界のはずです。

……ゲームでのブルーストーンの価値?

もちろんそこも原作である『戦闘メカ ザブングル』に従います。
『ザブングル』作品内でのブルーストーンそのものの価値は……ないですね。無価値です。
Wikipedia:戦闘メカ ザブングルによれば、小説版には「単なる変成岩の一種にすぎず、転用できる価値の無い信用通貨のようなもので、上納されたブルーストーンはシビリアンには知らされていないがこっそり廃棄されていた」とまで書かれているそうです。

でもイノセントが、シビリアンに生存競争をさせるためのシステムですから、それでいいのです。
ブルーストーンに価値があるから争いが起こるのではなく、争いを起こすためにブルーストーンに価値が与えられたのですから。

ソーシャルゲーム版『戦闘メカ ザブングル』でも原作に準拠して、ブルーストーンはそれ自体に価値はありません。ゲームなんですから全ては単なるデジタルデータですしね。
ただブルーストーンに価値を与える絶対的存在とシステムがある以上、それを得る価値はあるわけで、終わらないサバイバルダンスもまた続いていくのです。

主人公ジロン・アモスの持論による、理由ある反抗


今回は【惑星ゾラ開発史】と題して、『戦闘メカ ザブングル』の基本構造ができるまでを追ってみました。
導入された設定はそれぞれに作用しあって世界を形作り、無駄な設定まったく無し。
「ロボットアニメの世界」としてふさわしい、すばらしい惑星になったと思います。

この惑星を舞台にして、どのようなフィルムが作られ、どのようなアニメーションになったか、というのはまた別の話です。(私は基本構造・物語のフレームが大好きな人間なので、そこは意図的に切り分けて考えるタイプです)

深く考える気も知識もないのですが、イノセントとGHQの関係というのも考えてみると面白いかも知れない。

さて、この完成した惑星ゾラを舞台に、『戦闘メカ ザブングル』第1話「命をかけて生きてます」で、主人公ジロン・アモスが登場します。

ジロンは、親の仇であるティンプ・シャローンを、三日限りの掟が過ぎても追い続けます。
人工的につくられた再生人類シビリアンの生みの親である、イノセントのルールに反抗するわけです。
コントロールされるべき子供・シビリアンの分際で、親・イノセントが決めたルールやシステムにことどとく反抗し、「人類再生計画」をイノセントが望まなかった形で実現します。
というより、そもそもイノセントのつくった枠内での「人類再生計画」の実現など、親の用意したレール通りに大人になるようなものなので、本来ならありえないのです。
ジロンは子供として正しく、親に逆らって、与えられたシステムを拒否して、そこから逸脱して生きる力があることを証明しました。

もちろん、システムをぶっ壊して終わり、めでたしめでたし、にはならないので、彼らは最終回のあともずっと走り続けなくてはならない。
でも『ザブングル』最終話ラスト、エルチを迎えにいったジロンと、それを追いかけてきた仲間たちを見た人であれば、そこに不安を抱くことはないでしょう。

本当に?と見たことがない方は思うかも知れません。
確かに、惑星ゾラの乾いた大地は、人の心を痩せさせるんでしょう。
実際、イノセントの思惑どおり、シビリアンたちはそうでした。
でも、友と呼べる仲間たちと、みんなで走れば。走る仲間が息切れしたなら、肩を貸してあげれば。
きっと、かすんだ地平の向こう側まで行ける。

そんなことを、ある晴れた日に、ひとり思いました。なぜかな?ちょっと寂しさを忘れたいのかな?
気晴らしに、ロシアンルーレットでもやってみようと思います。

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