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『革命機ヴァルヴレイヴ』第一話を中心に記事を書くと言ったな。あれは嘘だ。

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前回記事(都会では、バイトする魔王が増えている<『はたらく魔王さま!』第一話の問題は今日の雨、傘がない>)を覚えている者は幸せであるが、書いた本人すら覚えてないほど昔のことなので引用する。

さて、いよいよ本題。
『革命機ヴァルブレイブ』第一話を中心とした、ロボットアニメの第一話の話をしようと思っていた。けれど、それを書くには、この余白は狭すぎる……。


と、いうわけで、余白十分の新規記事を書くにあたり、リアルロボットアニメ第一話のスタンダードである母なるファーストこと、『機動戦士ガンダム』第一話を改めて見直すことにしました。

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メモを取りながら見てみると、やはりこれが面白いわけです。分かっていたけど、どうしようもなく面白い。
どうしようもない風に吹かれた私は予定を変更し、『機動戦士ガンダム』第一話を中心としながら、『革命機ヴァルヴレイヴ』第一話の話も含めて他のロボットアニメ(主に富野アニメですが)の話も交えつつ雑多にお送り致します。
第一話見ながら書いていく、オーディオならぬテキストコメンタリーという感じでしょうか。
全てのシーンに触れるので、長いですよ!

ちなみに、この記事でのロボットアニメは『ガンダム』のような、一般的には「リアルロボットアニメ」と呼ばれたりする作品群を指します、としておきましょうか。

ではまず「ロボットアニメ第一話」で注意すべきポイントについて考えるところから始めましょう。

ロボットアニメ第一話が難しいのはなぜなのか?


ロボットアニメ第一話の構成は難しい、とはよく言われます。
色々と理由はあるでしょうが、特に大きいのは、そもそもロボットアニメが特殊な世界での特殊な物語であるからと私は思います。
「巨大ロボット」という虚構性の高い、大嘘ガジェットを作品世界に存在させるためには、それを受け入れる世界やキャラクターなど作品全体でロボットの存在を支えてもらう必要があるからです。

あまり複雑な嘘が必要ないオーソドックスな作品、例えば「高校に入学した少年が、野球部に入って甲子園を目指す」といった野球ものならば、野球も、甲子園も、野球少年の技術も動機も、物語上は特に問題にはなりません。(むしろ設定をひねって工夫しなければならないほどです)

しかし、虚構性の高い「ロボットアニメ」というジャンルでは、フィクションを成立させるための条件がよりシビアになります。
ここで必要なのは、ロボットとそれに乗る少年がいる世界を視聴者が許せるか、受け入れられるかということであって、ディティールのリアルさが必要というわけではありません。基本構造とリアリティレベルがきちんとされていればいいのだと思います。

それについては以前の記事で引用した、富野由悠季監督が『戦闘メカ ザブングル』制作時に残したこの言葉を見てみるとよく分かります。

富野由悠季「ロボット物をらしく創る要素は、ロボットを動かしてもいい世界観をつくることである」


名言ですが、これはつまり「ただロボットが存在しているだけでは、ロボットアニメは成立しない」ということを示しています。

虚構であるロボットを成立させるために、まず「ロボットが存在できる世界」を構築し、それを視聴者に受け入れさせることが必要になってきます。
さらに視聴者にも親近感のある、一般人の少年を主人公にするなら、普通の少年がなぜそれに乗り込み、そしてなぜ操縦できるのか、「動機と理由」をうまく処理する必要もあります。そしてもちろん、そこまでお膳立てして、存在を許されたロボットが魅力的でなければいけない。
大変な説明の処理はただこなせばいいというわけではなく、魅力的な見せ場を得てロボットがかっこよく活躍し、視聴者の心をつかまければ意味が無いわけです。

実際、第一話でこれら全てを、うまく処理するのはかなり難易度の高いハードルです。
多くのロボットアニメがこれに挑み、または戦略的にこれを避けて、工夫したり、別のアプローチを選んでいたりもします。そうした先人たちの試行錯誤が幾多ものバリエーションを産んできました。

ロボットアニメ第一話に求められる3大要素ってあるやん?


これからちょっとパーティ行かなあかんねんけど、ロボットアニメ成立に必要な要素を、この記事では簡単に【世界観】、【ロボット】、【キャラクター(主人公)】の3つに分けて考えてみることにしましょう。
これが、ロボットアニメ第一話が越えるべき3つのハードル、ということになります。

【世界観】
ロボットが存在でき、活躍できる世界。
世界のためにロボットがあるのではなく、ロボットのために世界が存在する。
2人(ロボットと主人公)のため、世界はあるの。
『ガンダム』のコロニーとミノフスキー宇宙はその典型ですね。

【ロボット】
映像作品の魅力的な被写体としてのロボット・キャラクター。
ロボットのデザイン、アクション、SFメカとしての魅力。ビジネス的な価値。
『ガンダム』だと、ガンダム、ザクを始めとしたモビルスーツたち。

【キャラクター】
ロボットに乗り込む主人公を中心としたキャラクターたち。ドラマの中心。
特に第一話では、一般人の少年が、なぜロボットに乗り込んで戦わないといけないのかという動機。
なぜ訓練も受けていない未成年が、ロボットで戦うことができるのか。戦い続けることが許されるのか。
『ガンダム』の場合、なぜアムロはガンダムに乗る決意をしたのか、なぜ戦えたのか、なぜ戦い続けるのか。

このロボットアニメ3要素は、それぞれ別個に存在しているわけではなく、「ロボットアニメ」という大嘘を一心同体三銃士として支えるものです。相互補完関係にあります。

ちなみに、この3要素をどのように用意すればいいのか、ということについては、過去に記事を書いています。

ブルーストーン経済によるシビリアンコントロール<『戦闘メカ ザブングル』惑星ゾラ開発史>

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この記事では、『戦闘メカ ザブングル』の3要素構築について、富野監督の手記をもとに追っています。
第一話のために、製作者は何を準備するのか?これまで話した内容の具体的なサンプルとして、参考になるのではと思います。よろしければどうぞ。

では『機動戦士ガンダム』第一話「ガンダム、大地に立つ」を見ながら、【世界観】、【ロボット】、【キャラクター(主人公)】の3要素をどう処理しているのか、チェックしてみましょう。




オープニングナレーション


人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。
地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。

宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。人々はみずからの行為に恐怖した。

戦争は膠着状態に入り、八ヶ月あまりが過ぎた。


言わずと知れた名ナレーションです。大事な基本設定をぎゅっと詰め込んでいます。
物語冒頭でいきなり世界設定をナレーション処理で説明してしまうのは危険でもありますが、勇気ある英断といえると思います。ここでの圧縮が無いと、アムロとガンダムに十分な時間を取れず、私達がよく知る『機動戦士ガンダム』第一話にはならなかったでしょう。

これは重要な3要素の中で、さらに第一話で優先すべきものはなにか?という話でもありますね。
富野アニメでも、そのバランスは作品によって異なっています。

【ロボット】と【主人公】を優先した『機動戦士ガンダム』
【世界】と【ロボット】を優先した『聖戦士ダンバイン』
【世界】と【主人公】を大事にする予定が、【ロボット】を優先せざるを得なくなった『機動戦士Vガンダム』
【世界】と【主人公】だけで、【ロボット】が出てこない『∀ガンダム』

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『聖戦士ダンバイン』第一話については、以下の記事で詳しく取り扱っています。

なぜショウ・ザマはバイストン・ウェルで眠ってしまったのか <『聖戦士ダンバイン』に見る物語の始め方>

さて、冒頭ナレーションでは以下の説明を処理しています。

  • 未来の地球。人類はコロニー移民をして宇宙にも住み着いている。宇宙の世紀になっていること。
  • スペースノイド(宇宙に住む人類)が地球に対してしかけた独立戦争であること。宇宙vs地球の人間同士の戦争であること。
  • 一ヶ月あまりの戦いで、双方総人口の半分を失ったこと。戦いが膠着状態に入ったところで物語が始まること。

のちに「一年戦争」と呼ばれるこの戦いですが、『機動戦士ガンダム』の物語は野球でいえば「7回裏、連邦軍の攻撃」といったタイミングで始まります。
この戦争は初回、ジオン軍打者一巡の猛攻をきっかけに、相当数の退場者を出した乱打戦となっていますが、7回までの戦いはこのナレーションだけで終了します。

ポイントは2つ。

ひとつは「第二の故郷」スペースコロニーが、オープニングの時点で兵器利用されていること。

「地球の周りの巨大な人工都市」であるスペースコロニーを「人類の第二の故郷」と紹介した、わずか30秒ほど後にはコロニーが地球に落ちています。
宇宙側が地球側にケンカを売ったことがビジュアルでよく分かるのと同時に、宇宙の住処までも兵器に使うという人類のどうしようもない業も感じさせます。宇宙世紀になっていても人類の戦争は本質的に何も変わっていないようです。

もうひとつのポイントは、このオープニングに「人間」が一切登場しないこと。

宇宙に住む人々も、戦争を始めたザビ家の人々も、地球連邦軍も、コロニーを落とされて死んでいく人々も、誰も登場しません。
なぜ人が登場しないのか、については複数の理由がある気もしますが、理由はともかく、登場しないことが、この後の第一話本編演出上のポイントとして効果的に活かされていると思われます。
モビルスーツ・ザクだけは登場しており、このすぐあとの本編シーンへつながっていきます。

ザクのコロニー侵入


ここから本編シーン。オープニングで登場したザクが、スペースコロニー「サイド7」に侵入していきます。

・ザク3機のうち、2機がコロニーに入っていく。
・宇宙なので比較物が無く、スケール観がよく分からない。
・コロニー内部の風景が入り、人工的に地球と同じような環境が作られていると分かる。
・コロニー内にザクが入ると、樹木など対比物が生まれ、大きさが分かる。
・コクピットから人が出てくる。人間初登場し、18mサイズのロボットとスケール対比される。
・侵入したザクのパイロット・ジーンが双眼鏡で、軍の施設をさがす。
・コロニー内にサイレンが鳴っている。
・双眼鏡が、アムロの家に走って入っていくフラウ・ボウを見つける。


モビルスーツによるコロニーへの侵入は、このあと『Zガンダム』や『ガンダムF91』などでも繰り返されます。

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呼吸音と共にザクが登場し、コクピットのカットは無し。
コクピットからパイロットが出てきて、初めて人が操縦する18mサイズだと分かる。
今ではサプライズでも何でもないですが、第一話本放送的には、オープニングナレーションから続いたちょっとしたサプライズとも言えるかも知れません。
はるか未来の宇宙世紀と言っても人間は変わっていません。ですから敵は宇宙人ではなく、ロボットに乗り込んだ同じ人間同士で戦い、殺し合うアニメです。

コロニー内にサイレンが鳴っていますが、これはザクのコロニー侵入に気づいたためではなく、ホワイトベースの入港に伴う避難指示。ホワイトベースはシャアのムサイに追われており、デニム達はシャアが出した偵察部隊になります。

ほとんどの人は避難済みのため、残っているのはメカいじりに夢中で避難指示に気づかないアムロぐらいしかいません。しかし、フラウ・ボウが避難していないアムロを連れ出しに駆けつけてくれます。

他に人がいないので、無人の街を走るフラウ・ボウは当然目立つ存在となり、それをジーンが双眼鏡で見つけることで、侵入者パートからフラウ・ボウパートにつながります。

フラウ・ボウとアムロ


このパートで主人公アムロ・レイが登場しますが、フラウ・ボウ先生が大活躍を見せます。

・家に入ったフラウ・ボウは「アムロ!」と名を呼びかけ、主人公の名前を周知させます。
・(フラウが用意した食事が)まだそのまま残っている。
・フラウはいつも来て、食事を用意している関係であるようだ。
・マスコットメカであるハロの登場。
・メカいじりに没頭するアムロ。すばらしいぼんやり演技。
・朝食をちゃんと食べなさいと言いながら、アムロのカバンを開き避難の用意をし始めるフラウ。
・完全におかんである。
・フラウ「軍艦(ホワイトベース)が入港するから、避難するんですって」
・サイレンが避難命令であることに気づいてないアムロ。
・フラウをうざがっているアムロ。母親役をするフラウと、それをうざがるアムロ。


メカいじりをしながら登場する、この作品の主人公アムロ。
メカいじりが趣味で、メカに強いということが、まずガンダム搭乗の布石のひとつとして置かれます。

フラウは家に入ると「アムロ」と名を呼び、「朝食はちゃんと食べなさい」などと小言を言いながらも、アムロのカバンに避難の用意をし始めます。
アムロはパンツ姿ですが、アムロに取り繕う様子もなく、フラウにも動揺はありません。ということは、これが彼らの日常ということですね。
では彼氏彼女の関係かといえば、フラウはアムロを子供扱いし、アムロは完全にフラウをうざがっており、あくまで世話女房=母親役をやっているんだろうな、と分かります。

アムロは、避難指示にも気づかなかったぐらいなので、フラウ・ボウが来なければ自分からは家を出ずにメカいじりを続けたでしょう。
フラウ・ボウに追い立てられて、やっとイヤイヤ避難のために家を出ます。
当時としては新鮮な、そういう内向的で動かない主人公ですが、それでは物語は動きません。
物語を動かすには、アムロに行動を強制できる立場であるキャラクター、例えばこの場合、母親役であるフラウ・ボウなどが絶対に必要になります。

ここでのアムロとフラウの関係の提示と、フラウによるアムロの誘導は本当にすばらしいと思います。

アムロの家の前(ハヤト登場)


第一話で登場するレギュラーキャラクターは、軍人であるブライトを別とすれば、ハヤトだけです。

・一足先に家を出たフラウが、避難しようとするハヤトに出会う。
・ハヤトはお向かいさんなのに、アムロに避難命令を伝えていない(そういう関係)。
・ハヤト「アムロの親父さんみたいな軍事技術者がここに来なけりゃ、僕らは…」
・フラウ「研究施設を作るために、立ち退きさせられたこと、まだ恨んでるの?」
・ハヤトは家族と避難し、アムロもサンドイッチをくわえながら車にフラウを乗せ、走りだす。
・フラウ「アムロ!お行儀悪いわね」
・フラウ「入港する軍艦に、アムロのお父さん乗っているんでしょ?」
・アムロ「だと思うよ。1週間前に地球に降りると言ってたから」
・フラウ「ここも戦場になるの?」
・アムロ「知らないよ。親父は何も教えてくれないもん」


ここまでは完全に主人公のアムロではなく、幼なじみのフラウが物語を回しています。

例えば『Zガンダム』第一話冒頭では逆に、主人公カミーユが自分自身の動機で行動し、幼なじみのファ・ユイリィがそれに置いて行かれないように着いて行くという形をとっています。アムロとフラウとの比較、『Zガンダム』のその後の展開と含めて考えると少し面白いですね。

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さて、『ガンダム』第一話は、かなり登場人物を絞り込んでいます。
レギュラーメンバーですと、アムロ、フラウ、ブライト、そしてこのパートでのハヤトしか登場しません。
あと名前と役割が明確なのは、テム・レイとシャア。そして敵役であるザクのパイロット、デニムとジーンぐらいですが、シャア以外はこの回でいなくなる存在です。
第一話は、ボーイ・ミーツ・ロボットつまりシド・ミード・ガンダム。じゃなくて、アムロ・ミーツ・ガンダムの物語に集中させていると思ってよいでしょう。

そんな中、ハヤトだけ登場させて、父テム・レイの職業を説明しつつ、軍人と一般人の微妙な関係と、アムロとハヤトの微妙な関係を紹介しています。ここは第一話というより、むしろそれ以降でより効いてくるところ。

アムロが運転する車内では、テム・レイの話がさらに補足され、軍事技術者である父テム・レイは入港するホワイトベースに乗っているということが分かります。
このためアムロは、父不在一人住まい。それでフラウがやはり世話焼き女房役か、とつながっていきます。
当然、あれ?アムロの母親は?となりますが、これはまたのちの物語。
こうやって細かく見ていくと、避難する際にアムロが母カマリアの写真立てを見つめ、荷物の中に入れるシーンがあってもいいかな、という気もしますが、代わりにどこかの時間を削らなければいけないと思うと、第一話ではやはり不要という気もします。

サイド7の港(ホワイトベースの入港)


アムロの父テム・レイやブライト・ノアを乗せた最新鋭の軍艦ホワイトベースが、サイド7に入港してきます。

・連邦士官「ホワイトベースにガンダムの部品を載せりゃいい。地上の作業急がせろ」
・連邦士官「ホワイトベースめ、よりによってジオンの船につけられるとはな」
・連邦士官「さすが我が連邦軍の新鋭戦艦だ。この艦とガンダムが完成すれば、ジオン公国を打ち砕くなぞ造作もない」


ホワイトベースが、ジオン(シャアムサイ)に追跡されたことが正式に判明。つまりここで、コロニーに侵入したザクもまた、そのジオンの戦艦(シャア)の派遣したものだと分かります。
「ガンダム」というワードの初出はここになります。サイド7にあるガンダムをホワイトベースに乗せるようです。
新鋭戦艦ホワイトベースとガンダムが揃えばジオンに勝てると語られ、否応なく主役ロボット、ガンダムへの期待が高まります。

ホワイトベース内(テム・レイ登場)


ここまで、お噂はかねがねのアムロの父テム・レイ登場です。同時にブライト・ノア登場シーンでもあります。

・ブライトが、テム・レイの部屋へ伝令に来る。入港を伝え、至急ブリッジに来るようにと。
・図面を見ているテム・レイ。ブライトとテムの会話が始まる。
・テム「ブライト君と言ったね。何ヶ月になるね。軍に入って」
・ブライトが軍に入って6ヶ月の19歳と分かる。若く、まだ新米の士官だ。
・テム「ガンダムが量産されるようになれば、君のような若者が実戦に出なくとも、戦争は終わろう」
・机の上にアムロの写真。ブライト「お子様ですか?」 ここでテムとアムロの親子関係がつながる。
・アムロぐらいの年の子供も戦場に出ているとの会話。
・入港していくホワイトベース。


父テム・レイが、ガンダム開発に関わっている技術士官であり、同時にアムロの父であることが分かります。
アムロのメカ好きはテム・レイゆずりなんだな、ぐらいは想像がつきますが、ガンダムを操縦できて、戦闘に参加する、という点ではまだ結びつきは足りません。

しかし、ブライトのやりとりから、アムロぐらいの年齢の子供でも戦場に出ることもある状況だと分かります。

これは現実世界でもあることですが、総人口の半分が死んでもまだ続いているような戦争では余計にそうした悲劇は起こりうるのかも知れません。ジオンは実際に、一年戦争後半、ジオン軍は学徒動員兵を戦場に多く出しています。
だから今後、アムロ少年が戦場へ出ることになったとしても、この世界の状況では、それなりに正当性があり、ありえない話ではないと分かります。

さて、ガンダムは、父が作ったロボットに子が乗り戦う、というタイプの作品です。
アムロは勝手に乗り込んだのでテムが与えたわけでは無いのですが、父から大人になるための力(ロボット)を与えられるというのは、ひとつのスタンダードでもあります。

アメリカのドラマで言えば、誕生日の高校生にパパが車のキーをプレゼントしてくれる、みたいな感じでしょうか。
パパはキーを渡しながら、息子に言います。
「いいか、この車はお前のものだ。もう何処へだって行ける。だが、人を轢いて殺すこともできる。大人として振る舞うには責任が伴う。それを忘れるんじゃないぞ」
「(聞いてない)分かってるよパパ。今晩、彼女をドライブに誘っていい?」

『ガンダムF91』では逆に、主人公シーブックの母がガンダムを作り、父が子供たちを育てています。
母モニカは兵器であるガンダムを開発しながら、それに乗るのが息子シーブックだと知ると狼狽します。
モニカもテム・レイも自分の子供に人殺しをさせるためにガンダムを作ったわけではないのですが、戦争になればガンダムに誰かの子供が乗り、誰かの子供を殺すのです。2人とも親でありながらそれには無自覚でした。

最終的に母モニカは、自らがつくったF91を宇宙に投げ出されたセシリーを探す道具に使い、泣き言をいうシーブックを諭しながら、彼を導きます。最後にガンダムを通して母親らしいことをしてくれるモニカ。
一方、父テム・レイは、サイド6で出会ったアムロにガンダムのパワーアップパーツ(ガラクタ)を与えて、TVでドムを次々に落とすガンダムの活躍に熱狂することになるのですが、これはまたのちの話。

ホワイトベースを追跡中のシャアムサイ(シャアの登場)


ジオンの赤い彗星ことシャア・アズナブルの初登場。ひとりごと大会が開幕します。

・シャア「私もよくよく運のない男だな。作戦が終わっての帰り道であんな獲物に出会うなどとは」
・シャア「フフフ、向こうの運がよかったのかな?」
・ドレンと会話。こんな僻地のコロニーにMS研究施設なんかあるのかと疑うドレン。
・ジオンのザクより優れたMSを開発している可能性を示唆するシャア。
・偵察部隊からの暗号通信をうけとる。
・MS研究施設を発見したとの報。MS開発に成功したと考えるべきだというシャア。


シャア初登場。「私はシャア・アズナブル。見ての通りの変態だ」の自己紹介でおなじみの変態仮面紳士ですが、若くして艦長として部隊を任される優秀な士官です。かなり年上のドレンより階級も立場も上ですしね。

モビルスーツ研究施設を発見したとの知らせを聞き、シャアは連邦軍のモビルスーツがこのサイド7に存在することを確信。
連邦のモビルスーツ研究施設があるとにらみ、さらに「ジオンのザクより優れたモビルスーツを開発しているかもしれんぞ」と、モビルスーツ名と所属軍をきっちり紹介した上で、ガンダムの化け物性能フラグを律儀に立てるシャアさん。
メタ的に考えれば、サイド7に最新鋭モビルスーツ「ガンダム」は当然存在します。「ガンダム」のために作られた世界で、その物語の第一話なんですから。
でも、それをドレンに疑わせた上で、シャアが第一話のセオリーに従った発言するだけでなんとなく鋭い指揮官と思えてくる。良いやり方だと思います。
若くして出世した、ライバルにふさわしい金髪エリートの登場。
しかし、そんなシャアの存在そのものが、第一話での戦闘を発生させる原因になろうとは、そのときの俺達は当然知るよしもなく……(高嶋政伸『THE HOTEL』)。

アムロたちの住むサイド7は僻地のコロニーと分かりました。
僻地ゆえに、戦乱からは遠い位置にいたのもあり、秘密裡にMS研究するにはもってこいの環境だったと想像できます。同時にこれまでは平和だったこのコロニーも、ハヤトの言うようにMS研究施設が作られたばっかりに戦争に巻き込まれていくことが予見されますね。

モビルスーツ研究施設の存在が確認されましたので、デニムたち偵察部隊の役割は、これで達成されました。
あとは一旦、帰還し、指揮官であるシャアの指示を仰ぐべきですね。
シャアムサイは何か作戦を済ませた帰り道に、偶然ホワイトベースと遭遇したようですから、補給も十分で無ければ、新造戦艦撃破の準備も当然していないでしょうから。
しかし、デニムたち偵察部隊が正しい軍人の選択をして帰還すると、第一話に戦闘は発生しないことになってしまいます。どうしましょう?

サイド7(意見が分かれるデニムとジーン)


サイド7に侵入したデニムとジーンですが、撤退すべき状況で2人の意見が分かれます。

・敵モビルスーツを叩くなら今しかない。戦艦に乗ったら終わりだ、という新兵ジーン。
・任務は偵察だから手は出すな、というベテランのデニム。
・ザクに乗り込むジーン。
・ジーン「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って出世したんだ」
・命令違反の侵すのかと、ジーンを止めようとするデニム。
・ジーン「手柄を立てちまえば、こっちのもんよ!」
・無人のガンキャノンやガンタンクを破壊するジーン。ガンダムはまだ姿を見せず。


ここでアクシデントが発生します。
偵察部隊であったジーンが、敵モビルスーツを叩くなら今しかないと、攻撃することを主張します。
先輩デニムは、我々の任務はあくまで偵察だから手を出すな、と、これを止めます。正論です。
しかしジーンは退きません。彼の主張はこう続きます。
連邦のモビルスーツが入港してきたホワイトベースに運び込まれたら、うかつに手を出せなくなる。今、攻撃すべきだと。

『ガンダム』の物語全体を知っている我々は、命令違反であるジーンの主張にも一定の理があるというのは分かります。
ホワイトベースとガンダムの組み合わせは、最終回までジオンに大小さまざまな被害を与えます。
第一話のアムロがまだガンダムに乗り込んでいない、このタイミングが最大の好機というのは、結果論でいえば正しい。
しかし、そもそもジーンが戦闘を始めず撤退していたら、混乱も発生せず、アムロがガンダムに乗り込み最凶コンビを結成することもなかったはずです。
「シャアに見つかれば、アムロがガンダムに乗る」といいますか、風が吹けば、桶屋が儲かる的な因果の妙によって展開していく物語が富野アニメの真骨頂であり、快感のひとつです。都合の良い展開を運命に見せるのが大変上手ともいえます。

とにかく、新兵ジーンの命令違反によって戦いはついに始まってしまいました。
ジーンの命令違反を呼んだ一因は「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って出世したんだ」というこのセリフにあるように、実際に前線での活躍で異例の大出世をした例を知っているからです。
連邦が秘密裏に開発していた新型モビルスーツを壊滅させたのであれば、命令違反を補って余りある功績になると、ジーンは思っています。シャア自身に罪は無いですが、シャアの存在そのものが悪影響を及ぼしてますね。

やっぱりポイントは最初から想定された戦闘ではないことでしょう。
本来であれば、この戦闘は無いはずでした。しかし、さまざまな運命の輪が回った末に戦端が開かれてしまう。
富野アニメでの戦争は、人間がきっかけでありながら、それ自体が独立した生き物のように動き、成長し、個人の思惑ではもうどうすることもできません。もちろん、それでも人は抗い、戦い続けるのですが。
その最大のものは異星人同士のファーストコンタクトのちょっとした失敗で双方全滅までいってしまった『伝説巨神イデオン』になります。「イデが目覚めれば、オーメ(財団)が儲かる」そして2つの種族が滅ぶ。

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退避カプセル(避難先シェルター)から外へ


ここは第一話の中で、アムロが「子ども」から「男」へ変化する上での最初の切り替えポイントです。
それだけに色々と考えて、ひねったり、発展させる余地がたくさん見出だせるシーンになっています。

・退避カプセル内に避難している人々。アムロとフラウもこの中に。
・アムロ、デニムの攻撃による振動を、外で爆発が起きているためと推測。
・老人「ジオンだ。ジオンの攻撃だ」
・アムロ、父テム・レイを探し、ホワイトベースに避難させてもらうように頼みに行こうとする。
・退避カプセルを出て行ってしまうアムロ。


このシーン、たったこれだけなので、尺も短く、見ているとさらっと流れていくのですが、私はかなり重要なシーンだと思っていますので、ちょっと丁寧に見て行きましょう。

まず、どのような役割を持ったシーンなのでしょうか?
ここでアムロは、父テム・レイにホワイトベースに避難できるように交渉しにいく、と言って行動を起こします。
テム・レイはここまでの流れで明らかにされたようにガンダム開発の技術士官ですから、ホワイトベースへのガンダム積み込みのため、そばにいることになるはずです。父に会いに行かせることで、アムロとガンダムの出会いを作ることになります。

そして重要なのはこのシーンが、第一話において初めてアムロが自らの動機で、自発的に行動するシーンであることです。

ここまで、母親役フラウ・ボウに先導されるまま、子供のようについてきたアムロですが、このシーンを境にして、自分ひとりで行動を始めます。
第一話で、流れが切り替わるポイントがあるとすればここだと思います。

これらを踏まえて、このシーンでのアムロの動機の処理について考えてみましょうか。
父テム・レイへ避難の交渉をする理由として、「こんな退避カプセルでは持たない=避難している多くの人が死んでしまうから」としています。
これにはアムロが持つ、他人への配慮、正義感、老人など弱いものを助けたいという義侠心などがベースとなっているわけです。

ということは、テム・レイ(ガンダム)の元へ行くという段取り上の目的はあるとはいえ、最終話ではなく第一話の、より内向的で社会勉強する前のアムロでさえ、他人や共同体のためにアクションを起こせる人間であると、設定されているわけですね。

これは富野監督が「ガンダムに乗り込むキャラクターであるのならばそれぐらいの行動はする」と考えた、主人公の最低限のラインとも言えます。
「おのれジオンめ!目にもの見せたるぜよ!」と、バズーカかついで走っていくような無謀で好戦的キャラクターではないですが、避難カプセルで一緒になった人たちの生存率を上げるための交渉ぐらいは自発的に行う、というキャラクターです。

最低限のラインというのは、「ロボットに乗る主人公はせめてこれぐらいはできる人物が好ましい」というラインになるわけですが、これには富野監督を始めとした当時のスタッフが持つ「人間への信頼」が元になっていると思います。
その後は、バリエーションという意味でも、時代という意味でも、アムロとはまた違う主人公が登場してきます。

例えば『Zガンダム』の主人公カミーユ・ビダンがガンダムMk2に乗る直前の状況は、アムロとよく似ていますが、その中身は異なります。
シェルターに避難したアムロがうかつに部屋から出られない状況であったように、カミーユもまた部屋から出れない状況にありました。しかしその理由は、ジェリドに暴力を振るってティターンズにつかまったからです。その後、取り調べ室から脱出できたカミーユは、ガンダムMk2に乗り込もうとしますが、その理由は取り調べをした憲兵を見返すためです。ガンダムの高さから見下すためです。カミーユの物語はそういう所から始まっています。
そして、そのあとカミーユはシャアに誘われるまま、盗んだMk2で走りだしてしまいます。暗い宇宙の帳の中へ。

『ガンダム』第一話を踏まえた『Zガンダム』第一話は本当に面白く、私はリアルタイム視聴した幼少時も、そして今もさまざまな刺激を受けています。
極端に言えば、アムロがカミーユのような子供だった場合、ガンダムに乗って、ジーンやデニムと一緒にシャアムサイに行くことも出来たわけですが、もちろん『ガンダム』はそういう物語でも時代でも無いので、そういうお話にも、主人公にもなってはいません。

個人的には「利他的な理由ではなく、利己的な理由でシェルターを出るアムロ」を、カミーユと違うパターンで考えると、ひとつは「ザクが見たい」という理由で飛び出すというのも良いかな、と思います。メカ好きな上に、父がモビルスーツ開発者。父が越える目標としていたザクが、シェルターの外を歩き回っている。直接、ザクを見てみたい(戦争を見る気は無い)。で、飛び出す。父への交渉は周囲への言い訳に使って、本心がこっち、という形になるでしょうか。
テム・レイの息子にふさわしい近視眼っぷりですが、もちろんこの動機は後で相応のペナルティを負うことになるでしょうね。

そしてもうひとつ。『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ君。

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(2010/05/26)
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もちろん、ロボット(EVA)に乗る、乗らないという話もそうなのですが、ここでは特に『新劇場版:破』のいわゆる「男の戦い」パート。
毎度おなじみ、逃げてるはずなのに、いつの間にかジオフロントのシェルターへ入るシンジ君。
マリが乗る弐号機がふっ飛ばされて、シェルターに穴を開けますが、シンジ君は外へは出ず、うずくまったままです。
まあ、胎内(シェルター)から外界へ出るのを嫌がる赤子のようなものですが、結局自分からは外へ出ず、帝王切開とでも言いましょうか、弐号機が無理やり外へ引っ張り出して現実を見せます。シンジは変わり果てた光景に愕然とし、使徒が綾波をおいしく召し上がったのを見て、ようやく走り出します。

シチュエーションとしては似ていますが、『ガンダム』の退避カプセルの方が、より「胎内」イメージに近いといえます。
それはもちろん、アムロのとなりに母(フラウ)がいるから。にも関わらず、このシーンでは、アムロとフラウのからみが全くありません。
フラウが「外は危ないわよ。アムロ。ここなら大丈夫。ここで私と一緒にいましょう」といったスタンスを取り、それに対してアムロが、フラウの意志に逆らうようにして外へ出て行くような形もいいかも知れません。
これに関しては、この描写の時間を確保することを考えてもいいかも?とすら思っていますが、別にセリフのやりとり等に時間を大きく取る必要もありません。
最小限の構成なら、フラウが出て行こうとするアムロの腕や服をつかみ、それをアムロが振り払うようにして出て行く、というような描写でも表現はできるのではないかと思っています。からみつく母の腕から逃れる子供。

この「ロボットへ乗るために、まず子宮から外へ出て走るイメージ」という観点で見ると、『ガンダム』では、フラウ(疑似母)の関わりが見えませんでしたが、続編である『Zガンダム』第一話ではカミーユの実母であるヒルダが関わっています。
カミーユが取り調べ室から開放されたのは、母ヒルダが身元保証人となって迎えに来たためです。つまりアムロとは違って自力ではなく、母の、女性の手を借りて、部屋の外へ出ることができた。
カミーユは建物の外に出るための長い通路を走る。迎えに来たヒルダは混乱するロビーの中でも自分の子供を見つけ「カミーユ!」と呼ぶが、カミーユは一瞥しただけで、母を無視してそのまま外へ飛び出していく……(そしてガンダムMK2の元へ)。
すばらしいシーンとはいえ『Zガンダム』のファーストエピソードは実質、前後編の2話に分かれているので、第一話に収めた『ガンダム』と単純な比較はできないのですけれどね。でも面白い。

あまりこうした隠喩の深読みやこじつけ的なことは好きでもないんですが、構造的なことだけいえば、第一話で主人公はロボットに乗るためにに一度生まれ直す必要があるということでしょうか。
実母から離れて、大人になるための共同体に所属し、仮母や仮父に庇護され、最終的に大人として成長する。
第一話でロボットに乗りたければ、何かを捨てる必要があって、それはは母だったり、幼なじみだったり、それらに象徴される日常だったりするんでしょうね。人間を捨てることもそのひとつかな?(思い出したようにヴァルブレってみる)

退避カプセル(シェルター)前


父テム・レイを探して交渉するためにシェルターの外に出たアムロ。

・シェルターの外にでたアムロの目の前にザクが!
・アムロが初めてみるザク。戦慄するアムロ「これが、ジオンのザクか…」
・有線ミサイルかわしつつ、ザクマシンガン!巨大な薬莢がアムロのそばに落ちる。
・アムロは車に乗り、テムを探しにいこうとした瞬間、軍人の乗った車とニアミス。
・アムロ「技術士官のテムレイを探しています。どこにいるんですか?」
・軍人「船じゃないのか?」走り去る軍人の車。
・そのとき、ザクをはずれた有線ミサイルが、軍人の車を直撃。
・こっぱみじんとなる車。爆風で飛び出すガンダムのマニュアル。
・ザクは、サイド7内の抵抗をもろともしない。強い。圧倒的に強い。
・さっき会話した軍人はもういない。アムロが最初に見た死人。アムロ「し、死んだ…」
・アムロ、極秘資料のマニュアルを見つける。中を開くと、連邦軍のモビルスーツマニュアルだと分かる。


ここで初めて、第一話での強大(で巨大な)敵モビルスーツ・ザクと、それによってもたらされた死者を目の当たりにします。

正確に言えば、連邦軍の優先ミサイルによって死んでいるのでザクによって直接殺されたわけではありません。それもあってか、アムロにとっては急に起きた事故のようなものでした。
ついさっき会話をした人間が木っ端微塵で死体も残っていない有様ですから、ショックではあるけれど、それだけで済みました。
殺されて悲しいとか、ジオンに対しての怒りのような感情はここでは作られません。
ここでの「死」は、そういったものを含めない純粋な死でしたから、アムロは次の行動へ移ることができました。

また、この「死」は、アムロにガンダムのマニュアルを渡す役割を兼ねています。
軍事機密であるマニュアルを見て、咎める軍人は当然ながらもう誰もいません。

アムロは道端に座り込み、ガンダムのマニュアルをめくり、夢中で読み始めます。
ここは、さっきの連邦軍人のように、いつ爆発が起こって、木っ端微塵になるのか分からない場所です。
アムロは先ほどそういう「死」を見たはずなのに、地べたに座ったまま、マニュアルを読みふけります。
生死の危険よりガンダムへの好奇心が上になっているわけですね。メカ好きとはいえ、相当な人間です。ある種イカれてますね。

つまり、アムロはそういう人間なのです。普通の人間が持っている生死の打算より感情を優先してしまえる人間なのです。
そもそも、身の危険が増すにも関わらず、ここでは皆が死んでしまうからと義憤に駆られてシェルターの外に出てきたような少年です。
目の前で人が死んだ直後に、その場でガンダムのマニュアルに目を通し、今度はそちらに夢中になってしまうような少年です。

安全な場所で我が身を守り続けようとするような主人公であったなら、恐らくガンダムに乗りませんし、乗れないでしょう。このあとガンダムに乗るアムロだからこそ、まず自分の身の安全を考えるような行動は、ここでは取らせる必要がありません。

ですから「安全な場所へ逃げてから、マニュアル読めよ(笑)」という、この場面によくありそうなツッコミは無意味であると分かります。
そんな常識的な危険アンテナを持ち、行動できるアムロであれば、子供の自分はガンダムは乗るべきじゃないと常識的に判断できるでしょう。

打算的な行動ができないと普通は「バカ」と言われます。その意味でアムロの一連の行動はバカそのものです。しかし、それこそが主人公が主人公たる条件であり、アムロも立派にそれを満たしていることが分かる良いシーンだと思います。

ヤムチャ的な賢明な保身ではなく、悟空的なバカで無謀な選択と挑戦ができるのが主人公です(古谷徹さんはヤムチャですけれども)。
そのあたりは、過去の記事に書きましたので、よろしければどうぞ。

強敵に震えるヤムチャとワクワクする悟空<物語で「恐怖」と向き合う主人公>

そして、アムロの見ているマニュアルの図面として、ガンダムの姿が初登場したところで、怒涛のAパート終了です。種は蒔くべくして蒔かれた観があります。
はたしてBパートにおいて、アムロはガンダムに乗るや、乗らざるや!
いやそれは乗るに決まってるだろうとかいわずに刮目して待て!

アイキャッチ


ということで、本記事は『機動戦士ガンダム』第一話Aパートまでと致します。
長い間、雑談にお付き合い頂き、ありがとうございました。

本当は第一話全てやりたかったのですが、構成に無駄がなさすぎて全て触っていったら体力の限界!気力もなくなりAパートまでということになりました(千代の富士貢)。
Bパートと第一話まとめの後編をやるかどうかは、左肩の違和感と記事の反応次第といったところでしょうか。
『ヴァルブレイブ』にも全く触れていないし……。

さてはて、これからどうなりますことやら。あとは次回の講釈で。
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