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「コードギアス」のルルーシュとスザクの対比は、この作品の中心部分だが、この2人の対立は田中芳樹「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」に例えると分かりやすいんじゃないだろうか。

そう思いついたので、ちょっと遊びで重ねてみましょう。

※記事の性質上、「コードギアス」と「銀河英雄伝説」のネタバレが含まれます。ご注意を。
誤ってネタバレを知ってしまった場合は「全力で忘れろ!」



■ギアス英雄伝説(「銀河英雄伝説」の場合)

ルルーシュ=ラインハルト
(1)主人公。容姿端麗、頭脳明晰。
(2)戦略の天才
(3)目的のためには手段を選ばない
(4)妹(姉)の幸せを願い、果たそうとするがやり方を間違えている。


スザク=ヤン+キルヒアイス
(1)主人公の親友(キルヒアイス)にしてライバル(ヤン)
(2)戦術レベルの天才(ヤン)
(3)目的は大事だが、それに至る正しいプロセスを重視する(ヤン、キルヒアイス)
(4)主人公の妹(姉)の恋愛対象者となるがそれに応えることはない(キルヒアイス)


(1)~(4)がそれぞれ対応する。

(1)スザクはルルーシュの親友ポジションで、ヤンだけでなくキルヒアイスの要素を持つ。

(2)ルルーシュは大きな作戦レベルでは常に勝利を収めているのだが、その計算を一騎で乱すのは戦闘の天才スザク。あくまで戦闘レベルではあるが、戦闘の天才ゆえにルルーシュの戦術を無効化できる。
またスザクがルルーシュの妨害者にしか見えないのは、常にルルーシュの戦略、戦術の中でしか戦っていないからでもある。土俵はルルーシュが用意したもの、でも、その土俵の中で一番強いのはスザク。
ちなみにルルーシュが仕掛ける戦略ゲーム、戦術ゲームの面白さは脚本の大河内さん(キングゲイナー)によるところが大きいでしょう。どこかのインタビューで見ましたがボードゲームなどのヘビーゲーマーだったそうです。

(3)目的のためには手段を選ばないのは銀英伝のラインハルトも同じ。そのためにかげがえの無い親友を失ったのも同じか。失い方が違いますが。
スザクは口ではルルーシュを批判してますが、父親を殺してまでして戦争を回避したり、イレブンの分際で帝国中枢にもぐりこもうとしたり、目的のために手段を選ばない人でもあるんだよね。
だからもっと出世と保身にガツガツするスザクが本当は見たかった。目的のためには簡単に死ねないはずなのに、1期で簡単に死刑を受け入れるような描写はちょっと拍子抜けしました。
(この辺りがルルーシュのミラーにしすぎて、スザク本来のキャラクターが生かされていない感じがするところ)

(4)ルルーシュもラインハルトも妹(姉)のためにと思ってがんばってるんだけど、根本的にやり方を間違えているから、やればやるほど自分も妹(姉)も幸せになれない。
ラインハルトなんか銀河全てを手に入れたのに、本当に大事なものは全て手に入らなかった。いや本当に大事なものの代替品として銀河で埋めようと思ったけど、銀河ですら埋まらなかった。

ルルーシュ=ラインハルト
(5)体力がない。


というのもあるかも。



■ルルーシュ乱戦記(「アルスラーン戦記」の場合)

同じく田中芳樹「アルスラーン戦記」にも重ねてみたパターン。

ルルーシュ=ヒルメス
(1)廃皇子
(2)復讐を誓って闇をゆくもの
(3)王国の外側からの改革者


スザク=アルスラーン
(1)庶民から騎士(王)へ (スザクは首相の息子だけど帝国としては庶民)
(2)正しい道を求めて光をゆくもの
(3)王国の内側からの改革者


コードギアスはヒルメスを主人公にした「ヒルメス戦記」ですよね。
スザクのポジションは正確に言えば、ダリューンあたりで、ユーフェミア(ナナリー)がアルスラーンになるのでしょうが、ここでは、スザクとルルーシュの対比ということでひとまずこうしておきます。

銀英伝では、ヤンとラインハルトという異なる陣営に魅力的なキャラクターを創りましたが、アルスラーン戦記では、この対比構造は圧倒的に弱い。
ヒルメスの人物がアルスラーンより何枚か落ちる上、連戦連敗、配下も次々と死に、流浪の人生という大変不遇なキャラクターとなっています。
(もうザッハーク戦の最後の最後あたりでアルスラーンと共闘するぐらいしか、使い道が無さそうな気がします)

田中芳樹が造詣が深い中国の歴史を見てみても、外側から軍事の力で国を変えるパターンと、内側から政治の力で国を変えるパターンがある。
アルスラーンのようにお飾りのように幼少で皇帝になるパターンだと、本当の力を隠しつつ、皇后や宦官や外戚の勢力を少しずつ剥ぎ取ったりして、自分の地位を確立するパターン。
でも、これを何も知らない外側から見ると(ネコかぶって)弱々しいアルスラーンにはパルスは任せていられるか、となってヒルメスが軍事力で王位を獲る大義名分になるんですよね。

そんな「自分が見たかったアルスラーン」というのは昔考えたことがあります。

(1)ヒルメスとアルスラーンが外と内、全く別のアプローチで王位レースをする。
(2)アルスラーン側には軍師ナルサス、ヒルメス側にもナルサスの親友の軍師をつけて軍師同士のレースにもする(管仲と鮑叔にする)
(3)最終的にはヒルメスが王位レースに負ける。
(4)ヒルメスは、ただの傀儡と思っていたアルスラーンが王の器であることを認め、パルスを去る。
(5)ヒルメス一行は、自分の居場所を求めて旅立つ。(どこかに国をつくるのか、どこかの国に仕えるのか)

あとはアンドラゴラスを、アルスラーンに最も都合のいい形で退場させたのが、あまりに都合良すぎて引っかかっているので、アンドラゴラスをヒルメスが直接対決で討つという見せ場を作る。
その上でアルスラーンが国王になったあとは、前国王殺しの男という大義名分でヒルメスを討ち、国外に追放するというのでどうか。
アルスラーンが絶対できないアンドラゴラス殺しを引き受けた上に、その汚名を持ってパルスから去ることが、ヒルメスにできる唯一のパルスへの愛だった的な。

ヒルメスがカッコ良すぎる気もするのですが、いや!そういう、双方すばらしい!という展開が見たいんですよね。
本編を読んでいるとまあ、ヒルメスがあわれであわれで。もうあわれさを楽しんでいくしかないキャラクターになっているのはせつないんですよね。

思い切り脱線しましたが、このようにヒルメスはルルーシュのように主役にはとてもなれないので、基本設定ぐらいしか重ならないんですが、ルルーシュを見てると、むしろアルスラーン戦記はヒルメスをもっと大事にした方が面白かったのに、というお話。



田中芳樹作品に重ねてみたのは、単に認知度が高くて例えとして通じやすいというのもありますが、実際コードギアス見てるときに銀英伝やアルスラーンを連想したからでもあります。
歴史からネタを引っ張っている田中芳樹作品は、設定がオーソドックスかつ明確な人物や思想の対比があって物語構造が分かりやすいので、重ねやすいんでしょうね。

構造的に重ねたらどうなるかな?という例えゲームなので、コードギアスが田中芳樹作品に似てるとか、影響されてるとかではもちろんありませんので一応、誤解無きよう。
アルスラーン戦記のところで書いたとおり、ストーリー自体はルルーシュ(ヒルメス)側を主人公に据えたコードギアスの方が好みですしね。
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Re: コードギアスを「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」に重ねてみる

根本的な勘違いを幾つかしているのでその指摘を。まずコードギアスは明らかに田中芳樹作品の影響下で製作されている。監督ならびにシリーズ構成も認めているが何より作品のあちらこちらに影響が散見される。そして原作でも指摘されているがヤンの本質は戦略家である。その上で戦術の鬼才でもある。原作では天才近似値と評されているが。この条件に適合するのはスザクではなく中華連邦のシンクーであろう。
更にヒルメスはアルスラーンに敗れ放浪の身となって以降のほうが圧倒的に
魅力的であり、人物造詣にも深みが出てくる。物語に通底する思想は血統主義の愚かしさであり、
血統主義にこだわったヒルメスが才能はあっても
愚劣な人物として描かれるのは当然であり、血統主義から開放されて以降が魅力的に描かれる
のも当然である。貴殿の案では単なる二流プロットの英雄譚となってしまい、人物造詣と物語の深みを甚だ欠く結果となっていただろう。
最後に非力で中庸かつ善良な名君という人物造詣は三国志の劉備など中国の歴史物語の主人公たちの多くに共通するいわばお約束であり常識である。
中国古典から現代娯楽小説まで精通する田中芳樹氏がこの基本に則るのはアジア人として
当然といえば当然である

Re: Re: コードギアスを「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」に重ねてみる

コメントありがとうございます。

> まずコードギアスは明らかに田中芳樹作品の影響下で製作されている。監督ならびにシリーズ構成も認めているが何より作品のあちらこちらに影響が散見される。

スタッフの方が影響を明言されていたのですね。これは全く知りませんでした。教えていただいてありがとうございました。こんな記事を書いたぐらいですから私も大変興味があるので、出典を教えていただければぜひ読んでみたいです。

その他のご指摘についても正しいご意見だと思います。
ただいくつか誤解があるように思いますので、その辺りだけご説明をさせてください。

> そして原作でも指摘されているがヤンの本質は戦略家である。その上で戦術の鬼才でもある。原作では天才近似値と評されているが。この条件に適合するのはスザクではなく中華連邦のシンクーであろう。

根本的なことを言えば、この記事を書いた時点では「コードギアスR2」の放送は第4話までしかすすんでいませんでしたので、シンクーがどういうキャラクターなのかは分かりようが無かったことをご理解いただければと思います。今考えると、能力的にもっとも近いのはシンクーだと私も思います。
ただ、私がしたかったのは軍事的な能力の比較で無く、物語の中で対比されるキャラクターの比較でしたので、ルルーシュに対してはスザクを選びました。

> 更にヒルメスはアルスラーンに敗れ放浪の身となって以降のほうが圧倒的に
> 魅力的であり、人物造詣にも深みが出てくる。物語に通底する思想は血統主義の愚かしさであり、
> 血統主義にこだわったヒルメスが才能はあっても
> 愚劣な人物として描かれるのは当然であり、血統主義から開放されて以降が魅力的に描かれる
> のも当然である。貴殿の案では単なる二流プロットの英雄譚となってしまい、人物造詣と物語の深みを甚だ欠く結果となっていただろう。

放浪の身以降のヒルメスの方が魅力的だというのは私もそう思います。ただ、何度も言うようですがここでは対比されるキャラクターについて考えていたので、対比を強調するようなプロットにしてみました。内容はともかく、ヒルメスを否定するようなことはする意図もありませんので、今の放浪ヒルメスにもつなげられるように考えてみたのですが、それが堀江さまに面白くなかったのは申し訳ありません。

また個人的には今のヒルメスは面白いですが、「面白い」の前に「パルスやアルスラーンと関係なく」がつくと思っていますので、これからの物語上の役割という面で難しいキャラクターだな、というのは今でも変わっていません。

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